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4月29日20時24分配信の産経新聞の記事からです。

 新型インフルエンザの呼称をめぐり、国際機関や各国政府の間で対応が分かれている。当初から用いられている「豚インフルエンザ」の呼び名に対し、科学的根拠がないといったものや、豚肉のイメージ悪化への懸念、宗教的理由から別の呼称を付けるよう求める声が上がっている。
 29日付の英紙フィナンシャル・タイムズによると、「豚」の名称が使用された理由は、患者から採取されたサンプルを遺伝的に分析した結果、原因となったウイルスは豚、鳥、人インフルエンザの雑種であったものの、豚インフルエンザにより近かったからだ。現在、世界保健機関(WHO)、米国、英国など多数の国や国際機関が「豚インフルエンザ」を表す「SWINE FLU」と表現、中国政府も同様に「猪流感」と呼んでいる。
 これに対し、パリに本部を置く動物衛生の国際機関、国際獣疫事務局(OIE)は28日、「ウイルスは人、鳥、豚を起源とする遺伝的成分を持っている」として、「北米インフルエンザ」と呼ぶよう提案した。AP通信によると、欧州連合(EU)のワシリウ欧州委員(保健担当)は同日、「豚」の名称が養豚産業に損害を与える恐れを指摘し、「新インフルエンザ」と呼ぶべきだと発表した。ウイルスは70度以上で調理すれば、死ぬとされている。
 イスラエルのリッツマン副保健相も27日、「メキシコインフルエンザ」と呼ぶよう要求した。ユダヤ、イスラム両教徒が不潔な動物とみなし、食用とすることを禁じる豚の名称を使うことは侮辱的だとの理由だ。
 一方、日本政府は当初、「豚」の呼称を使用していたが、WHOが世界的流行に対する警戒水準(フェーズ)を「3」から「4」に引き上げたのを機に、「新型」と呼んでいる。


世界保健機関(WHO)は4月29日夜(日本時間30日朝)、世界中へと拡大を続けている新型インフルエンザについて、警戒水準(フェーズ)を「4」から「5」に引き上げました。



豚肉をタブー(忌避)とするのはイスラム教とユダヤ教であり、特にイスラム教の忌避ぶりは大きい。宗教的理由からヒンドゥー教徒は牛肉を食べず、イスラム教徒(ムスリム)は豚肉を食べません。しかし、その理由は大きく異なります。ヒンドゥー教徒は牛を神聖化しているので食べないのですが、ムスリムは豚を不浄のものとして食べないのです。

ムスリムが豚を食べないのは、聖典コーラン(聖クルアーン)に豚を食べることを禁ずる項目があるからです。「信仰する者よ、もしあなたがたが本当に彼に仕えるのであるならば、我があなたがたに与えた良いものを食べなさい。そしてアッラーに感謝しなさい。彼があなたがたに、禁じられるものは、死肉、血、豚肉、およびアッラー以外で供えられたものである。だが故意に違反せず、また法を越えず必要に迫られた場合は罪にはならない。アッラーは寛容にして慈悲深い方であられる。」(第2章172-173節) 第5章3節、第6章145節、第16章115節にも同様に記述があるようです。

ユダヤ教徒も豚を食べませんが、これは彼らの聖典である旧約聖書の「レヴィ記」の記述によるものです。「エホバ、モーセとアロンに告げてこれに言い給わく、イスラエルの子孫に告げて言え。地の諸々の獣畜のうち、汝らが食うべき四足はこれなり。 すべて獣畜のうち、蹄の分れたる者すなわち蹄の全く分れたる反芻するものは汝等これを食うべし....豚、これは蹄まったく分るれども反芻することをせざれば汝等には汚れたる者なり。汝等これ等の者の肉を食うべからず、またその死體に触るべからず。これ等は汝等には汚れたる者なり」(レヴィ記・第11章)

イスラム教国であっても国内に他宗教の信者を抱えています。例えば、イスラム教国であるマレーシアには中国系住民がかなりの数います。私たちがマレーシアに行ったときに現地の新聞に衛生面を理由として養豚業者への圧力が強化されたという記事が載っていました。イスラム教徒としては、「豚」を国内から排除してしまいたいのが本音でしょう。でも、それをすると国際的に非難されるから控えているものと思われます。イスラム教国であるエジプトでも、豚は飼育されています。国内にキリスト教がいるからです。

豚は雑食性です。人の排泄物も食べます。それゆえ、中国の農村では豚は放し飼いで飼われ、排泄物や生ゴミの処理を任せられています。中世、ヨーロッパの都市のほとんどは、下水道やゴミ処理施設が整備されていなかったため、人々は家から出る排泄物や生ゴミを、そのまま街角へ放り出していました。その処理を担ったのが豚でした。そのイメージから、豚は「不浄」と見られているのです。また、豚は生殖における生態から、「不道徳」とムスリムからは見られ、忌み嫌われています。

イスラム教国では、この「豚インフルエンザ」の流行に力を得て(パニックになって)、豚を大量に処分するという事態が発生しています。移動性の鳥とは違って、定住性の豚がインフルエンザウィルスを撒き散らしているわけではないのですが、鶏の殺処分(トリインフルエンザは毒性が強いから、これが行われる)と同様のことが起こっているのです。豚の受難がイスラム教国で多発しています。

         (この項 健人のパパ)

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