5月の晴れた日、古い写真機をぶら下げて埠頭を散歩する。
建て変わる前の大桟橋を近くに臨む場所とはいえ、埠頭という場所はいつも物寂しく人の気配がしない時が多い。
が、今日は三毛猫が一匹うろうろしている。
埠頭の猫。こいつは眠るときは何処で眠っているのだろう。
などと考えながら何気なく猫を撮ったり、近くにある古い公衆便所や海の様子を撮っていたところ、いつの間にか一人の男が件の三毛猫をあやしていた . . . 本文を読む
前回の続きでまだ古本街をうろうろしている僕であった。
さらに幾つかの本屋を眺め次の店に入ってみる。
ここは何となくいい本や写真集がありそうな気配。
狭い空間に魅力的な背表紙が並ぶ。
そして多くの古本に混じり、ちょっと大き目の猫が1匹、平積みにされた古書のうえに乗っかり気持ち良さそうにうとうとしている。
しかも困ったことにちょっと手にとって眺めてみたいなあと思う本の上に鎮座しているのである。 . . . 本文を読む
イスタンブールにもちょっとした古本街のような所があり、狭い範囲ではあるがいろんな古本が出ていて面白い。
また、すぐ近くの広場も商人たちが集まってバザールに転じる。
その中にはワゴンに古本を並べる古本屋も少なくない。
僕は一軒ずつ本屋を巡り、何か良い写真集があったらいいなと思いながら物色していた。
漠然と探していた訳ではなく、できれば「アラ・ギュレール」というトルコの写真家の作品を見つけたか . . . 本文を読む
写真機をぶら下げて岸壁を散歩した。
秋の晴れた空の下、信じられない光景に興奮した。
岸壁に大きく傾いて横たわる巨大な貨物船。
見たところ大きな破損箇所は何も無く、岸壁に接触した箇所に傷がある程度。
恐らく転倒してから大分日がたつのであろう。
周囲には特に人影も無く、風も無く穏やかな陽気の中で、巨体は静かにたたずんでいた。
この巨大な「物体」を僕にとっての一つの大事件としてシャッターを押した . . . 本文を読む
今回もまたバスの話。
パキスタンのペシャワールからクエッタという町へ移動することとなった。
3月初めのこと。春が近いとはいえその日の朝は小雨が降り、肌寒い天気であった。
出発予定時刻を1時間程遅れてバスは発車した。
バスのコースは北部辺境地区とよばれる地域を通るコースで、かなり荒れた山岳ルートをたどるものであった。
曲がりくねった坂道が多く、運転には注意が必要であり当然速も度遅くなる。
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