元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

小さな世界

2017-04-30 | 実生活


山本通 


店が始まる前に東急ハンズに行く途中に声を掛けられて振り返ったら、カンダミサコさんが優雅に自転車で走ってきました。

近所なのでカンダさんとは偶然会うこともあるかもしれないけれど、休みの日でもちょっとその辺に出掛けた時に知り合いに会うことが多く、本当に小さな街だと思います。
でも神戸のそんなところが気に入っています。

当店のスタッフ森脇直樹が外に招かれて聞香会をした時の縁で、当店に万年筆を買いに来て下った若い女性がおられました。

その方が、姪と一緒に店に来られて驚きました。

万年筆屋さんに行きたいという友達について来た店が、伯父さんの店だったという偶然でした。

世の中は本当に狭いなと思うことがよくあるけれど、それは万年筆というキーワードが入ると尚更だと思っています。

万年筆を使う人も、扱う店も少なく、それが世の中を狭くしていて、知り合いの知り合いが知っている人だったということは非常に多い。

小さな世界なので、お客様の数が限られていると思って、お客様の取り合いを店同士がしているとますます万年筆の世界は小さくなって、発展や未来がなくなっていく。

それぞれの店が自分たちの世界観を表現して、それに共感するお客様を増やしていける活動ができたら、万年筆という狭い世界はまだまだ大きくなっていけると思っているし、万年筆というものについて考えた時、潜在的なお客様はたくさんおられると思っている。

歩けば知り合いに会うような小さいと思っている神戸だけでも120万人もの人がいて、当店に来られたことがある人はいくら多く計算しても、100分の1くらいで、まだまだ余地がある。

新しいペン先調整機の製作で大変お世話になった高木会長のペンランドカフェは、規模も当店と同じくらいの同業者だけど、ペンランドカフェさんと当店とは、目指すものは近いけれど当然個性が違っていて、棲み分けができている。

本業の食品会社を立ち上げて、今のように大きくした才覚も、力もある高木会長の人間の大きさに甘えて、私が勉強させてもらって、お世話になってばかりだけど、ペンランドカフェさんとは協力関係が成り立っていて、ことあるごとにやり取りしている。

名古屋には当店と違うやり方で、万年筆を使う人を増やしたいと夢を持って営業している店がある。
その店の繁栄は刺激になるし、その店と協力し合えていることを誇りに思っていて、これが世界を大きくすることにつながるものだと思っています。

 

 


札幌でのイベント 6月24日(土)25日(日)

2017-04-16 | お店からのお知らせ

北海道は憧れの土地で、ぜひそこで仕事をしてみたいと思っていました。

大学生の時、冬の北海道を3週間か1か月か忘れてしまったけれど、のんびりとさすらったことがあります。

まだトンネルが通っていなくて、日本海で青森までいって、激しく上下に揺れる青函連絡船に乗って函館に入り朝市に行きました。

訪れた函館、札幌、小樽は冬でもとても美しい街で、大学生の一人旅にはもったいないようなところでした。映画のロケにも出会いました。

札幌から夜行で着いた稚内の朝は日本最北端を感じさせる寒さと暗さだったし、流氷を見に行った紋別では地吹雪で町中で遭難しそうになった。

網走、釧路、根室など、旅程の半分以上は道東のどこかを歩いていて、鉄道沿いにあるささやかな人工物と大陸を感じさせる大自然を見ながら、一人旅を楽しみました。もう30年も前のことなのにとてもよく覚えている。

その後10数年前に家族で行った夏の北海道、富良野、夕張などは、気候も良くて、自然も美しい天国のような場所に思えました。

また必ず来たいと思っていました。

今回札幌しか訪れることができないけれど、イベントを札幌で開催することができるようになったのは、当店のネットショップを利用して下さったり、神戸に来られた時に来店して下さったお客様方と、会場を貸してもいいとお申し出下さった北晋商事の金さんおかげですが、自分自身がまたここに帰ってきたいと強く思っていたことが大きく作用していたように思っています。

札幌でイベントをすると公表してから、それならこの万年筆を持って来て欲しいと、リクエストして下さるお客様が何人もおられて、歓迎して下さっていることが分かり、とても有り難く思っています。

どうせ行くなら、なるべく多くの人の顔を見たい。そんな想いで、私単身での開催ですがなるべく普段通りの当店を札幌でお見せしたいと思っています。


6月24日(土)25日(日) 10時~19時 ギャルリ ノワール・ブラン 札幌市中央区南2条西6-5-3住友狸小路プラザハウス2F


出張販売

2017-04-09 | お店からのお知らせ

・札幌 6月24日(土)25日(日)10時~19時 ギャルリノワールブラン(札幌市中央区南2条西6-5-3住友狸小路プラザハウス2F)

・福岡(工房楔との共同イベント) 7月8日(土)9日(日)11時~18時(9日は16時まで) ギャラリートミナガ(福岡市中央区大名2-10-1シャンボール大名A-103)


今年は当店10周年ということもあり、昨年とは違う年にしたいと思っていました。

オリジナル商品を積極的に作ることもしたいけれど、それでは今までしてきたこととそれほど変わりがない。

今の自分にとって、無理しないといけないけれど、それを繰り返すうちに無理だと思っていたことが嘘のようにスムーズにできるようになるような、成長につながることを始めたいと思いました。

この10年、ずっと店の中でお客様をお待ちして、それで当店の仕事は成り立っていましたが、外に出て行って仕事してみるのはどうだろうと思い始めていました。

昨年1月の代官山蔦屋書店でのイベントはそれを実験するのに、とても良い機会でした。

慣れていなかったのでとても大変でしたが、ある程度やれるのではないかと思いました。

まずそれぞれの地域の中心となる都市、札幌と福岡で短期出店をして、それらを毎年恒例にしながら、少しずつ増やしていきたいと思っています。

札幌はローラーアンドクライナー、ダイヤミン、KWZインクなどの輸入代理店の北晋商事さんのギャラリーをお借りして、当店オリジナル商品、や特別調整万年筆、革製品を中心に品ぞろえしようと思っています。

イベントのための温存している特別仕様の商品もありますので、ぜひご来場下さい。


福岡は工房楔の永田さんと共同開催です。

当店は札幌での品揃えを福岡用にも用意しています。永田さんもこのイベントのためにがんばって木製品を製作してくれています。

暑い季節が始まる頃ですが、どうぞご来場下さい。

 


イタリア色のインク?

2017-04-04 | 実生活

1年の表(3~9)と裏(10~2)ではモノの好みが違うのでそろそろインクの色を変えたいと思うようになりました。

冬は黒っぽい色がやはり日本の文字に合ってると思って気に入って使っていましたが、3月頃に春の予感がし出すとブルーブラックに、4月には何か新しい色をと、思い始めました。

涼しくなり始めた時、あれほど嬉しそうに履いていた革靴がとても暑苦しく、実際にも暑く感じて、もっと自然で軽いものに履き替えたいと思うようになり、好みは季節に非常に左右されます。

最近イタリアづいています。

イタリアに関する本を立て続けに読んでいる時に、イタリア絡みの出会いがあったり、昨年末からアウロラが限定万年筆を連続して発売したりと、今年は当店にとってのイタリア年になるかもしれないと思っています。

イタリア人のあくせくしない、自分の分をわきまえた考え方が好きで、自分がもともと持っていた考えと共通する部分が多く共感します。

そういったことをインクの色に込められないかと思っている。

イタリアだからといって、緑とか赤にするつもりはない。


エルバンのインクはそれぞれの色にストーリーやシーンがあり、私のとても好きな商品展開をしています。

それぞれの色に必ずイメージやいわれがあると思いますが、それをおしゃれなイラストと美しいネーミングで表現している。

イタリア年のインクの色を何にしたのか、またご報告できる機会があればお話ししたいと思います。


2017-04-02 | 実生活

角の桜がやっと咲きました。

この辺りではこの桜が一番早いけれど、今年は遅かったような気がする。

暑さ寒さも彼岸までに今年も当てはまらず、寒い3月でしたね。

長い間屋内でのみ仕事をしてきましたので桜を見た思い出は休みの日に限定されてしまいます。

休みの日と桜の良い時が合えば桜を見に行けるけれど、週1回の休みに雨が降るとその年の花見は流れてしまいます。

以前に花見をした場所を思い出すために妻が、キャノンオートボーイとか写ルンですで撮った写真が収まったアルバムを引っ張り出してきて見ていた。

自分が撮った写真を見ながら、人はなぜこんなにも桜を撮りたがるのだろうと思う。

そして桜を見るとなぜ、私のようにテンションの低めの人間でも気持ちが盛り上がるのだろうか。

きっとやっと寒い冬が終わって、明るい暖かな日々が始まるからと思いますが、桜が咲くと何もかも新しくなったようなリフレッシュされたような気持ちになるからかもしれません。

賛否両論あって、世界的には不便で仕方ないけれど、やはり日本の新学期は4月からだと思う。
そこは歩み寄るところではない。

当店も新しい年を迎えたつもりで新しい気持ちで、今月からいたいと思っている。