若年寄の遺言

リバタリアンとしての主義主張が、税消費者という立場を直撃するブーメランなブログ。面従腹背な日々の書き物置き場。

県職員をWHOに派遣して、コネが出来て、その代金1億円なり ~ちと高くありませんか黒岩知事さん?~

2020年09月12日 | 地方議会・地方政治
どうもこんばんは、若年寄です。

地方自治体から職員が中央省庁へ出向したり、他の地方自治体へ派遣されることは珍しくないのですが、国連の機関へ派遣されるというのは非常に珍しいケース。
その国連に派遣された職員が、そのまま国連の職員になっちゃったという案件が発生しました。

関連情報は下に掲載しますが、時系列を先にまとめてみましょう。

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〇2016年6月13日
 角由佳先任准教授が順天堂大学医学部附属浦安病院から、神奈川県政策局ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室に異動となり、神奈川県の技幹となる。
〇2016年12月
 角由佳技幹が、神奈川県から、スイス・ジュネーブの世界保健機関(WHO)本部の高齢化部局へ派遣される。派遣期間は2年を予定。
〇2017年7月18日
 神奈川県の黒岩知事が、ジョン・ベアード WHO(世界保健機関)エイジング・アンド・ライフコース部長と面談。これに同行したのが角由佳技幹。
〇2018年12月
 派遣予定期間の2年を経過。
〇2019年夏
 WHOから転職の勧誘。角由佳技幹は神奈川県に報告、相談していたとのこと。
〇2020年8月
 WHOの採用試験に合格。
〇2020年9月
 WHOの正規職員となる。

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県は角由佳氏に対し、給与負担などで計1億円超を支出してきたそうですが、県にとっての成果は「アプリの開発に助言をした」。
アプリを開発したのではなく、開発に際してWHO職員の立場から助言しただけ。
高い助言料だなぁと思わずにはいられません。

そもそも、神奈川県の「ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室」で勤務したのはわずか半年。
それから3年以上をWHOで過ごしています。

「ヘルスケア・ニューフロンティア」は、黒岩知事の目玉政策。その部署に、わざわざベテラン医師を採用して配置したんですよ。目的があって雇用して、ろくな成果もないまま半年で異動させるというのは非常に考えにくい。
しかも、この手の健康増進事業は、1年や2年で成果が出るようなものではありません。事業を実施し、プログラム実施前と実施後の利用者の健康状態の調査をし統計をとり、利用者の声を聞き、効果の有無を見極め、微調整を繰り返し、ある程度の期間をかけて健康に向けたプログラムを構築していく、そんな長期的スパンで実施する性質の代物です。
それを、しかも知事の目玉施策でわざわざ医師を採用して、半年でその人を外部に派遣する???

ここで、邪推が湧いてきます。

WHOで働きたいなと思った角由佳氏。
WHOで働くことはやぶさかではないが、費用までは持てないよ、という順天堂大学。
何か目立つことをしたいな、と思った黒岩知事。
この三者の思惑の中で、
「一旦、県職員として在籍し、その後に県からWHOへ派遣する形を採ろう。そうなれば費用は県負担」
という絵が出来上がったのではないか・・・というね。

そして、もともと医師であり優秀な能力を有していた角由佳氏に対し、WHOが
「派遣じゃなくて正規職員になりませんか?」
と勧誘するのは、そりゃあ当然の流れですし、角由佳氏がもともとWHOで働きたいと思っていたのであれば、この申し出を断るはずがありません。

問題は県の側です。
半年だけ県職員として働いて、3年間のWHOへの派遣費用を税金で負担し続け、議会に対しては
「派遣期間が終わったら県職員として再び働いてもらいますから」
と説明してきた県担当者、そして黒岩知事の責任が問われます。黒岩知事の見込み・見通しが甘かったのか、そもそもそういう話になっていたことを知っていたのか。

思惑はどうであれ、派遣期間3年について角由佳氏はほぼWHOの仕事しかしていないわけで、実質的には「神奈川県がWHOに運営費を拠出していた」という事になります。黒岩知事のええカッコしいのために1億円使って、それが果たして正当化されるのでしょうか。WHOにコネができたとして、そのコネがなければ得られない情報や技術なんてあるんでしょうか。

〇県が1億円超支出してWHOに派遣の職員、自己都合で退職し転職 9/10(木) 13:31配信 読売新聞オンライン
======【引用ここから】======
神奈川県が、独自の健康増進政策を進めるために必要だとして、2016年からスイス・ジュネーブの世界保健機関(WHO)本部に派遣した女性技幹(46)が自己都合で退職し、WHOに転職した。県は女性の給与負担などで計1億円超を支出してきたが、目に見える成果は乏しく、「いずれは県に戻り、WHOで得た最新の知見を還元してもらう」という計画も頓挫した。県議会では当初から、派遣の効果に懐疑的な見方があり、それでも推し進めた県の責任が問われそうだ。(佐藤竜一)
 県によると、女性は医師で、16年6月に県に採用され、半年後の12月からWHOの高齢化部門に派遣された。病気になる手前の状態「未病」の改善と最先端医療技術を融合させると掲げ、黒岩知事が力を入れる「ヘルスケア・ニューフロンティア政策」。この独自政策に、WHOの知見を生かす狙いだった。
 ジュネーブのWHO本部への女性の派遣を巡っては、県議会で度々、取り上げられてきた。それだけの効果が見込めるのか、女性が県に復帰する保証はないのではないか。そう懸念する県議もいたからだ。
 18年11月の県議会決算特別委員会では、鈴木秀志県議(公明)の質疑に対し、県は「派遣期間が終了した後は県に戻り、WHOで得た知見、人材ネットワークを最大限に活用していただく」と答弁。県職員として働くのは「規定路線」だと強調していた。
 ところが、女性は先月までにWHOの採用試験に合格。今月から正規職員となった。派遣期間中、WHOの高齢者施策のガイドライン策定などに携わり、WHO側から昨夏、転職の勧誘があったという。女性は無断で話を進めたわけではなく、県に報告、相談しており、県側は本人の意思を尊重せざるを得なかった。
 派遣の成果について県は、3月から一般向けにサービス提供を始めた「未病指標」への女性の関与を挙げる。アプリを使い、自分がどんな「未病」の状態にあるかを数値で確認できるというもので、女性はWHO職員の立場から助言したといい、県の担当者は「それが県民に対する一番のフィードバックだ」と話した。
 ただ、こうした成果は県関係者でも一部しか把握しておらず、ある県幹部は「WHOに行ったことは知っているが、何をしていたかは知らない」と明かす。

======【引用ここまで】======



〇救急診療科 | 順天堂大学医学部附属浦安病院
======【引用ここから】======
お知らせ

2016.06.13
角由佳先任准教授が神奈川県政策局ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室に異動となりました。

2016.11.02
角由佳前先任准教授が、12月より世界保健機関(WHO:World Health Organization,Geneva,Switzerland)に派遣されることが決定致しました。

======【引用ここまで】======



〇神奈川県、WHOに職員を派遣 高齢化対策で連携強化: 日本経済新聞2016年12月20日 7:00
======【引用ここから】======
神奈川県は19日、高齢化対策を促進する狙いで、医師免許を持つ職員をスイス・ジュネーブの世界保健機関(WHO)本部の高齢化部局に派遣した。県によると、日本の自治体による職員派遣は初めて。
派遣したのは、政策局ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室の角由佳技幹。期間は2年間を予定している。
高齢化に関する調査・分析や、高齢化対策の企画・立案などに携わる。世界各国の最新の知見を、県にフィードバックさせていくほか、県が進める健康関連の施策を、海外へと発信する役割も担う。
県とWHOは10月、高齢化分野などでの連携強化に向けた協定を締結している。

======【引用ここまで】======

〇写真で見る!「黒岩日記」  2017年7月18日 - 神奈川県ホームページ
======【引用ここから】======
平成29年7月18日(火曜) ジョン・ベアード WHO(世界保健機関)エイジング・アンド・ライフコース部長との面談

 WHO(世界保健機関)で世界の高齢化対策を担っている、ジョン・ベアード エイジング・アンド・ライフコース部長と面談しました。ベアード部長の同行者は、神奈川県から日本の地方自治体職員として初めてWHOへ派遣している角技幹です。

======【引用ここまで】======




黒岩知事がWHOの部長と面談して満面の笑み。
この笑顔の対価が、県民の税金から投じた1億円・・・高いですよねー。

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2 コメント

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Unknown (Chaya)
2022-02-26 05:41:58
これを神奈川県という自治体がするべきであったのか、この事業によって県が受ける便益は何だったのか、派遣するときの条件などは詰めていたのか。など大甘な点はあると思います。しかし、各国が国際機関に委託するプロジェクトと見ると、あまりにも小さく、三年一億円で騒いでいるのが滑稽に思えます。この方は、大学の准教授であり医長も務めた方で、WHOが給与も含めて引き受けるから職員になってほしい、と言われる方です。ジュネーヴはヨーロッパ一の物価の高い都市ですから、月収最低100-120万円くらい払わなければ、これくらいの高度人材は雇えません。その他、外国から招聘して雇うわけですから、いろいろな経費の手当て(引っ越し、教育、医療、年金など)があります。実際の赴任期間は短くても、予算的にはこのような手当ては、一律パーセンテージでとられますから、本人の手取り以上に予算上の人件費は何割か高くなります。この方なら、たぶん年間1,500-1,800万位はかかるでしょう。でも、給料だけ払えば仕事になるかというと、そういう訳ではありません。仕事をするための経費もプロジェクトに計上しなければなりません。まず、オーバーヘッドがプロジェクト予算の8パーセントほどかかります。裏方の事務経費やオフィスの家賃、通信費などです。残りの予算が、プロジェクトの使える経費になるわけですが、オーバーヘッドを引いて年間700万円で、調査を委託したり、研究成果を検証したり広めるための会議をしたり、若手の研究者や助手を雇ったり、あまりにも少ないです。人は送ったが、ちゃんと仕事をできるだけの予算を付けない方が、何のためにこのプロジェクトをしているのか、わからなくなります。一人で研究室にこもって仕事をして、時々オンラインで専門家と議論するだけなら、国際機関にいなくてもいいでしょう。日本は平等を重んじるあまり、高度専門人材に対する報酬が少なく、頭脳流出が起きています。この方が県の職員に戻ると、給与が半減し、出来る仕事にもいろいろ制約が付くことでしょう。今回の件も、「きっと帰ってきてくれるだろう」と、井の中の蛙的思考の結果ではないでしょうか。
Unknown (Unknown)
2022-05-24 17:14:27
このクソ女!ワイドショーで取り上げんかい!と皆が思っている

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