詠里庵ぶろぐ

詠里庵

『立体視できる星空!

2021-04-18 17:47:33 | サイエンス
地球と70億km彼方からの画像のステレオグラムが公開』
というサイトがありました。そこで展開されているNASAの視覚的演出はとても巧みなので、紹介します。
ちなみにNASAの元サイトはここです。

数年前、NASAの探査機「ニュー・ホライズンズ」が冥王星の鮮明な写真を送って来たことは記憶に新しいですが、いまニュー・ホライズンズは冥王星軌道の少し外側(地球から70億km弱のところ)にいて、太陽系から離れようとしています。そこから地球への通信速度は800bps(1秒間に800ビット)です。こんなに遅いのかとも思うし、冥王星からの通信としては速いとも思います。

さて今回送って来たデータは、ニューホライズンズからプロキシマ(太陽から4光年離れた恒星で、最も近いお隣さん)方向の宇宙を撮った画像です。
他の星たちはほぼ無限遠なので、4光年しか離れていないプロキシマを見ると、地球から見た方向からずれています。
この二枚の写真を交互に切り替えると、他の星たちは微動だにしませんが、プロキシマだけ左右に入れ替わり、まるで工事中の保安灯のようです。

これだけでも十分効果的な演出ですが、さらに感心したのは、この二枚の写真を重ねるのでなく、人間の目の間隔より少し短く離して並べてあります。これを、ひところ流行ったランダムドットステレオグラムのように、左目で左の写真を、右の写真を右目で見ると、おお! 他の星たちが無限遠に貼り付いている中、プロキシマだけ手前に見えます!

つまり、左右の目が地球と冥王星くらい離れた超巨大な巨人がいたら、その巨人は「あの星だけ手前にあるじゃないか」と実感することでしょう。それを我々も体験できるわけです。

さらに、プロキシマの倍近く離れたウォルフ359のステレオ写真もあります。これも確かに手前に見えますが、プロキシマより奥まって見えます。もちろんウォルフ359とプロキシマは天球上で離れていますので、1つのステレオ写真の中に両方の恒星が視野に入っているわけではなく、別々のステレオ写真ですが、明らかに「さっきの星とは浮き出し方が違うな」とわかります。

ところでステレオ写真を裸眼で見るのは、人によって得意不得意があると思います。私は目の間隔が広い方ではないので、二枚の写真が離れていると、どうやっても立体視できないことがあります。そういうときは縮小コピーすれば楽に見えるようになります。もちろん交差法の方が手軽にできますが、それだと遠近が逆に見えてしまいます。

縮小コピーしてもうまく見えない場合は、思い切り接近すれば、左の目は左の画像しか見えないし右の目は右の画像しか見えないので、真ん中に第3の画像がちゃんと見えます。しかしこれでは近すぎて目のレンズの焦点が合わせられないので、徐々に離して行けば成功します。このときメガネの人はメガネをきちんとかけて、シャープな画像で見ないと効果が得られません。
コメント
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