センターフライ

　5年生のとき僕はセンターを守っていた
うちの学校で練習試合があった
センターフライは平均すると一試合のうち2つくらいのもんかな
センター前のヒットも3本くらいがホントのところだろう
その日も普通に守備についていた
守備位置に付くのにも結構な運動量だ
一試合に7回もベンチとセンターを往復する
試合も進んで5回くらいだったろうか
ツーアウトでランナー一塁
相手のバッターは中軸を過ぎた6番バッターくらいだったと思う
カウントは覚えてない
6年生の我がエースよっちゃんの投げた球を打ち返された
「わ　でかい　抜かれた」
今までこんな追いかけ方をしたことがない
僕はボールを見ずに左中間の深いところに思い切り走った・走った・走った
ここかな・・と思って振り返り見上げた２ｍ上にボールがあった
走っていたからボールは踊る　その踊ったボールを僕は受け取った
凄いファインプレーをしたと思った
でもベンチに帰ってもだあれも何にも言ってくれない
その時　レフトの西村君のおかあさんの声が聞こえた
「かっつん、すごい！！　ナイスプレーだったよ」
　　　うれしかったぁ
いつもいつもやさしいニシ君のおかあさんだったけどこの言葉が忘れられない
誰かにかける一言が一生その人の人生に残り続ける
なんでもない言葉だけれど　タイミングが合えば1000倍の力を発揮するんだね

　それから数年後、ニシ君のおかあさんはこの世を去られました・・・

誰かに一生残る何かを上げることが出来るだろうか
そんな人になれたらいいね