元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

古くから変わらないもの

2014-09-30 | 仕事について

言うまでもないことかもしれませんが、新しく発売された時代の先端を取り入れたものよりも、古くからある定番中の定番と言われるものに惹かれます。

私の感性が保守的で、新しいものになかなか飛びつくことができないということもあるけれど、それよりもずっと続いてきたということに価値を感じるからです。

世の中の多くのことが目まぐるしく変わって、流行がどんどん移り変わっていく中で、いつもそこにあって生き残ったきたことに魅力を感じるのです。

もちろん時間というフィルターをも通ることができてきたという安心感もあるけれど。

店においてもそういうものを提案したいと思うし、稀に出る新しく発売されたものの中でも続いていくものを見極められたら素晴らしいことだと思っています。

仕事の道具、例えば私が仕事に就いたばかりの頃、連絡の手段は電話ばかりでFAXにも驚いたけれど、気がついたら電子メールが当たり前になっていて、自分も気付いたら使っていた。

そういう仕事の道具はどんどん便利なものができて、それは変わっていくものなので、古いものにこだわるの必要はないけれど。

ずっと以前にあるお世話になった人が「古典を読みなさい。ずっと読み継がれてきたものを読みなさい」と言っていたけれど、古いものに価値があるのではなく、古くからあるということに価値があって、それは全てのものに言えることだと、やっと分り始めたのはしばらく経ってからだったけれど。

世の中の道理、人間の考えること、突き動かす感情のようなものはそうそう変わるものではないのかもしれません。

私が仕事をするようになって、20数年しか経っていないけれど、大きな流れはしょっちゅう変わるけれど、小さな流れは必ずそこにあって変わらなかったということを実感として持っていて、誰でも感じる大きな流れではない小さな流れに気付くことは古くからある変わらないものを見つけることなのかもしれないと思うようになりました。