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 2010年10月14日、「サーチナ」は「中国新聞社」が報じたとして、次のような記事を載せています。

 「広東省広州市の建設安全委員会は12日までに、同市の地下鉄3号線延伸工事で、コンクリートの強度問題で、施工会社が検査報告を偽造していたとの見方を明らかにした。

 広州市には現在、1号線(全長18.5km、西朗駅~広州東駅)、2号線(全長31.4km、嘉禾望崗駅~広州南駅)、3号線(全長36.3km、天河客運駅~番禺広場駅、機場南駅~体育西路駅)、4号線(全長43.6km、万勝囲駅~金洲駅)、5号線(全長31.9km、滘口駅~文沖駅)、8号線(全長14.8km、鳳凰新村駅~万勝囲駅)の6路線が運行しています。

 広州地下鉄3号線は機場南駅~広州東駅~体育西路駅間と天河客運駅~体育西路駅~客村駅~番禺広場駅間の2系統で運行されています。3号線は、2005年12月26日、まず広州東駅~体育西路駅~客村駅間で開業します。ついで、2006年12月30日、天河客運駅~体育西路駅間、客村駅~番禺広場駅間で開通します。残りの機場南駅~広州東駅間は2010年10月30日に開通することになりました。

 定年退職後、建築物の検査を行う「広州穂監工程質量安全中心公司」に就職した「鐘吉章(Zhong Jizhang)」さんは、高級工程師(建築1級エンジニア)で、交通運輸部橋梁・トンネル検査技術者の資格も持っていました。2009年8月に広州地下鉄工事の検査に携わることになり、「コンクリートの強度が基準を満たしていない」とする報告書を作成します。

 公司(会社)側から「報告書を撤回しろ」と求められますが拒否します。気骨のある人だったのでしょう。その結果、あらゆる検査担当から外されることになります。鐘さんは身の危険を賭して、告発します。その行為を賞賛し、インターネットなどで「冒死爺(maosiye、マオスーイエ)」と呼ばれるようになったといいます。「死を賭した爺さん」といったところでしょうか。

 これに対し、地下鉄の運営会社「広州市地下鉄道総公司」は鐘さんが公表した「データ」は真正のものであることは認めますが、現在のままでも安全性に問題はなく、「データは正しいが、結論は不正確」と批判することになります。専門家の結論を否定したのです。広東省広州市の建設安全委員会は、この問題に対し調査を行い、施工会社がコンクリートの強度不足などの事実をごまかしていたことを確認したそうです。

 公共工事に「手抜き工事」が行われたのです。「基準」を満たしていなくても、安全性に問題はないとはどういうことでしょう。「基準」というのは何なんでしょう。

 2007年に着工し、2008年6月に竣工した「漢門中大橋」という橋が江蘇省南京市にあるのだそうです。総工費は約5000万元(約6億5000万円)だったそうです。2009年12月、完成からまだ1年あまりのこの橋に、欄干に30か所以上の亀裂が確認されたそうです。

 高速鉄道の線路の歪みは許容範囲の狭いものです。わずかな歪みも乗り心地に影響を及ぼし、さらには安全性を著しく損なうことにもなります。地盤沈下に対する対策は十分に講じられているのでしょうか。地下水の汲み上げを禁止するだけでいいのでしょうか。

 信号システムの不具合はやがて改善されるでしょう。しかし、線路や橋梁に安全基準を守らない「手抜き工事」があったとしたら、やがて、今回以上の大惨事が起こる可能性があります。いや、「予告」されているといった方がいいかも知れません。

 国家にとって13億のうちの1つであっても、家族にとっては何物とも引き換えに出来ない「命」。その命が軽く扱われることの怒りが報道規制のひかれた中国で、いまだ収まっていないそうです。その怒りの存在がやがて鉄道の安全を損ねる不正工事の絶滅に向かわせることを強く希望して止みません。

(追記 先行するはずの列車が後続するはずの列車に追突した事情が「毎日新聞」の記事で判明しました。)

 「甬台温鉄路(Yongtaiwen Tielu、最高速度250kmが可能な新線)」は、全長279.02kmに及びます。東海道新幹線(東京駅-新大阪駅間515.4km)と比較すると、東京駅から愛知県豊橋市にある豊橋駅までの距離にほぼ匹敵します(274.2km)。寧波駅→奉化駅→寧海駅→三門駅→臨海駅→黄岩駅→路橋駅→温嶺駅→楽清駅→永嘉駅→温州南駅と太平洋に面した「浙江省」のほぼ海岸沿いを北の端からほぼ南の端へと結んでいます。

 甬台温鉄路は、2005年10月27日に起工し、2009年9月28日に運営を開始し、最短時間では1時間12分で、寧波駅と温州南駅を結んでいます。徐行していた列車に通常の速度で後続列車が追突し、40名という乗客ならびに乗員がなくなるという悲劇は永嘉駅-温州南駅間で起こります。追突の衝撃は激しく、先行列車から死亡者の約3分の1、後続列車から死亡者の約3分の2が出たそうです。

 杭州南駅(元蕭山駅)を出発し、ほぼ東に向かう「蕭甬線(杭甬線、最高時速250kmを可能にした在来線)」を経由して、「甬台温線」に入り、永嘉駅にほぼ定刻通りに到着したD3115は、時刻表に従えばすでに通過していたはずのD301を置いて、温州南駅を発車します。D301は、北京南駅を出発したものの、豪雨の影響で遅れ、永嘉駅に臨時停車していました。

 誰が判断したのでしょうか、同じ時刻に同じ駅に停車していたにもかかわらず、先行すべき列車を先行させなかったようです。定時運行をしていた列車を優先したのでしょうか。ここで乗客の運命が分かれることになります。杭州南駅発のD3115の先頭車両に乗車していた乗客は命を拾い、北京南駅発のD301の先頭車両に乗車していた乗客の中には命を失う者も出てきます。

 運行管理センターは、落雷の影響で信号システムが不良となったので、永嘉駅-温州南駅間を手動で運用することになります。運行管理センターの指示で時速20kmの徐行運転をしていた先行列車に自動列車制御装置が機能していなかった後続列車が通常の速度で衝突することになります。

                  (この項 健人のパパ)

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