前に進んだかと思えば、何か押しとどめたり、後ろに引き戻すことが起こったりして、この8年半の間の店の歩みは3歩進んで2歩下がってきたというのが実感です。
はじめ少しいらだつことももありましたが、そういうものだと思えば気にならなくなる。
何か後ろ向きの力が働いた時、そういうものだと思って今は淡々やっています。
商売は結局売り上げがいくら多くても、1円でもマイナスなら赤字で、売上が100円でも利益が出ていれば黒字で、赤字だと続けられなくなる。売上を大きくするよりも黒字にすることを常に考えたいと思っています。
よく全国何百店舗到達とか、年商何億円達成などと言って、感謝セールなどをしているチェーン店を見かけます。
すごいことだとは思うけれど、店が多くなれば多くなるほどありふれてくるし、不採算の店舗も出てくるのではないかと、大きなお世話だけど思っている。
規模を拡大して、売上を伸ばすことは男のロマン(男女はないかもしれないけれど)で、店舗数が増えると仕入れ額が増えて、安く仕入れることができ、お客様に還元できるということなのかもしれないけれど。
でも世の中にすでにたくさんある業種のお店が、日本一の店舗数を目指して増やすということを世の中のことを考えていないのではないかと、私は思う。
世間はそれで足りているのに、すでにあるお店を潰すために近くに新店舗を建てたりするのは、自社のことしか考えていない行為だと思います。
そういうことはいろんなところ、いろんな分野でされているけれど、規模が大きくなればなるほど、世の中のことを考えないといけないのではないか、それがリーダーなのではないかと思う。
チェーン店などは店数が多くなればなるほど特別感のようなものがなくなってしまうと思うけれど、こだわりのものを売っているお店、ブランドなどはどう思っているのだろう。
会社の規模を拡大するよりも、自店の質を高めたいと私は思う。
お店というのはいつも何かお客様に我慢させていて、その我慢がその店で買う喜びを超えると買ってもらえなくなってしまうものだと思っている。我慢がゼロならそれは素晴らしいことだけどあり得ない。
質を高めるというのは、我慢を少なくし、喜びを大きくすることだと思う。
小売業の業績を左右するのは、世の中の景気ではなくその店自身の問題が大きいと思っています。
質を高めるということは、今すぐの売上には貢献しないかもしれないけれど、長く続いていくための役に立つことです。
スタッフMの加入は、当店の質を高めるために必要なことだと思っている。