らじかのよかん

ふっ急になんかわかんないんですけど↑

放射腺DC測定システム No.8 PA-1000測定実務その5:Cs-134,137のBq/cpm係数の導出による食品測定

2011年12月15日 | 放射線関係倶楽部
さーて、山場だな。

「男らしく直角」方式で、壮大な推定計算すっから。

半減期その2」にヒント100円があるのだ。
以下引用:
では実際の、核種から放出される「光子」の数とエネルギーの大きさを比較してみよう。
なんと、同じ1Bqでも、核種によって、
出てくる「光子」の数と、エネルギーの大きさは、全然違うのよ!
「1Bqから1個の光子」ではないのだ。
(核種はすべて略語で書きますね、長いから。あと10000Bqあったとして1秒間に出てくる光子の数を出します)

どっかーんといろいろ出たけれど、簡単のためにCs-134,Cs-137だけを考えてみます。
(Cs系のあるところ、他のいろいろもあるんだよね)

 核種  光子のエネルギー  放出確率  1万Bqから1秒間に出てくる光子の数
・K-40   1.461MeV      10.7%     1070個(光子)※自然核種

・Cs-134   563KeV       8.4%     840個(光子)
  々     569KeV      15.0%     1500個(光子)
  々     605KeV      97.6%     9760個(光子)
  々     796KeV      85.5%     8550個(光子)
  々     802KeV       8.7%     870個(光子)
  々    1.365MeV       3.0%     300個(光子)
----------------------------------------------------------------
・Cs-134の合計の光子の数           21820個(光子)

・Cs-137   662KeV       85.1%     8510個(光子)
----------------------------------------------------------------
・Cs-134とCs-137の合計の光子の数      30330個(光子)

ねっ、数がまったく違うでしょ。
(キロ(K)だの、メガ(M)だのは、以前説明したからここ見てね
「放出確率」つーのがさー、1Bqから1個でないのでわかりにくんだけど、
10000Bqあったとすると、「1秒間に何個の光子が出るか」だとおもえばいい。
:引用終わり

で、前々々回にPA-1000のK-40係数の導出をしているよな。

これを組み合わせると、Cs-134,137のBq/cpm係数が出る、計算でな。

そこでどうしても必要なのが、PA-1000のエネルギー特性だ。
が、これが見あたらぬ。
そこで、前モデルの「堀場PA-100」つーのがあるので、これを見る。
(「horiba PA-100」でぐぐれば出てくる)
なかなか、ノーガキもおもしろい。

それにエネルギー特性のグラフがあるだろ。
「男らしく直角」方式で、エネルギー特性は「同じ」と見なす。

備考:
PA-100のエネルギー特性グラフには横軸120KeV-1.8MeVまでが記してあり、
縦軸0.1~2.1の相対感度(Cs-137:662KeVを1として)があるのだが、
仕様のエネルギー特性の項は、「0.5~3(150KeV~1.5MeV)」となってる。
グラフがモノホンで、仕様が内輪の数字だろ。
エネルギー範囲の記載はない。
(CsI (Tl))シンチでは100KeV以下はノイズで見えないと書いてある)

一方、PA-1000の仕様では、
エネルギー特性の項に、「0.5~3(150KeV~1250KeV)」となってる。
エネルギー範囲は、「150KeV以上」だ。
150KeV未満をカットしたのは、
教材用であるため、Pb遮蔽で発生する例えば80KeVのγ線を拾っては具合が悪いからだろう。
(コドモに遮蔽のコンプトン散乱はきついもんな。
なおこの程度のエネルギーだと相互作用はコンプトン効果が主)
エネルギー特性の、「0.5~3(150KeV~1250KeV)」はいかにも不自然。
だって「ほうしゃ線って自然にもあるんだとわかった」と云えなくなるからなあ、K-40の1.461MeVが見えないと。
シンチ(沃化あぶない元素セシウムさん+タリウムの薬味入り。薬味が光を出す)の、
コンプトン帯を拾ってるのかなあともおもえるのだが、まあフツウそんな器用なことしないでしょう。
双方共に、エネルギー範囲の上限値の記載はない。

なんやかやで男らしく、
・エネルギー特性はPA-100とPA-1000とは同一
・コンプトン帯は考慮しない
とする。
そうとしても、すでに出した「PA-1000のK-40係数」は実測値だし。
あとで、Cs-134,137のBq数のわかったもので、実測,突き合わせてみればいいだけだからねえ。


●Cs-134,137のBq/cpm係数の導出:
では計算いくよ。
1秒間に出てきて、PA-1000で観測できる(出たの100%見えるとして)光子数を記す。

対照となるK-40は10000Bqあると仮定し、
Cs-134とCs-137が、どっかーんと出たときには、1:1であったとし、
都合10000Bqである(Cs-134:5000Bq,Cs-137:5000Bq)として、エネルギー特性を乗じる。
(上記引用では、Cs-134:10000Bq,Cs-137:10000Bqであることに注意。その項では簡単のために各10000Bqとした)
放出確率は省略する。

 核種  エネルギー  光子数  エネルギー特性  PA-1000で観測される光子数
・K-40    1.461MeV  1070個    0.60        642個

・Cs-134   563KeV   420個     1.15        483個
  々     569KeV   750個     1.15        863個
  々     605KeV   4880個    1.10        5368個
  々     796KeV   4275個    0.90        3848個
  々     802KeV    435個    0.90        392個      
  々    1.365MeV    150個    0.65         98個
----------------------------------------------------------------
・Cs-134の合計光子数  21820個            ≒11050個       

・Cs-137   662KeV   4255個    1.00(基準)     4255個
----------------------------------------------------------------
・Cs-134,137合計光子数 26075個             ≒15300個

つまり、
'11年03月15日時点での(日付はさあ、まあ細かいこと云うな)、
K-40:Cs-134,137 は
642個:15300個 (10000Bqでの光子数)
1:23.83
である。
ここ重要なので、しげしげと確認してくれ。

んで、こないだ求めた「PA-1000のK-40係数」を23.83で除せば、
バクハツ時点で、前回やった位置関係における「PA-1000のCs-134,137係数」が出る。

以下筆者の例では:
83.90Bq/cpm(K-40)/ 23.83 = 3.52Bq/cpm(Cs-134,137) である。


さて、核種は崩壊する。
Cs-134は半減期2年なので、もうかなり減ってる。

時期はめんどくさいので、「男らしく直角」に'12年03月中旬として計算する。
これで、来年の初夏のころまで使える。
なーに、どうせ単座戦闘機の山勘航法だ。
(細かくしたいヒトは、勝手に計算しなさい)

バクハツ時 Cs系都合10000Bqであるとして(Cs-134:5000Bq,Cs-137:5000Bq) 

Cs-134は半減期2年だから、1年後は 1/√2に減るので
5000Bq/√2 = 3535Bqになる。

Cs-317は、半減期30年で、めんどくさいからそのまま
5000Bq/1 = 5000Bq

すると合計は、
3535Bq(Cs-134)+5000Bq(Cs-137)= 8535Bq

'12年03月中旬での、Cs-134:Cs-137 比率は、
Cs-134
3535Bq/8535Bq = 41%
Cs-137
5000Bq/8535Bq = 59%
となる。

Cs134,137が合計で10000Bqあったとして、
PA-1000で観測される光子数は
Cs-134 10000Bq*41%*(11050個/5000Bq) = 9060個
Cs-137 10000Bq*59%*(4255個/5000Bq) = 5020個
合計の光子数                       14080個

ゆえに、
'12年03月中旬での
K-40:Cs-134,137 は
642個:14080個(10000Bqでの光子数)
1:21.93
である。

んで、こないだ求めた「PA-1000のK-40係数」を21.93で除せば、
'12年03月中旬時点での、
前回やった位置関係における「PA-1000のCs-134,137係数」が出る。

以下筆者の例では:
83.90Bq/cpm(K-40)/ 21.93 = 3.83Bq/cpm(Cs-134,137) である。

前々回で仮に計算した
堀場PA-K容器での、Cs-134,137係数は ≒4.0Bq/cpm
だから、いい線いってるだろ。


●K-40由来の推定と計算:
食品にはカリウムが入っていて、
その中のK-40は自然各種であり、半減期 12.8億年、同位体存在比は0.0117%だ。
この分のBqを測定値から差し引く必要がある。
計算は簡単だ。
「五訂増補日本食品標準成分表」なるものがあって(ぐぐれ)、
そこの「本表」にカリウム含有量が載っている。
(料理も多少載ってるけど、まあ材料のときに測ったほうがいいよ。
だって何にセシウムさんが入ってるかわかんなくなるでしょ)

検体の質量を台所の秤で測っておき、
PA-1000で測定しつつ、表を見る。
その食品100gに○○○mgのカリウムが入っているかはすぐにわかる。

※カリウムが100mgで、K-40は3.17Bqである。←これ重要だからな

検体のカリウム総量から、その検体のK-40のBq数は簡単に計算できるだろ。
先に導出したBq/cpm係数(K-40)で、K-40分のcpmを計算し。
測定値から差し引けば、それでおkである。
なーに、上記したK-40のPA-1000で測定される光子数は、Cs系に比べて小さいので、
検体が多少標準と違っていても、問題はないのだ。
うそだとおもうなら、自分でやってみな。
(フツウの検体だと、K-40だけでは有意差無しになるはずだ。山芋とかだなあK-40多いの)

この考え方、ちゃんと
武田邦彦先生に、ノート持参でお伺いしている。
「えぇ。測ってK-40寄与分を差し引いて。そうよく勉強していらっしゃる」つわれた。
測定方法の考え方も問うていて、
「うん、これエネルギー特性で? うんうーん、合ってる」ってさ。
先生ありがとうございます♪
(考え方の流れを問うたのであって、計算や文責は無論筆者らじお。
でも自分で検算してね。誤記あるとまずいからさあ。誤記見つけたヒト、コメ入れてね)


●高い測定器との検証:
どこかで測ってきて、検証しようとおもっていたら、
PA-1000で測ったのと、高い機械でγ線スぺクトロメトリー測ったのを、うpしたヒトがゐた。
(Cs-134,137及びK-40入り)

元データがあったので、検算した。
おう!
±10%以内に収まるよ、この係数でなあ。
たいしたもんだ。

確率的に崩壊するから、先方のデータも確率的なので、
PA-1000で、高い機械の±10%以内ならば、山勘測定おkでせうが。
(山勘にふさわしく、検出限界式もあれ実は「クリアランスレベル用」だから。
式いろいろとあるんだが、これが一番低かったから。どうせ2σで有意差有りにするし。
第二種の過誤(擬陰性)に陥らないためにだ)


つーわけでだな。
これで測れるから、食品をお手元のPA-1000 RADI でな。

こっちは、空間線量率も測れて、お手軽だしね。
(空間測るとき、測定器汚すなよな。3重にヴィニール袋とかね。防護よろしく)

おうちで測れるのが、なんとも心強いでしょ。
(だから、遮蔽は10nSv/hならば、2マソ位だから)

やらない手はないよ。
(60min*2程度がめんどくさいヤツは、勝手に内部ヒバクしてくれ)

おれはこれで、すでに幾多の「あぶない食い物セシウムさん」をはじいているのだ。
RSR-109(BG13±0.5cpm)で、検出限界5Bq/検体程度、十分だろ。
10nSv/hで、7Bq/検体程度は見えるゾ。
検体量は堀場PA-K容器のように1000cc程度まで/以上入るから、それぞれ5.5Bq/Kg,7Bq/Kg程度が見えるつーことだ。
(K-40以外が見えたら、そりゃ「セシウムさん」であり、「セシウムさん」あるところ、他のいろいろもあるのだ。
核分裂吸収率は、質量数90位と135位にピークがあるので、そりゃアレも出てるよなあ。
双子の姉妹のごとく。ここ姉妹つー比喩が親と娘の関係にねえ、ひっかけなのだ。
なお、β線はエネルギーが連続しとるからスぺクトルによる核種同定は出来ぬ)


やれやれ、これで責務完了だな。


気が向いたら、測定値でも晒すから。


じゃあまたね。
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4 コメント

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光子… (くれくれタコラ)
2011-12-15 08:45:04
が一匹
みつこが二匹
みつこが三匹
みつこg


(o_ _)o ..zzzZZ
返信する
ここは (らじお)
2011-12-15 10:54:23
くれくれタコラ さん

「みつこ」は御大の愛妻の名。
荷電粒子でない特徴は共通。

12時間かけて書いたものに、みつこはねえだろww
返信する
すまん (ZEKE)
2011-12-15 18:20:34
俺も「光子の部屋」って書こうと思ってた
返信する
仲佳きことは (らじお)
2011-12-15 18:43:32
ZEKE くん

まさにRSR-109内は「光子の部屋」だ。

つくるの大変だったんだから。
(参考にする前例がないから)

書くのもっと大変。
でもわざと、手取り足取りは教えないの。
自分で学ばぬとダメなとこ、あるからね。
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