地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

2011-02-25 00:10:49 | ポルトガル語

Carro (カーホ) 

 ヨーロッパの冬は鉛色の空の日が多く、歴史ある重厚な建物も沈んで暗い印象がある。リスボンを訪ねた日も真冬の曇天、しかしケーブルカーが街を明るく活気づけていた。黄色の車体がひときわ目を引く。石畳の坂道が多い街をガタゴトと走るケーブルカーは利便性だけでなく何とも旅情を誘う乗り物であった。

 リスボン市内の低地と高地を結ぶケーブルカーが地区別に3路線ある。写真は新市街の大きな広場と展望台を結ぶグロリア線。胸突き八丁の坂を5分ほどかけてゆっくりと上がる。展望台のある小さな公園からは赤い屋根瓦や教会、古代ローマ軍が築いた砦を基に作った城、遠くにテージョ川までを望むことができる。

 更に上がりきったところにあるのがサンロケ教会。メジャーな観光地ではないが、天正遣欧少年使節団の伊東マンショ・中浦ジュリアン、千々岩ミゲル、原マルチノが訪れた場所ということで日本人にとっては特別な場所といえる。彼らは1582年、九州のキリシタン大名の名代としてローマへ派遣された。インドを経由しリスボンに到着した時にサンロケ教会が宿舎として提供されたそうだ。その後、ローマへ移動して教皇グレゴリオ13世に謁見。1年4ヶ月の間にキリスト教を学び、印刷機や楽器、海図など多くのヨーロッパ文化を持って帰国した。

 派遣された当時の伊東マンショは13歳という若さ。西欧の全てに瞠目したことであろう。日本から遠く離れたポルトガルにおいて、幾多の年月を経た21世紀の今も安土桃山時代に生きた少年達の足跡を感じることができる場所である。リスボンに行った折りにはケーブルカーに乗って訪ねてみてはいかが。(さ)

 

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2011-02-20 00:00:00 | 日本語

ラニーニャの影響による全世界的な異常気象と時を同じくし、日本では寒波到来。豪雪地帯以外でも、大雪による被害が多数見られたこの冬。新潟生活初心者の私は、早速、厳しい雪国の冬の洗礼を受けることとなった。

テレビニュースでよく目にする、雪壁に囲まれた辺り一面真っ白の風景は、同じ新潟県でも上越・中越地方の雪景色。下越の新潟市内は、雪が降ることはあっても、さほど積もることはないと聞いていた。ところが今年の冬は、新潟市内にも例外なく雪は降り積もった。
どの家の軒下も、日本海側の水分を多く含んだ雪が大人の身長と同じくらいに積み上げられ、厚い雲に覆われた空の下、その雪は溶けることなく日に日に氷へと変わっていく。除雪車や融雪車が通る大きな道路はまだ良いが、家の前の路地や歩道に残った雪は、日に日に体積を増していった。
外に出れば、そこはアイスリンク状態。普通に歩くこともままならなかった。

その頃からよく目にするようになったのが、店先にずらっと雨靴を並べた靴屋の光景。デパートにあるような、どんなお洒落な靴屋でも、一番に目に飛び込んでくるのはゴム長靴。街中を見渡せば、流行のファッションに身を固めた人やスーツ姿の若い女性も、足下を見れば長靴姿。防水の意味もさることながら、滑り対策としても有効なのだという。
雪国ならではの「ファッション事情」に当初は驚いたものの、足元が覚束ず、外出もままならない自分の状況を鑑み、私もいよいよ長靴を購入する決意をした。「なんと大袈裟な」、と思うかもしれないが、お洒落大好きな私にとって、どんなに全身を格好良く決めても、足下が締まらなければ全てが台無し。
しかし、さすがは雪国!遠めに見ればブーツにしか見えないようなお洒落な雨靴が充実していること!首都圏でも、何年も前から、梅雨を楽しもうという意識からお洒落雨靴が流通していることはもちろん知っていたが、その頃は、自分の生活に必須のアイテムになろうとは思ってもいなかった。

この数週間は、寒も緩み、垂れ込めた鉛色の空や真っ白な雪化粧の世界からも、ようやく解放されつつある。
誰もが、厳しい冬の後に迎える、ペールトーンに彩られた穏やかな春の風景には心癒されるものだが、雪国に居ると尚更、色彩のある風景がありがたいものだと感じさせられる。春の空気を孕んだ風が白一色の世界を浚い、一分一秒ごとに生命の息吹を感じられる日の来るのが、今か今かと待ち遠しい。(m)

写真は我が家のにゃんこ 雪国のペットショップでは、寒さ対策のキャット・ハウスも充実しています。

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茶(ヨルダン)

2011-02-16 00:00:00 | アラビア語(ヨルダン)

 شاي(シャーイ)

 またしても、思い込みが発生!
 中東で飲むお茶はミントティが基本と思って、「シャーイルビナアナア」とミントティを注文したところ、「ありません」という答え。
 「シャーイ・ベルミーヤならあります」と答えが返ってきた。
 ベルミーヤとは何ぞや?と、とにかく注文してみた。
 紅茶に乾燥ハーブが浮いて出てきた。
 これはセージ。書くとマルビーヤだが、ヨルダン訛りなのかベルミーヤと聞こえる。
 レストランではミントティをおいていたが、観光からちょっと外れたようなところでは、このベルミーヤ・ティを置いていたので、これがヨルダンのお茶といえるだろう。
 アフリカ大陸では緑茶ベースのミントティがよく見られるが、ヨルダンで緑茶を売っているのを見なかったので、こちらでは基本的に飲まないようだ。
 ベトウィンキャンプで一泊すごしたが、ちょっと外れてしまった。
 砂漠ツアーで立ち寄ったお茶屋で売っていたのは、セージ、シナモンをブレンドした紅茶だったが、ここではミントティが出てきた。
 ヨルダンのベトウィンキャンプは、キャンプといいがたいネットも使えるしシャワーもあるというもの。
 そこで流れていたのはエジポップ。こんなところでエジプト音楽は聴きたくないから、ヨルダン音楽かけてと頼んだが、もっていないという。
 いろいろへんてこりんな言動が見られるので、聞いてみたらオーナーの息子はヨルダン人とエジプト人のハーフ。
 従業員はエジプト人。
 通りでおかしいと思ったわけである。
 ヨルダンの砂漠で、エジプト人に会ってしまうとは、トホホである。

 さて、エジプトでは、近年大流行であった緑茶ミントティはすっかり影を潜め、ミニマーケットでは売っていない。
 今年はただのミントティを飲んでいるエジプト人である。

 地球散歩1周年に書いたのがアラビア語の「茶」それから5年後のアラビア語の「茶」をお届けです。よかったら、5年前のお茶も一杯どうぞ。[a]

 

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レモン(ヨルダン)

2011-02-12 00:00:00 | アラビア語(ヨルダン)

لِيمُون(リムーン)

なんでもエジプト基準だと、驚くことが多い。
日本から「外国へ行く」と思えば、「へ~この国ではこうなんだ」と思うことが、同じアラブなんだから大して違いはないだろうという思い込みを持っていくと、ぜんぜん違うことに驚かされることになる。
エジプトはアフリカ大陸。ヨルダンはアラビア半島。違って当然である。
そういいながら、ぶつぶついろんなことを言いながらヨルダンを旅していた。
一緒にいた友だちは、私のぶつぶつの意味が最初わからなかったが、エジプトに上陸して「これか!」といちいち納得していた。
そのひとつがレモン。
ヨルダンでは日本で見る大きなレモンが一般的。
私がアラブのレモンで思い出す、小さなレモンは見なかった。
そして、スープにレモンを落とす習慣もほとんどないようだった。
とはいえ、庭先にレモンの木のある家も多く見かけ、とても身近なものであると感じた。
ヨルダンからエジプトに出て、外資系の大型スーパーに行ったところ、エジプト御用達の小さなレモンは1キロ200円くらいなのに対し、大きなレモンはなんと15円!
外国人用においてあるのだろうが、とにかく人気がないのが、値段だけ見てもよくわかる。
[a]

 

人気ブログランキングへおっきいレモンも小さいのも大好き!


レモン

2011-02-08 00:00:00 | ペルシャ語

لیمو (リームー)

碧が紹介したエジプトのレモン、続いてさらさが書いたギリシャのレモン同様、イランのレモンもすだちのような小粒の丸型が主流だった。イランでは、他にもいくつかの種類のレモンが年間を通して収穫される。味覚の中で「酸味」が最も好まれるイランでは、柑橘系の種類がレモンに至るまで豊富だ。

左の市場の写真に写っているのは、リームー・シーリーン。その名も「甘いレモン」。名前のとおり全くすっぱくないので、強烈な酸味を覚悟して食べた方は拍子抜けされることだろう。その味は、イスラエル原産のスウィーティに似ている。味のまろやかさに反して、ビタミンCがとても豊富で、風邪をひいた時に食べると効果覿面。
右上方の写真もリームー・シーリーン。旬は冬場だが、夏が終わる頃から少しずつ出回り始める。写真のものは晩夏に撮ったものなので、青みが強いが、旬のものは、「レモン色」をしている。

ここで、リームー・シーリーンが登場するイランの有名なことわざをひとつ。
「姑はリームー・シーリーンのよう。最初は甘いが段々苦くなる。」
どこの世界でも、姑は一筋縄では行かない相手なのだろうが、このレモンの持つ独特の風味を、実にうまく表現している諺だと思う。

さて先日、碧の記事のコメント欄に、miriyunさんから乾燥レモンについて書いて頂いた。コメントいただいたとおり、イラン料理では、写真右下の乾燥レモンが頻繁に使われる。上述したとおり、イラン人は酸味が大好き。ピクルスにヨーグルト、トマトピューレ、煮込み料理に至るまで、周囲の国に比べてとにかく酸っぱい。miriyunさんがご紹介くださったゴルメ・サブズィを始めとした「ホレッシュ」(イランの煮込み料理類。インドで言えばカレーのような存在の家庭料理)のいくつかには、この乾燥レモンが欠かせない。フレッシュなままのレモンが使用される場合もあるが、乾燥レモンを使うと、日本で言えば干ししいたけのような効果があるのだろうか?太陽の光でぎゅっと旨みと栄養を凝縮された食物の効果は、全世界同じであろう。
余談だが「サブズィ」とは、ハーブのこと。イランの料理には、これまた「乾燥」ハーブも頻繁に用いられるが、ハーブにレモンに・・・、イランの家庭の食卓が如何にヘルシーかが垣間見られるかと思う(但し、家庭料理に限るが)。

碧、さらさの記事を読んでいて、また、碧の記事へのタヌ子さんからのコメントを拝見して、私も「レモンのシルクロード」について知りたくなった。食べ物を通して広がる『地球散歩』。最近はデスク上でもヴァーチャル地球散歩が可能だが、久しぶりにこの足でしっかり大地を踏みしめ、世界の台所を渡り歩きたくなった。(m)

*ペルシャ料理本を出版されている日本在住のイラン人、レザ・ラハバさんのブログにリンクを貼っておきますので、ペルシャ(イラン)料理に関心のある方はぜひご覧になられてくださいね。
http://cafepersia.exblog.jp/

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エジプトより

2011-02-04 00:38:09 | コラム

エジプトはどうなってしまったのか?連日の報道で、日本ではさぞや、恐怖を感じておられることかと。

一部の暴徒化した人々だけがクローズアップされていると思いますが、
実際には、メーデーに日本人が歩いているように、歩いている人々がほとんどです。
それもごく一部の人たちで、私の知り合いには一人も参加している人がいません。
ただ、ひたすら悲しみ、今後無収入になってしまうことをうれいています。
観光で生きている国です。
観光客なしに、どうやって日々の糧を得られるというのでしょう?
頭を冷まし、己の国がどういう国かを、ちゃんと見極めてほしいものです。

私はルクソールにいます。
観光客はほとんどいません。
芋の子を洗うような王家の谷に、観光バスが1台、取り残されたようにいました。
すがりつくようにみやげ物を買ってくれというおじさん。
おじさんから買ったら、ほかの土産物屋も飛び出してくるのはわかっています。

毎朝、すずめのさえずりで起き、
ライトアップした神殿を見ながらご飯を食べたり、
デモは、私にとって遠いです。

この国がまた観光客で埋め尽くされるまでには、
まだまだ時間がかかります。
その日が早く戻ってくるように、
つまらないことに巻き込まれ、その日を遅らせないよう、
私はしばらく田舎に引きこもっています。[a]