Photo-vox

写真・音楽・スケッチ・・・これらをみんな箱に詰めて

463 ハイデラバードの風の塔

2018年09月10日 | pakistan

バーナード・ルドフスキーの名著「建築家なしの建築」は建築家やデザイナー、そしてまた旅を心の糧とする者にとってのバイブルであろう・・・と僕は勝手に思っている。著書で記された多くのバナキュラーな建物群は恐らく今日において、そのほとんどが世界遺産などに登録されており、旅行好きの人達は気付かないうちにルドフスキーの取りあげた建物群を訪問しているに違いない。学生の頃、眠る前のひと時を仰向けになってこの本を眺め、スタンプラリーのようにこれらの場所を訪れたいものだと何度も思いつつ、結局行くことが出来たのは僅かな箇所に過ぎない。

パキスタン・シンド州ハイデラバードの住居群・・・これは学生の頃から今に至るまで是非ともこの目で見たいと思っていた都市景観だ。乾季の気温がかなりの高温になるこの地域では僅かながらにそよぐ風を少しでも住居内に取り入れるため、煙突(のような縦穴風洞)に風を導く板を固定している。風洞は各部屋に一箇所ずつあるため一家に数本、それが集落全体に掛け算された群体となり、このような見事な景観を作り上げているのだ。

以前から行って見たいと繰り返し思いつつも行けないでいる。せめてGoogleストリートビューなどで疑似体験でもと思い眺めてみたのだけど、まだまだその手のデータが整っていない地域らしく、ストリートビューで眺めることがなかなか出来ない。航空写真でどの辺か分かるだろうかと旧市街と思わしきエリアをあちこち眺めて見るのだけど、どうもそれらしいものが見当たらない・・・というか写真の精度としても今ひとつハッキリしない。果たしてこの景観はどこにあるのだろう?

あれこれ検索をしてみると幾つかの古い写真がヒットする。いや、古い写真ばかりヒットして最近の写真は全く出会わない。いずれも建築関係のサイトなのだが、使われている写真も同じ写真の使い回しでしかない。これは一体どういうことだろう・・・そこでたまたま見つけたある建築家の文章では「ここ20~30年の間に扇風機が普及し、500年以上の伝統を持つ風穴のある住居は激減している」と記されていた。

このような奇妙な光景が今でもあるならば、もう少しテレビやサイトなどで目にしていてもおかしく無い。最近の写真や動画だってあっても良い。それに全く出会わないということは今はもう残っていないということか。果たして現地に行って仔細に歩き回れば、その片鱗には出会うことができるのか・・・そんなことを思いつつ、なかなかこの先も行けそうにないので、せめてネット上で探し回ることとする。

The Funambulist Architectures without Archtects                                              

Local Code Windcatcher Passive cooling and cultural identity                    

Hoolawhoop Hyderabad's wind catchers                            

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
« 462 横尾館の無間地獄 | トップ | 464 正しいバターの食べ方 »

コメントを投稿