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【6月30日(土)】
浄土平→酸ヶ平→一切経山山頂→鎌沼→姥ヶ原
6月30日(土)に、吾妻小舎へお手伝いに行くことになっていたぴすけとダーリン
ダーリンの参加が危ぶまれたが、なんとしても行きたいダーリンは29日(金)の21時過ぎまで仕事をし
土・日を確保したようだが、22時近くになって帰宅したものの、シャワーを浴びてまたそこから仕事
な、な、なんという無茶
その勢いで()支度をし、その勢いのまま(
)23時30分に自家用車
で自宅を出発した。
こんなことをしているから、娘に「あ~あ…、そんな無茶をして、行き先は浄土平ではなく、こりゃ浄土行きですな
」
などと言われてしまうのだ
正体不明の勢いに乗った我々は、久喜ICから東北自動車道を一路福島へ。
途中、上河内SAで30分ほど仮眠をとったが、あとは勢いで突っ走った
福島西ICで一般道に下り、高湯温泉経由で磐梯吾妻スカイラインに入ると、東の空が明るくなってきた。
東に開けた不動沢からは、一面の雲海と、明るい星がほぼ縦に並んで輝いているのが見えた。
大きい方の星は金星だと思うが、小さい方は火星か?
涅槃坂を過ぎ、浄土平に向かって標高を上げていく。
まだ4時前だというのに、こんなにも明るいのかと思うほどだ。
3時50分、浄土平の駐車場に到着。
吾妻小富士に登って日の出を迎えることも脳裏をよぎったが、いくらダーリンより寝ていたとはいえ
勢いだけで突っ走ってきた深夜の264kmは、クタクタになるのに十分な時間と距離だった。
5分としないうちに、ぴすけもダーリンも車内で熟睡
照りつける日射しと周辺の騒々しさで目が覚めたのが5時55分。
誰もいなかった浄土平の駐車場には、ライダーが続々と集まり、自動車も十数台停まっている。
同時に目を覚ましたダーリンに、一緒に登りに行くかと尋ねると
やはり疲れたのかその気が起きないようで、即「眠る男」に変身
仕方がないので、用意してきたパンを食べ、山支度をして、ぴすけのみ7時に出発
風もなく穏やかで、しかも梅雨時とは思えぬほどの上天気
この日の朝は、登山道に向かう途中、一切経山の噴気口から流れてくる火山性ガスが強烈だった
風の有無や風向きによっては、危険な濃度になったりしないのか、気にかかる。
浄土平ビジターセンターの職員の友人によれば
浄土平を訪れる人の多くは、放射線量を気にする傾向にあるそうだが
硫化水素臭の好きな私でも、火山性ガスの方が気になる。
大涌谷のように、火山性ガス警報機を取り付けたりはしないのだろうか。
登山道脇では、ミネヤナギが柳絮(りゅうじょ:綿毛がついた種子)をつけている。
ツマトリソウ
現在、一切経山の登山道は、酸ヶ平(すがだいら)経由のコースのみ利用可能で
浄土平からの直登コースは火山性ガスのため閉鎖され、立ち入り禁止となっている。
浄土平を振り返る。
酸ヶ平までの登山道脇には、イワカガミを主に、さまざまな花が咲いており、目を楽しませてくれる。
ハクサンチドリ
イワカガミと、ツマトリソウ・マイヅルソウの競演。
木段を少々登れば、すぐに酸ヶ平である。
左の大きな噴火口が吾妻小富士、右の小さな噴火口には、今は水が湧いて桶沼となっている。
浄土平の各施設や浄土平キャンプ場・吾妻小舎で使用している水は桶沼の水で、大変美味である。
7時35分、酸ヶ平避難小屋を経由し、砂礫の登山道を登り高度を上げていく。
グングン登っていくと、お椀を伏せたような東吾妻山の裾野の向こうに、磐梯山が姿を見せた。
空気が澄んで視界が利くため、火口壁の襞までわかる。
遮る物がないため西風の影響を受け、火山礫と共に縞模様のような植生を作り出している構造土植物群落。
下界と山上を雲海が遮り、穏やかだが涼やかで心地よい風に吹かれ
見る物聞く音全てが輝き、歩きながら思わず涙してしまうほどであった
浄土平から1時間10分、酸ヶ平避難小屋から35分、8時10分に一切経山山頂に到着。
頂上は広い台地状になっており、山頂標識とは別に、信仰の山らしく「空気大感謝塔」がある。
そして、この山の北斜面からの眺めは、天下一品、福島の、いや、日本の、いや、世界の宝だ
ドーン
ここに来るのは10回以上になるが、これほど視界が利いて、かつ、雲海がきれいな日はこれが初めてだ。
西に眼をやると、五色沼の沼畔から家形山(いえがたやま)・ニセ烏帽子山へ吾妻連峰縦走路が続き
遥か向こうに飯豊連峰が望める。
眼を右にずらし、北西方面には、雲の上の大朝日岳の山頂部に、雪が残っているのが見える。
さらに眼を右に移し、ほぼ北には蔵王連峰が雲の上に浮かび上がる。
美しい景色を堪能した後は、楽しい会話が待っていた。
会津から来た女性は、若い時の無理が祟って体を壊したそうだが
山に来ると不思議なことに体調が良く、気持ちも晴れやかになるのだとか。「若いからって無理しちゃ駄目よ。」
「私も山にいる間は、不思議とお腹が痛くなりません。お互い、体を大切にして山を歩きましょう。」
「今度はぜひ会津の山へいらっしゃい。いい山がたくさんありますよ。」
そんな話をし、握手をして別れた。
50年以上吾妻を歩いているという年配の男性は、ビデオカメラを手に、熱心に撮影している。「家にはロウサイがおりましてね
」
「ププッ
」
「あ、ロウサイって、労働災害じゃないよ。年老いた妻、つまり老妻だ。」
「ププッ
」
「そのロウサイに見せるため、この素晴らしい景色を撮っているんだよ。」
「素敵ですね。今日の景色はこの上なく素晴らしい。滅多にない日ですね
」
「景色も素晴らしい、素敵なあなたと楽しいおしゃべりも素晴らしい。滅多にない日だ
アッハッハ
」
「アッハッハ
」
家で待っている奥様に見せるため、撮影している後姿、とても素敵ですよ
8時40分、一切経山の山頂を後にし(30分も山頂にいたのだ。びっくり)
酸ヶ平避難小屋までは、来た時と同じ、砂礫の道を歩く。
酸ヶ平避難小屋の先の三叉路で、トレイルランニングをしている集団が後ろから来たのを見かけた。
もしやダーリンがその後にくっついて走ってきたかもしれないと探すが、いないようだった。
こんな素晴らしい日に、一緒に歩けないのはとても残念だが、仕事と運転で疲れてしまったのだろう。
ぴすけが浄土平を出発した7時は、ちょうど登山者の谷間に当たっていたらしく
運が良いことに、一切経山への登りでは早朝組が下りてくるところで
一切経山から下りる時には、8時ごろ浄土平を出発したと思われる組がどんどん登ってくるところだった。
酸ヶ平から鎌沼へも、この日は左回りに周る人は少なかったようで
たまにハイカーとすれ違うことはあっても、前後に人はなく、終始絶景独り占め状態
歓声を上げようが感涙にむせぼうが
、聞いているのはネズミ
とクマ
と虫
くらいだ。
鎌沼の水も、水温がまだ低いためか澄んでいて、柔らかい風に吹かれて漣が寄せている。
日陰には、ミツバオウレンがまだ咲いていた。
鎌沼畔を周れるように整備された木道を歩きながら、東吾妻山をピュピューッと往復するか思案したが
今日は一切経山で絶景を眺められたこともあり、趣向を変えて姥ヶ原へ花見に行くことにした。
この時、9時28分。
まずは姥神様に御挨拶をせねばと、進路を姥ヶ原へと採ったぴすけであった。
(つづく)
まだ先が長いのだから
こんな無茶をしていたら、先にあるのは危険です(同行の私も同様です
また、「Guts!」だなんてcanさんから言われて、ほめ言葉と勘違いして、「僕は健気で可愛くGuts!のあるお髭のナイスガイ
娘がゲームでダーリンに歌を作って、その歌詞が秀逸なのですが、「破れかぶれの暴走人生~
そっちの方が、的を射ているかな