元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

誇り

2014-04-01 | 実生活

少し前の話になるけれど、百貨店のお歳暮売れ残りセールの模様をテレビで観ました。

カートいっぱいに商品を詰め込んでいる人、商品を取り合う人の姿、この光景を背景に売れていると喜んでいる百貨店担当者。

百貨店がこういうことをやってはいけないと思いました。

人のプライドを捨てさせるような企画を、売れると分っていてもやらないのが、美しい暮しを提案して、夢を見させてくれる百貨店の存在意義で、それを忘れてしまったら衰退の道しか待っていない。

安く、たくさん欲しいという、人の一番弱いところをついた商売にプライドは感じられず、それは様々な業界で普通のことになっています。

どの企業も自分達の扱う商品、サービスで人を幸せにすることを企業理念に盛り込んでいると思うけれど、そのモノのさばき方はそれに合っているとはとても思えない。

お店は、心を込めて、愛情を持ってお客様を先導する立場にあると私は思っているので、そのお店がお客の品格を下げるような場面を演出してはいけないと、商売人の端くれとして、そのなりふり構わない姿勢を恥ずかしく思います。

私は一緒に仕事をする取引先、お店の備品やサービスを提供してくれる会社など、ここの考え方、仕事の仕方に共感する、ここにお金を払いたいと思うところとだけ付き合いたいと思っていて、いくら安くてもその仕事の仕方に品格が感じられなければその話しに乗りたいとは思わない。

お店や会社は、お客様からそういう目で見られることを意識するべきで、商品の売り方に誇りを持ってほしいと思います。

狂言師の安東伸元先生がいつも言っておられる「日本人としての誇り」は経済という世界の中では失われてしまって久しいのかもしれないけれど、その揺り戻しは必ずやってきて、誇りを持って仕事をしている企業が最後に残っていると信じています。

売り手、作り手は誇りを持って商売をし、お客様にその商品を手にしたことを誇りに思ってもらえるようにしていくことが、私たちが誇りを取り戻す第1歩になるのだと思っています。


だから、当店で商品を買って下さいという話しだと、それこそ誇りも何もあったものではないので誤解なきようお願いします。