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らじかのよかん

ふっ急になんかわかんないんですけど↑

放射腺DC測定システム No.4 PA-1000測定実務その1:遮蔽装置とパルス測定

2011年12月01日 | 放射線関係倶楽部
お立会い!! 秘術の公開だよ。
(ソースはいちいち引かぬから。そのくらいggrカスつー技術屋のココロイキでね)

●遮蔽空間の構築

Pbのγ線実効線量についての遮蔽能力は以下のとおり
エネルギー  半価層  1/10価層
 0.5MeV    0.5cm   1.6cm
 1.0MeV    1.2cm   3.9cm
 1.5MeV    1.7cm   5.1cm
 2.0MeV    2.1cm   6.0cm

Feのγ線実効線量についての遮蔽能力は以下のとおり
エネルギー  半価層  1/10価層
 0.5MeV    2.6cm   6.4cm
 1.0MeV    3.5cm   8.6cm
 1.5MeV    4.0cm   9.9cm
 2.0MeV    4.2cm   11cm

水のγ線実効線量についての遮蔽能力は以下のとおり
エネルギー  半価層  1/10価層
 0.5MeV    29cm   57cm
 1.0MeV    30cm   64cm
 1.5MeV    30cm   71cm
 2.0MeV    30cm   79cm

実効線量についてだから、コンプトン散乱された分も含むと考えられる。
光子のエネルギーが大きいとコンプトン散乱角は小さいから、実際にはおおむねエネルギーのみ減衰すると考えてよい。
したがって建物がコンクリート造の場合、
十分な能力を持つ遮蔽空間内では、実質的にK-40:1.461MeV由来の光子に支配されていると考えられる。

上記素材を適宜組み合わせて、おおむね10nSv/hより小さい空間を構築する。
PA-1000の感度は、2900cpm=1μSv/hである。
(次回以降に記述する検出限界値の式に出てくるのは、BGの平均値と、BG,検体測定n(min)数のみ。
BGが低いと検出限界値も下がる。
そのときの検出限界Bq数は後述する検体配置によるけど、BG10nSv/hでCs系8Bq/検体ぐらいかな。
n数が大きいと検出限界値も下がるのだが、これには問題がある。詳細は後述する)

注意点:
・測定器と検体を余裕を持って収納できる空間を確保すること
理想的には、測定器のセンサ部が検体内にアタマを入れるような状態にできればよいのだが。
まあ検体V字配置にし、シンチをVの谷に入れ、三面に検体から発射された光子が入るようにすれば十分だ。
おれは、PA-1000をストラップで吊り下げて、検体は下にV字で配置している。
(これでCs系5Bq/検体が見える。BG13.0±0.5cpm程度)
一面のみからの照射だと、感度がV字の1/2位にさがるんだよね。
例えば:ダメな例

こーゆー配置ダメね(ちゃんと実験したから)。
・更に、洗浄がしやすいように造ること(実際の測定で、洗浄はとても重要である)
遮蔽壁の汚れを測っても意味ないからね。

Pb鋳造は難易度が高いので、
TGメタルと称するオーディオ用スタビライザがいいかもしれない。
200*100*12の板状のがいい。
適当なプラ箱の内張にすればよろしい。
尚、マイクでパルスを拾うから、測定器が見える必要はない。
なるべく隙間のないように(回折はしないので、つまり見えなければそれでよろしい)。
マイクの線のみ通ればおk。
(Pbは、おおむねキロ600円程度だ。Pbの比重は11.34)
Pbこわいこわいヒトは、ラップで巻くとかね、くふうしろよな。

また、その外側に適当なFeで遮蔽層を作りコンプトン散乱によりK-40のエネルギーを減衰させ、Pb層の遮蔽能を向上させる手もある。
筆者の場合、RSR-109のまわりに、ダンベル用のウエイトを用いて効果を得た。

水の入ったペットボトルも使えるかもしれない。
6本入りの箱をずらりと並べる手もある。
(緊急時の飲料水としても使えるし)


●パルス測定
PA-1000には外部出力端子がない。
唯一の出力は、圧電ブザの「ピッピ」音のみである。
1カウントで1回鳴る。
1回の「ピッ」音の長さは45msec程度である。
10nSv/h以下の環境、つまり29cpm程度では、パルスが2重になることもないだろう。
(なんとなくだが、パルス音をばらしているような気がする。二連続ピッピの間隔が一定なんだよね)

適当なマイクをSP穴に当てる。
筆者の場合、無線機のマイクをばらし、両面テープで付けた。
(インピーダンスは忘れた)
各自好きなように、ゴムバンドで留めるとか、くふうすること。
ピッピ音結構大きいので、マイクできちんと拾えば、他の雑音はふつうは気にしなくてもいい。
音楽とかかけていてもだいじょぶよ。
(まわりは、あまり歩き回らないほうがいいけどね)

それをマイクアンプで増幅する。
(OPアンプで組んでもよい)
筆者は既製品を使用した。

このままPCに入力すると、

この波形になるので、正弦波をいちいちカウントしてしまう。

そこで、次に矩形波形成回路を組む。
上記マイクアンプ出力(ラインレベル)とUSBサウンドデバイスとの間に、パッシブ型の回路を入れる。
L,Rは直結してもいいが、一応Lにシリーズに22μFのケミコンを+合わせ2個入れノンポーラにし、LとRを結合してみたけどね。
次に、適当なダイオードでブリッジを組み、全波整流する。
更に0.2μF(ケミコンダメですきっと)で平滑し、10KΩで放電する(この時定数は守ってくれ)。
(放電抵抗が無いと、矩形波の立ち下がりがだれる)

この信号をUSBサウンドデバイスのライン入力L,Rに入れる。
(筆者のサウンドデバイスでは、なぜか信号が反転したので、ここで+ -を入れ替えた)
波形は

このようになる。
ハムは無視する。


●PCによるパルス観測
ソフトはじじいさん作のこれを使わせていただく。
ガイガー用に出来ていて、とても優れている。
・項目の設定(PA-1000用)
GM管γ線感度 : 「483」cps/mR/hr(2900cpm/μSV/hで簡易算出。だいたいでよろしい)
BG補正     : 「0」cpm
しきい値    : 「60」(ここは適当に設定し、上記マイクアンプのVRで調整すればいい)
不感帯     : 「10」(この程度が具合がいい)
分解能     : 「18」(この程度が具合がいい)

注意点:
・測定中にソフトの設定をいじると、リセットされるから、測定開始後はいじらないこと。
・事前に「テスト」を行って、前記写真のように、
リップル部分がしきい値(赤線)を上回り
かつ不感帯(青線)を下回らないようにマイクアンプの音量を設定する。
少し大きめがいいかもしれない。
・PCのコントロールパネル→サウンド・音声・オーディオデバイス→サウンドとオーディオデバイス→オーディオ→
録音で、
接続したオーディオデバイスを選択し、
且つ→音量で「ライン」を選択(マイクのチェックは、必ず外すこと。でないとPCの各種の音をカウントしてしまう。音楽も聴けないよ)
且つ、前記「ライン」の音量を最大にすること。
・PA-1000には、無操作タイマが付いていて、最大180minで電源が切れる。
例えばBG,検体連続測定のときに、段取り替えをするのだが、必ずブザSWを操作して、タイマをリセットすること。
(幾度かこれで失敗したのだ。これを教えるところが、親切つーもんだな)


●実際の測定
詳細は次回以降だが、要旨のみ。
・測定はポアソン分布に従うので、必要なのはBG,検体共に
「総カウント数」と「n(min)」のみである。
つまり、途中経過の数字を、例えば一分間隔で拾う必要はない。

・だから「n(min)」が半端でもいいわけだし。
ふつうは測らせておき、60min経ったら出た目を読むだけである。
カンタンでしょ。


以下、次号。
乞うご期待!!
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