goo blog サービス終了のお知らせ 

詠里庵ぶろぐ

詠里庵

ウィーンを訪れる音楽好き

2011-03-21 16:16:10 | サイエンス
の日本人は数しれずいるでしょう。しかしウィーン空港からウィーンへ向かうリムジンバスが原子炉の至近を通ることを知っている人はほとんどいないと思います。まぁ原子炉と言っても発電所ではなく研究用で、出力はせいぜい車数台分という小型のものですが。

そこを見学したときのこと。反応炉が沈んでいるプールのへりに立って、そこから見下ろしたプールの水は忍野八海のように美しく、反応炉は青白く幽玄なチェレンコフ光を放っていました。こんなところに居て大丈夫かと思ったら、常に放射線カウンターを持ち歩いている案内の研究者が「ふむ、いまの放射線量だと、ここに何分いたら何日間はここには来てはいけないことになっています。何時間いた場合は何週間はここに来てはいけないなどと決まっています。見学者は全く問題ありません。いまこの一瞬だし、再びここに来ることはないでしょうから」と言っていました。

この話があるので、先週福島原発が50人体制と聞いたとき、短時間で交代してしばらく近づけないのだから、現場に近づく人数はもっと少ないだろうし、同一の50人がずっと作業にあたるはずがないと思っていました。だから菅総理がなぜ50人だけ残して退去するんだと怒鳴ったとか、英雄フクシマフィフティーズとかいう新聞記事を見たとき、英雄の数は実はもっと多いのに、とため息をついたものです。

ついでに言えばシーベルトとベクレルの違いの説明、これよりこちらの方が正しいですね。正しい知見を得て欲しいと思います。

私の専門は原子力とは関係ない量子情報ですが、「中性子は粒子なのに干渉する!」という研究のためにこの原子炉を使っている研究者と懇意だったのです。それで上に書いた程度の知識があるわけですが、それでも誰かみたいに「俺は原子力に強いんだ!」などと言うつもりはありませんね。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 辻井伸行氏がチャイコ1番 | トップ | ミネラルウォーター »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

サイエンス」カテゴリの最新記事