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 8月に入り、日本でもインフルエンザA(H1N1)(いわゆる「新型インフルエンザ」)による死亡者が「ハイリスク群」を中心に出始めました。アメリカ疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention、 CDC)の集計したデータによると、アメリカで2009年4月15日から7月24日までにインフルエンザAに罹患した人は、25歳未満で10万人に24.8人の割合になり、25歳以上で10万人に4.06人と比べると、6倍になります。若年層が今回のインフルエンザAに感染しやすいことは明白です。

 インフルエンザの流行初期には、学生を中心に感染者が多く出ましたが死亡する人はいませんでした。アメリカで流行初期に感染し死亡した268例を調べたものでは、0歳から4歳までは2%、5歳から24歳までの死亡者は16%、25歳から49歳までは41%、50歳から64歳までは24%、65歳以上は9%となっており(残り8%は年齢の確認ができなかったもの)、25歳以上の人たちは感染しにくく、入院もしないことが多いが、その死亡者は74%と多いということになります。

(参考) データが裏付けた若年層のインフルエンザAへの感染しやすさ

1例目(産経新聞による)
男性、57歳、慢性腎不全、沖縄県
9日午後、喉の痛みを訴えた。
10日の透析治療中に37度台の熱があったが、簡易検査は陰性だった。
12日の透析中に39度まで熱が上がったため再度、簡易検査を実施。インフルエンザA型陽性と判明した。
男性はタミフルを投与され、別の医療機関に入院した。
15日早朝に死亡した。肺炎を併発し、敗血症を起こしたことによる。

2例目(読売新聞による)
男性、77歳、高齢、神戸市
16日に38度の熱が出る。
17日朝、市内の透析医院で受診。簡易検査でA型陰性だったが、肺炎の疑いがあるとして総合病院に入院した。
同日午後、再検査でA型陽性を示し、呼吸困難などの症状があったため、医師がタミフルを投与した。
18日午前6時20分、急性気管支炎による肺気腫の悪化で死亡した。

3例目(毎日新聞による)
女性、81歳、心疾患、名古屋市
13日に39.5度の高熱があったため救急外来を受診してそのまま入院。
15日になって咳がひどくなったため個室に移った。簡易検査でA型陽性となる。
18日に遺伝子検査(PCR検査)の結果、新型インフルエンザと確認される。
19日午前1時半ごろ重症肺炎により死亡。

4例目(時事通信による)
女性。84歳、高齢、名古屋市
24日午前9時半ごろ、38.5度の熱が出たので、簡易検査を実施したが陰性。
25日に呼吸困難に陥った上、熱が上がったため、再び簡易検査したところ陽性だった。
同日午前10時25分ごろに誤嚥性肺炎で死亡した。

5例目(時事通信による)
男性、30代、慢性心不全、長野市
20日に咳や下痢などの症状を訴える。
23日に37.9度の熱が出たため市内の医療機関を受診。
25日に症状が改善せず、同市の病院に入院した。
26日朝呼吸不全となり、集中治療室(ICU)で治療を受けていた。
27日昼すぎ肺炎による呼吸不全で死亡した。

6例目(読売新聞による)
女性、60歳代、肺癌、枕崎市
27日に発熱。
28日に新型インフルエンザの感染が確認された。
29日未明に急性呼吸器不全で死亡した。

7例目(読売新聞による)
女性、38歳、たつの市
27日、発熱や咳、倦怠感などの症状があり、自宅近くの医院で受診し、A型インフルエンザの診断を受け、タミフルの処方を受けた。
29日午前1時30分頃、自宅で容体が急変し、姫路市内の病院に搬送されたが、午前4時過ぎ、死亡が確認された。

(追記)
8例目(産経新聞、毎日新聞による)
女性、40歳代、高血圧、北海道
29日に38.7度の発熱があり、稚内市内の医療機関を受診した。簡易検査で陽性と診断されたため、抗ウイルス薬、タミフルの投与を受けた。この日は同市内のホテルに宿泊した。
30日午後2時ごろ、ホテルの室内で意識がなくなった状態の女性を従業員が発見、病院に搬送されたが、間もなく死亡が確認された。女性の死因は急性心不全。女性の死後、詳細(PCR)検査を行い、新型への感染が確認された。女性は新型インフルエンザ患者の聞き取り調査などに従事していたが、感染経路などは不明。医療従事者の死者は初めて。

 日本の季節性インフルエンザの年間死者数は1万人であり、新型インフルエンザでのこの死者数は驚くにあたらないとする論調があります。本当に従来の季節性インフルエンザで年間1万人ほどの死亡者が出るのでしょうか。ここにデータがあります。2000年から2006年までの「インフルエンザによる死者数」の統計です。

2000年  575人
2001年  214人
2002年  358人
2003年 1,171人
2004年  694人
2005年 1,818人
2006年  865人

 平均で年800人ほどが死亡しています。この事実にも驚きますが、年間の死亡者が1万人という数字はどこから出てくるのでしょう。ここに「超過死亡者」という考え方があります。インフルエンザによる死亡は、炎症が上気道に留まらず肺に達して肺炎という疾患を起こすためによるものが圧倒的に多いのです(少ないが「脳症」もある)。そのため、死亡診断書には「肺炎」と記載され、インフルエンザによる死亡にカウントされないこともあります。そこで、肺炎等の死亡者のうち、インフルエンザの流行があったために増えたであろう死亡者をもインフルエンザによる死亡にカウントします。すると、上記の数字は次のように変わります。

2000年 13,846人
2001年   913人
2002年  1,078人
2003年 11,215人
2004年  2,400人
2005年 15,100人
2006年  6,849人

 大流行のある年とそうでない年で「超過死亡者数」で大きく変動がありますが、大流行のあった年では、年間1万人がインフルエンザに感染したことが原因で亡くなっていることになります。「ハイリスク群」を守るべきことがこの数字から理解できます。厚生労働省の「新型インフルエンザ対策」が功を奏して、10月以降にインフルエンザの本格的な流行期を迎えても、大流行のない年のように、この数字がなるべく小さくおさまることを期待してやみません。

        (この項 健人のパパ)

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