山本通
店が始まる前に東急ハンズに行く途中に声を掛けられて振り返ったら、カンダミサコさんが優雅に自転車で走ってきました。
近所なのでカンダさんとは偶然会うこともあるかもしれないけれど、休みの日でもちょっとその辺に出掛けた時に知り合いに会うことが多く、本当に小さな街だと思います。
でも神戸のそんなところが気に入っています。
当店のスタッフ森脇直樹が外に招かれて聞香会をした時の縁で、当店に万年筆を買いに来て下った若い女性がおられました。
その方が、姪と一緒に店に来られて驚きました。
万年筆屋さんに行きたいという友達について来た店が、伯父さんの店だったという偶然でした。
世の中は本当に狭いなと思うことがよくあるけれど、それは万年筆というキーワードが入ると尚更だと思っています。
万年筆を使う人も、扱う店も少なく、それが世の中を狭くしていて、知り合いの知り合いが知っている人だったということは非常に多い。
小さな世界なので、お客様の数が限られていると思って、お客様の取り合いを店同士がしているとますます万年筆の世界は小さくなって、発展や未来がなくなっていく。
それぞれの店が自分たちの世界観を表現して、それに共感するお客様を増やしていける活動ができたら、万年筆という狭い世界はまだまだ大きくなっていけると思っているし、万年筆というものについて考えた時、潜在的なお客様はたくさんおられると思っている。
歩けば知り合いに会うような小さいと思っている神戸だけでも120万人もの人がいて、当店に来られたことがある人はいくら多く計算しても、100分の1くらいで、まだまだ余地がある。
新しいペン先調整機の製作で大変お世話になった高木会長のペンランドカフェは、規模も当店と同じくらいの同業者だけど、ペンランドカフェさんと当店とは、目指すものは近いけれど当然個性が違っていて、棲み分けができている。
本業の食品会社を立ち上げて、今のように大きくした才覚も、力もある高木会長の人間の大きさに甘えて、私が勉強させてもらって、お世話になってばかりだけど、ペンランドカフェさんとは協力関係が成り立っていて、ことあるごとにやり取りしている。
名古屋には当店と違うやり方で、万年筆を使う人を増やしたいと夢を持って営業している店がある。
その店の繁栄は刺激になるし、その店と協力し合えていることを誇りに思っていて、これが世界を大きくすることにつながるものだと思っています。