フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

しゃちょ日記バックナンバー/2015年02月②

2015年02月01日 | しゃちょ日記

06雄二.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月28日(土)その2038◆地球に優しい

保守的な人でもないんだが、地味好きではある。

趣味はクラシック音楽、将棋、落語、古典文学、下町散歩。
ほとんど電力も使わない。
仲よしタイプも、男女ともに地味好きが多い。
惚れた女は100%地味。

争いごとは嫌いなので、極力避けて通る。
自分が悪ければペコペコ謝る。
理不尽なイチャモンは、短時間でぶっつぶす。
できるだけ地球に優しいタイプで在り続けたい。

地球.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月27日(金)その2037◆キーワード

久々に後輩ヨシオと呑む。

論点はバッハの二声と乙川優三郎。
共通する何かを探る作業が楽しい。

連日聴くヨシ&ダイのカルリが
ずっと脳裏をこだましている。
  
共通する何かを探る作業というのは、
どうしてこんなにも楽しいのだろう?

レモンを添えたウィスキーソーダの表面に
〝孤独〟というキーワードが浮かんでいる。

乙川優三郎/トワイライトシャッフル.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月26日(木)その2036◆過激なエレガンス

フラメンコファンにもお馴染みのファリャ、アルベニス、グラナドスを含む
西欧の多彩なポピュラー名曲を、タイプの異なる真の実力派名手二人は、
果たしてどんなアンサンブルで聴かせてくれるのだろう?
                          
かねてより敬愛する二人のクラシックギタリスト、原善伸さんと鈴木大介さんによる
初のデュオアルバム『Guitarra × Guitarra』(ALM record )。

11016729_775522389191789_7842924282837844924_n.jpg

このデュオ録音の必然性と大成功を印象付けたのは、例えばカルッリ「ラルゴとロンド」。
二人の名人における資質の共通性と相違性は、絶妙のバランスで自立協働し合う。
ソロ演奏では不可能なアンサンブルの楽園を造形していることが、
社会的動物である我ら人間の生理的・精神的快感をストレートに覚醒させる。
その対話の豊かな広がりと奥行きある響きは、国境さえも楽々と超える。

この素朴な名曲にはジョン&ブリームの歴史的名演があるが、
その二重奏が「スリリングな耽美性」を極めているのに対し、
ヨシ&ダイスケのそれは「エレガントな信頼性」を極めている。
エレガンスの正体はなんと、この世の真実に迫ろうとするストイックな男気である。
つまり双方とも、相当に業は深い。

彼らの共通項は、ギタリストである以前に音楽家であるという点。
普遍性あふれる底なしに深い音楽的教養は、あらゆるケレンを排し、
音楽そのものに内包される本来的魅力を純粋に抽出する。
頼りになるそういう分母を共有しつつ、原さんは花も実もあるオーソドックスな王道を、
大ちゃんはオールラウンドでシャープな感性をそれぞれ発揮しつつ、
ツーカーに心の通い合う、穏やかにして清冽な至高の対話を繰り広げる。

個を全面的に打ち出すことの多いフラメンコには馴染みの薄いアプローチだが、
例えばカニサレスあるいはイスラエル・ガルバンやロシオ・モリーナ、
もっと云うなら森田志保の如く、個的あるいは民族的観点などを超える、
このアルバムのような地球的・宇宙的アプローチはフラメンコにも僅かに実存する。

こうしたアートが国際紛争の解決に、
実に重要なヒントを与え続けていることはもっと強く自覚されていいと気づかされる、
とんでもなく過激なエレガンスを内包する今宵の激旨CD。

─────────────────────────────────────
2015年2月25日(水)その2035◆火星人敗れる!

先ごろのベレン・マジャ取材にて、
梅干おにぎりに加え、彼女の好物が寿司であることを知る。
  
「どんなネタが好き?」と問うと、
じっと私を見つめながら、すかさずベレンは答える。

「タコは嫌い!」

なぜかグッタリ落ち込むオレ(←実は火星人)。

mag_paseo_201111_1.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月24日(火)その2034◆宇宙人

10423311_774940975916597_5909550944579323032_n.jpg

早起きしてバッハを聴く。

今日は力技の仕事を二つばかり片付けるので、
あらかじめエネルギー満タンを目論んでいる。

こんな時には決まってブランデンブルグ協奏曲を、二番、三番、五番の順に聴く。
さわやかなリンデ盤か、それとも重厚なサヴァール盤か?
仕事の性格に合わせ、今朝は筋肉質な後者を選ぶ。
十代で始めた習慣が、まさか四十年も続くとは。

さてブランデン五番は、アメリカのNASAが宇宙生命体との交信用に選んだ曲である。
消去法で選んでゆくなら、きっとおれもこれを選んだことだろう。
ひょっとして選んだ奴らは、実は別の星の生命体なのかもしれんなとふと想う、
実は火星人のおれ。

10437395_774941069249921_2113401003291110603_n.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月23日(月)その2033◆ほわっつ・まいける

家から歩いて12秒の居酒屋〝まいける〟。
中野五差路のちょっと裏手にある。

看板の鶏の皮焼きと新鮮なモツ鍋、これが抜群にうまい。
客単価は@3,000~3,500円てな感じ。
土曜の晩に出掛けたが、三度目なのでまだ全体の様子はようわからない。

生ビール、ハイボール、焼酎ストレートに続き、
何かパンチの利いたのが呑みたくなってメニューを見ると、
生ビール欄に「男割り」というのがある。
聞けば「生ビール7:焼酎3」のカクテルだと云う。
まあ、ちょっと危ねえ感じではあるがコレにしよう。

さすがに用心しながら二口ばかりやったところで、
なんだか急にやたら愉快な気分になってきて、
大丈夫?と、連れ合いが袖を引っ張る。
おゐおゐ、こんなんでオレが酔っぱらうわきゃねーだろギャハッハ、
と笑ったところで何故か記憶が途切れちゃってるとゆー笑えない話・・・フォー!( ̄∇ ̄)

10615518_774662985944396_7698421493564198238_n.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月23日(月)その2032◆自給自足

「不平家とは、自分自身と決して折合わぬ人種を言うのである。
不平家は、折合わぬのは、いつも他人であり環境であると信じ込んでいるが」
                                            (小林秀雄)

ショーバイ柄、この手の不平家と会話するのは日常茶飯事だ。
パセオがフラメンコ協会の階上に移転し、また、
フラメンコライヴをプロデュースし始めてから、そんなウツ系茶番がめっきり増えた。

「あんた、頭おかしい」なんてふうには、
このたそがれ広報係(私)は決して云わない。
だが同じ業界の一員同士として対等に向き合うときには、こう云う場合もある。

「不満がありゃあ、自分で変えなよ」。
まあ、おれもそうして来たし、この先もそうするからさ。

10403526_774295985981096_655956217454755262_n.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月22日(日)その2031◆怪しいレシピ

テレビで知り、こりゃ美味そうだと早速試した。

豆板醤とマユネーズを合わせただけのソース。
硬めに茹でたパスタにこれを絡め、きざみ海苔を多めに振って完成。
カイワレ大根を添えるともっといい、明太子パスタ風。

案の定、早い旨い安い!
月に一度は喰おうか!

10425140_774230129321015_4727956477775539772_n.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月22日(日)その2030◆なんのその

10441215_774073366003358_4513017052501956152_n.jpg

「走れメロス」に刺激され、中学までは学年ナンバー3で疾走したものだが、
現在は「はしょれメロス」の異名をとってる。( ̄▽ ̄)

なかよし高校同期が二人、旧知の音楽仲間が一人、
新たなフラメンコ仲間が二人(トモ&タッキー)、それぞれ完走をめざす。

本日・東京マラソン。
あいにくの天候だが、彼らは「なんのその」と笑って走るのだろう。
永く孤独な道のりを、己のみを頼りに前進する快感。

─────────────────────────────────────
2015年2月21日(土)その2029◆ココロの毛生え薬

「自己嫌悪とは自分への一種の甘え方だ。
 最も逆説的な自己陶酔の形式だ」

小林秀雄/モーツァルト.jpg

辛(から)くて痛い小林秀雄。
ま、たしかに、余分な自己嫌悪欲は
ムダな自己顕示欲と同じくらいキモい。
と、ケンジは云った。

アホ過ぎた若き日、ともかくもこのアホらしい自己嫌悪ごっこから開放されたのは
小林師匠のおかげであり、彼の著作というのはココロの毛生え薬とゆーか、
特に十代二十代のバカにつける薬としては、現代でも充分有効なのではなかろうか。
と、ケンジは云った。どこのケンジだか、ようわからんが。

─────────────────────────────────────
2015年2月20日(金)その2028◆ベレンの好物

「オニギリっ!」

好きな日本食は?
間髪いれず、来日中の大物バイラオーラはそう答えた。
で、おにぎりの中身は?

「ウメボシっ!」

あっ、はい。

本日午後はベレン・マジャ取材。
ちなみに、彼女のお供は〝日本茶〟である。
スペイン以外で暮らすなら、
日本あるいは南米チリ、とのこと。

う~む、出来るなおぬしっ!

mag_paseo_201111_1.jpg

────────────────────────────────
2015年2月19日(木)その2027◆兼好寸断

明日は待ちに待った健康診断!って、そんなの待つ奴いんのかよ。
兼好診断で徒然草について訊問されるほうが、まだしもマシである。
戻って広告経理を片づけ、午後から麻布台でベレン・マジャ取材。
夜は中野で呑み会と、そこそこおれも忙しい。

今晩は酒も呑めねえし、水を呑み呑みロドリーゴのギターソロ作品を聴いている。
アランフェス協奏曲で有名な盲目の作曲家だが、
奥行きのあるその雅やかな色彩感覚にはいつもドキッとさせられる。

『祈祷と舞踏』いいねえ。
『亀頭の舞踏』だと違う話になっちゃうけどさ。
『ファンダンゴ』。これもいいねえ。一番好きかも。
テーマに入った不協和音のツネりとコミカルな喧騒が妙に艶っぽい。
久々に聴くブリームのこてこてギターがたまらんわあ。
ん~~マッカラン呑みてー!
ま、しかし、再検診はごめんだし、今日だけ良ゐ子は10時半には寝よ。

529.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月19日(木)その2026◆新人ライター

(2/13のFB日記より)

昨晩の森田志保ソロライヴでようやくの初対面となった
小田原のFB友・石井拓人(仮名・推定98歳税込)。
気さくで澄んだ笑顔が印象的な、なかなかにイカスおやじで、
ふだん寄こすイカれたコメントからは想像もつかない良好アイレのマラソンマンである。
今朝起きてFBを開くと、その拓人から初メッセが入ってたので、まんまコピペしたのだが、
昨晩おれが書いた忘備録よりはるかにおもろくて断然内容も濃い。
奴にはナイショで、冒頭の「石井拓人です」を「小山雄二です」と書き換えて
パセオに掲載すれば、あらゆる問題は一挙に解決するように想えてきた。(TT)

10625041_921814587846102_8293543646016360291_n.jpg

とまあ、こんな経緯から、石井拓人がパセオライターズ倶楽部
(通称〝フラメンコ虎の穴〟)に仲間入りした。
いま流行りのゴーストライター(私専用)になってもらおうと思ったのだが、
実際の石井氏はゴーストとゆーより化け物に近いので、
ふつうに化け物ライターとして活躍してもらうことにしたのだ。
(尚、写真は石井氏の生前のイメージ)

氏のデビューはパセオ5月号公演忘備録(森田ライヴ)。
私は褒められて育つタイプだが、彼は罵倒されて育つタイプなので、
皆さま方には精一杯のヤジを浴びせ倒していただきたいと願うものである。

─────────────────────────────────────
2015年2月17日(火)その2025◆伸びしろ

01雄二.jpg

おそらくこれは昭和32年ころ。

東京都江戸川区小松川二丁目96番地。
安藤広重の江戸名所百景『逆井の渡し』の
小ざっぱりした松林にギリギリ入るゾーン。

写真大きいほうが親父、小さいほうが私だが、
登場人物ではなく背景の野っ原に注目している。
あの頃の東京は、やたら原っぱと空き地が多かったっけ。
家は貧しく狭かったが、その暮らしが伸びのびと明るい
開放感に充ちていた記憶に誤りはない。

昨年末の引っ越しでは、およそ七割方のモノを捨て、
ガランとして居心地の良い空間を得た。
居間と書斎の横手はやはりガランとした裏庭で、
さらにその脇にはガランとした桃園川遊歩道が走る。

そうか、これがおれの求めていた環境だったかと、人生終盤で改めて気づく。
詰め込まれた情景というのは、否応なく圧迫感や閉塞感を生じさせる。
それがおれの最も苦手とするシーンだったかと、今さら気づく。

作為の希薄な小ざっぱりとした情景。
自由と開放を象徴するその伸びしろを、何より愛する自分に気づく。
そこへ自分を運んでくれたものがバッハとフラメンコであったことに、今さら気づく。

─────────────────────────────────────
2015年2月17日(火)その2024◆しゃちょ対談

きのうは7月号〝しゃちょ対談〟取材で帰宅は深夜。

カニサレスモデル(ビセンテ・カリージョ工房のフラメンコギター)の
日本総発売元である株式会社エスアイイーの林社長の登場である。
林さんは、それぞれが35年の付き合いとなるゆる~い呑み会
(林さんとプリメラのチコさんと私)の中心メンバーである。

取材の最中にひょっこり福田進一さん(クラシックギター界の超大物)が現れたり、
終了と同時にチコさんが現れたり(取材おつかれ呑み会のみ参加)、
取材休憩中にベランダで一服する私が締め出しを喰らってべランダで凍死しそうになったり、
その他いろんな出来事が生じるそこそこ忙しい取材であった。

50%以上「ピィー」が入りそうな内容だったが、
そこを何とかするのが楽しみな対談の編集作業はこんどの土日あたりに。

福田進一/バッハ.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月16日(月)その2023◆真理子の依頼

まあ、いつも想ってることなので、
二日酔いのポンコツ頭ながら朝イチ30分ほどで書き終えた。

スペイン在住の小倉真理子(カニサレス夫人)からの依頼メール。
月初からの放蕩三昧のしわ寄せで実はしっちゃかめっちゃかの大多忙なんだが、
喜んで引き受けた。

10981705_771554782921883_6730906188779193539_n.jpg

真理子よ、120%あんたを信頼してるので、私の愚答はここからコピペして、
使える部分だけ使っていかようにもアレンジしてください。
また記事チェックも不要です。どーせスペイン語読めねーし。( ̄▽ ̄)

   ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ 

スペインにREVISTA CALLE ELVIRAという、40年続く季刊誌があります。
この雑誌は、各号ごとに文化的なテーマで特集を組んでいるのですが、
次号でフラメンコを特集する事となったそうで、
スペインのフラメンコ評論家が寄稿するのですが、
私に日本のフラメンコについての執筆依頼がありました。
写真を添えて、スペイン語で2000ワード程の分量です。
色々な日本のフラメンコシーンを紹介したいと思っておりますが、
その中で是非、パセオフラメンコについても紹介したいと考えております。
つきましては、小山さんに幾つかメールでインタビューをさせて頂きたいのですが、
ご協力頂けますでしょうか?
さて、私の方に依頼があったのは昨日なんですが、
原稿は23日(月)までに送らなければいけないというタイトスケジュールです。
いかにもスペイン的です(笑)。
頂いたインタビューを基に、スペイン語で原稿を仕上げなければいけないので、
出来ましたら来週水曜日頃までにお返事を頂けると大変助かります。

(1)フラメンコという、日本ではまだ当時マイナーだった分野での
 専門誌を立ち上げたきっかけを教えて下さい。
(2)発行部数を教えて下さい。
(3)30年以上、一度も休刊することなく続けられてきた歴史の中には、
 大変なご苦労もあったと思います。
 小山さんにとってそれを支え続けた原動力は何ですか?
(4)踊り手がメインの読者層とはいえ、カンテやギターのメソッドを取り入れたり、
 スペインや海外の情報まで載せる等、幅広い読者を想定した紙面作りには
 毎号感服しておりますが、紙面作りで特に工夫している事、
 時代と共に変えて来た事、などがありましたら、是非教えて下さい。
(5)フラメンコは外国人には難しいといわれる芸能のひとつですが、
 長年日本のフラメンコシーンを間近でご覧になって来られた小山さんからみて、
 日本人にとって一番大きなハンディーキャップは何だと思いますか?
 そして日本人はそれを乗り越えられると思いますか?

 それから、出来ましたら、パセオの表紙の写真を2〜3点拝借できますでしょうか?
 小山さんが、この30年の間に特に印象に残っている表紙を頂けると嬉しいです。
 お忙しい中、恐縮ですが、どうぞよろしくお願い致します。真理子

  ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇        

★お粗末ながら小山愚答

(1)パセオ創刊の最大の動機は、パコ・デ・ルシアのフラメンコギターに
 在るべき人生のヴィジョンを発見したことです。
 調べてみると、スペインのみならず他の諸外国や日本に
 フラメンコの月刊専門誌が無いことを知って奇っ怪に思いました。
 世界中の大人たちは一体何をやっているのだろう?と呆れながら、
 出版のことは何も知らずに28歳で創刊しました。
(2)創刊号(1984年9月号)の実売が300部。
 以来31年間、ずっと実売10000部を目標に奮闘しています。
(3)ここだけの話ですが、会社員不適合のためどこにも就職できない。
 自分の人生の興味と選択肢が「フラメンコの普及発展」以外に無いことが幸いしました。
(4)昔も今も「バイレ練習生の目先の上達」が最大のニーズです。
 それだけやれば売れることは分かっているのですが、
 フラメンコがそういうものならば、自分の人生を賭ける意味が無い。
 「自分を含めあらゆる人々の暮らしそのものを、フラメンコが改善する」。
 ニーズに応えなければツブれてしまいますが、このテーマを追求しなければ
 フラメンコの出版を続ける資格や面白味はないと考えます。
(5)フラメンコは人生を改善する芸能であり、
 それは世界中の人々にとって最も親しみ易いアートだと私は感じます。
 加えて、あらゆるハンデというのはポテンシャルの裏返しです。
 「血」の存在は認めますが、ほとんどの場合それは云い訳にしかなりません。
 ドイツの生んだあの大バッハだって、現在その演奏の主流は
 ベルギー・オランダ・日本・アメリカあたりですし、
 日本の伝統たる柔道や相撲だって、あるいはサッカーだって
 国際化することで生き残り発展して来ました。
 先ごろ世界無形文化遺産に認定されたフラメンコですが、
 それが実際的なものとして人類の未来に貢献してゆくために、
 世界中のアフィシオナードは力を合わせるべきだと考えます。

※写真はパコ・デ・ルシア(一周忌の追悼号)、カルメン・アマージャなどの表紙号を送ります。
 出社してからコメント欄にアップするので、そこから拾ってね。

─────────────────────────────────────


しゃちょ日記バックナンバー/2015年02月①

2015年02月01日 | しゃちょ日記

06雄二.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月15日(日)その2022◆森田志保の生き方

「自分自身を守ろうとする人間から、
人々は極く自然に顔をそむけるものである」
                      (小林秀雄)
    
木曜晩の森田志保ソロライヴの帰路、
日本を代表する知性・小林秀雄のこの言葉を想い出した。

森田のステージはまさしく、この言葉の真逆を往っていたのである。

小林秀雄/音楽.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月14日(土)その2021◆イメージ・ヴィジュアル

今夜は遂にトムとのご対面を果たし、興奮のうちに無事帰宅しました。
長年の友人のような感覚に陥り、失礼の段お許しください。
出口インタビュー(?)では舞い上がってしまい何を言ったのやら。

森田さんの、全てを知り尽くしたフラメンコに魅了されました!
ご本人も客席も一体となってフラメンコの波に巻き込まれてましたね。
二階席をバルコンに見立てたり、ステージで着替えたリと、
エスペランサならではの空間を生かしたにくい演出も楽しかったです。

なんて贅沢な企画! 120パーセント満足の夜でした!
しゃちょさま、これからもず〜〜〜っと、
フラメンコファミリーのお仲間としてよろしくお願いいたします!

   ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇

やはりライヴ翌日、こんなメッセを寄こした軽部春海(かるべ・はるみ/おそらく源氏名)嬢。
彼女は数少ないパセオ創刊からの読者であり、
ウェブ上での知性&感性豊かなコメントからの連想で、
永らく彼女をオードリー(おそらく本名)と呼んでいる。

10994586_770664466344248_4136450032149291445_n.jpg

今回、ついに大感動の初対面を果たしたわけだが、
会場外はまっ暗闇でもあり、三十代半ばとお見受けした。
おそらく三歳のころからパセオを定期購読していたのだろう。
写真は、その感動の初対面の模様のイメージ・ヴィジュアル(写真左が晴海で、右が私)。
尚、ごく稀に商品写真と現物とが異なる場合もありますのであらかじめご了承ください。

─────────────────────────────────────
2015年2月14日(土)その2020◆

10993399_507867022685825_8105368324556320317_n.jpg

志保先生の踊りは日常のさりげない仕草からつくりあげられてるんですよね。
だから、無理がないし、迷いがない。

もちろんフラメンコという踊りの制約はあるわけだけれど、
自分の言葉(フラメンコという言語でなく、『踊りという言語』
=これは志保先生の受け売りですが)で語る術を持っている。
今日のライブで、『踊りという言語』の意味が分かりかけた気がします。
(まだ分かりかけた段階)

   ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇

深いねえ。
こりゃ森田志保に対するひとつの謎解きだ。

やはりライヴ翌日にこんなメッセを送ってくれた関範子さん。
メガネを外した彼女の素顔には、往年の大女優のような美貌が刻まれていた。
思わずそれを口にすると、往年かいっ!と突っ込まれた。

─────────────────────────────────────
2015年2月14日(土)その2019◆最後の一行

オープニングも斬新でしたが、舞台に居ながらにして
衣装や髪を整え様々な曲を演出していく様もタブラオを活かした楽しさ。
フラメンコを大切に踊る姿、観ているこちらを引き込む力、圧倒的な存在感。
力強く伸びやかな動き、心地よいコンパス、粋で深い。

ありきたりな言葉でしか表現できない自分が情けないけど、
濃密な時間を重ねて来たからこそ出る奥行きに
志保さんのエッセンスが詰まった極上の空間でした。

328288_111871662268636_1019709414_o.jpg

しかしこの企画はステキです。
通常のライブだと複数の踊り手、ひとり一曲か二曲ですから、
他のヌメロだったらどんな風に見せてくれるだろうかと思ってもなかなか叶いませんが、
たっぷりと魅せていただきました。
もちろんリサイタルに行けばよいのでしょうが、タブラオでこれが観れるのは本当に幸せ。
タブラオならではの味があり、迫力と興奮があり、今後も楽しみにしています。
やらない人もたくさん観てくれるといいですね。

あ、くれぐれもそのまま載せないよーに(≧∇≦)

   ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇

ライヴ翌日こんな素敵なメッセを送ってくれたのは、
やはりFB友のマラソンウーマン Tomoko Ishii 嬢である。
続々と寄せられる観客席忘備録は、明日にでもまとめて志保さんに送りたい。
あっ、し、しまった、
うれし過ぎて最後の一行をうっかり見逃してしまった(≧∇≦)

─────────────────────────────────────
2015年2月14日(土)その2018◆働く新鋭

この一月、パセオに入社。
現在は総務・販売・経理の修業中で、
春からは編集・執筆・撮影に乗り出す新鋭・井口由美子(年齢不肖48歳)。
パセオのプロデュース・ライヴでも、毎回現場で全体をサポートする。
そんな彼女が頼みもしねえレビューをアップしていた。
2/12パセオフラメンコライブ第一弾「森田志保ソロライヴ」。

   ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇

真のアートは、時間が経つにつれ、
くっきりとした輪郭を浮かび上がらせ、
記憶は鮮烈なものとなっていく。

昨夜の、エスペランサにおける森田志保さんのフラメンコがまさにそうだった。
その鮮やかな感受性の体現は、表面的視覚的なものとは対極の、
胸のひだの奥深くに浸透する、想いのエネルギーに満ち溢れたものだった。

ディエゴ・ゴメスが2階バルコニーからサエタを歌う。
観客は舞台の上に立ち、それを聴く。
天上から降り注ぐ祈りの歌に包まれ、聴く人たちはゆるやかで静かな一体感の中にいた。
森田志保さんならではの、予想もつかないスリリングな展開。
なのに観客は、大きな安らぎをそこに感じていく。
限りなく深い森田さんの透明な宇宙、その隅々にまで張り巡らされた繊細な感性が、
その空間を共有するすべての人の心をしっとりと受け止めているのだと感じる。

10842053_775747149172698_7215075598264608903_o.jpg

細やかな神経は、優しく、そして強い。
森田志保さんが全身で奏でる澄み切ったフラメンコは、
人間の持ち得る眼に視えないエネルギーの可能性を確信させてくれる。
人生の曲がり角で、
森田志保さんのヴィジョンある美しい感性に触れられたことを幸運に想う。

2/12(木)高円寺エスペランサ 第1回パセオフラメンコライヴ

─────────────────────────────────────
2015年2月13日(金)その2017◆ゴーストライター

10302501_770031453074216_8123896537140467445_n.jpg

石井拓人です。

電車の中で勢いに任せ、今夜の覚書。
出口では言葉にならなかったけど、
後から後から言葉がわいてくるという未体験ゾーンを、経験してました。

2月12日(木)の高円寺カサ・デ・エスペランサ。

いまだフラメンコの何たるかを細かく知らない私としては、
多くのファンの方々の様な公式に乗っ取った話ができませんが、
感じたことなどを書き留めておきます。

今夜の楽しかったこと。
オープニングのカンテのシャワー。
頭上から降り注ぐ声量豊かなシャワーは意外性も相まって感動しました。
多くの方を舞台に上げて何をするのだ、志保さん?の疑問はたちまちに解消し、
降り注ぐシャワーでその場を乾いた大地に変えて貰えました。

今までで見てきたタブラオでは、袖に引いて着替えたりしてるので、
今夜の志保さんの舞台上での衣装のセットが新鮮でした。
ただ衣装を整えてるだけなのに、背筋が伸びて大きく見える姿勢の良さに感動させられました。
最後にはゴメスに寄っていき、何をすんのさ?と思う私たちをよそ目に
彼のスーツのポケットからピアスを取り出す遊び心にはクスクスとしました。

今まで、いろいろなライブを見てきて感じるのは、
大きく分けて3種類の踊り手がいるな、ということ。

一つ目
舞台上で輝き、単純に素敵!と思わせてくれる踊り手さん。
上手下手ではなく、楽しませてくれるプロ、あるいは
発表の場としてのタブラオでの見せ方を心得ている踊り手さんなど。

二つ目
観ている側が鏡で自分を映している様に見えてしまう踊り手。
見ていて一体になる感覚は、苦しさや、楽しさを
非日常から日常生活に引きずり落としてくれる残酷ささえ感じます。
昨年のエバさんや、ガルバンさんがそうでした。
     
三つ目
自分の抱える感情を増幅させる踊り手さん。
志保さんは、このタイプです。
瞬間瞬間の楽し気だったり、苦悶の表情や動きからではなく、
大きな流れの中で、自分の持ってる問題や、
忘れていた過去の記憶が呼び起こされて増幅され、
踊りのクライマックスに向かって脳内で爆発していきます。
結果的に知らず知らずのうちに涙を流してしまいます。
最近では今枝さんのライブは、まさにそうでした。

志保さんは、私の中では演出などがメイン?って思うほどの多彩さで、
少ない鑑賞経験で、前回はplata y oro で、感情を爆発させられてしまいました。
大出力の真空管アンプ、と言えばいいでしょうか。
細かな心の機微さえ逃がさず、
観ている本人が忘れていたような記憶すら掘り出して脳内再生させる踊り。
怖いです。でも、素敵ですね。
その踊りと対照的な笑顔の可愛さは、ほっとします。

今夜のライブは、彼女の魅力が濃縮され濃密な時間でした。
エミリオさんとゴメスさんの二人も、
森田アンプとしての仕事を充分に発揮されてました。
円熟した3人の関係が音に、声に、身体の動きに溢れる様に出ていて、
最後は盛大にoleeeと叫んだのでした。

楽しかった!
また来月!

   ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇

昨晩のライヴでようやくの初対面となった小田原のFB友・石井拓人(仮名・推定98歳税込)。
気さくで澄んだ笑顔が印象的な、なかなかにイカスおやじで、
ふだん寄こすイカれたコメントからは想像もつかない良好アイレのマラソンマンである。

10986940_770035366407158_1096587083063996773_n.jpg

今朝起きてFBを開くと、その拓人から初メッセが入ってたので、まんまコピペしたのだが、
昨晩おれが書いた忘備録よりはるかにおもろくて断然内容も濃い。
奴にはナイショで、冒頭の「石井拓人です」を「小山雄二です」と書き換えて
パセオに掲載すれば、あらゆる問題は一挙に解決するように想えてきた。(TT)

─────────────────────────────────────
2015年2月12日(木)その2016◆懐かしのプロデュース

25歳の時に文京区の本郷三丁目で音楽事務所を開いた。
35年前もむかしの話だ。

その前はパブでギターを弾いたり、三味線を教えたり、死に往く親父の自宅介護をしたり、
アブネー小博打なんかでしのいだりしていたが、
ただ食えるだけのハンパな暮らしに飽き、
青春期の大きな転機を創りたかったのだと思う。

なぜ独立したかというと、「どこにも就職できなかった」というのがその最大の理由で、
出来ればこの真実はここだけの話にしといてほしい。
会社員不適合というやさぐれコンプレックスをバネに、
月刊パセオフラメンコを創刊するのはその三年後である。

1546037_567262333351130_568362340_n.jpg

あの頃の本業はリスク満載のライヴ・プロデュースで、
大小含め年間50本程度、クラシックを中心に
フラメンコその他様々なジャンルのギターライヴを制作していた。
パセオ創刊から間もなくしてそれら両立が困難となり、
この稼業からは足を洗うことになるのだが、
およそ三十年ぶりにフラメンコライヴを月例でプロデュースすることになった。

本日パセオフラメンコライヴその第一回目は「森田志保ソロライヴ」。
カンテはディエゴ・ゴメス、ギターはエミリオ・マジャ。
座席指定は完売だが、立ち見席は若干残がある(☎03-3383-0246)。
あの頃からそうだったが、自分の観たい聴きたいライヴのプロデュースは、
この世の最高の贅沢だと思ってる。

─────────────────────────────────────
2015年2月11日(水)その2015◆森田志保ソロライヴ

「森田志保ソロライヴ」。

10982309_769168889827139_773773434762392456_n.jpg

明日はいよいよパセオフラメンコライヴ初日。
すでに予約座席指定は完売で、立ち見のみオッケーの状態。
会場となる高円寺エスペランサの田代オーナーとは、
設営の詳細まで詰めて準備は万端。
だが初の試みであるし、また出演者もあの森田志保であるからして、
何が起こるかは分からない。以下は田代氏との確認事項。

◇おひとりさま大歓迎「ひとりタブラオ」をじっくり楽しみたい来場者に
 アウェイ感を与えない税込3900円ぽっきりドリンク付。
◇開演時間(20時)は押しても最大3分まで。
 開場は19時半だが、開演5分前入場でも楽々オッケー体制。
◇座席指定の定員をゆとりをもって70名から64名に縮小した。
 その先の予約者(65~80名以内)に対しては原則・立ち見でお願いする。
 (次回3/12渡部純子も座席指定完売)
◇開演前のサービス1ドリンクはワインまたはウーロン茶に限定する。
◇現場サポート要員としてパセオからも一名(編集部・井口)派遣。
◇終演後は普通に有料で飲食でき、次回以降のライヴ予約も受け付ける。
◇パセオ忘備録執筆者(私)は、そこに出来るだけ生の感想を反映したいので、
 終演後はお話ししてくれるお客さん多数と、短くとも濃い率直会話を交わしたい。

「練習生 < 観るだけファン層」。      
観客層拡大というテーマに風穴を開ける最初の一歩。
当然反発もあるが、誹謗中傷には幸い慣れてる。
闘いながら闘い方を覚えるのがパセオの流儀。
信頼できるお仲間たちと、まあ、がっつりコツコツ進もじゃないか。     

─────────────────────────────────────
2015年2月11日(水)その2014◆ライバル

「詩情が欠けているのに異常な程に深遠さを装う。私の好みに合わない」

彼はブラームスのヴァイオリン協奏曲をこう酷評した。
彼とは、同じ1878年にやはりヴァイオリン協奏曲を発表したチャイコフスキー。
ブラームスの協奏曲の初演は大成功だったのに、
彼の協奏曲の初演は大失敗に終わった。
その137年後の現代において二人のヴァイオリン協奏曲は、
ベートーヴェン、メンデルスゾーンのそれと並んで
世界の四大ヴァイオリン協奏曲と称されている。

ハイフェッツ/ヴァイオリン協奏曲.jpg

まったく良きライバルというのは有り難いものだと思う。
それがいいかどうかは別にして、あいつにだけは負けたくないという執念は、
自分の中の思いもかけぬポテンシャルを引き出してくれたりするものだから。

そういう意味ではパセオはまったく恵まれていなかった、というのは本心である。
「月刊フラメンコ専門誌」という定期刊行物は有史以来、
この世界にパセオをおいて他にない。
市場が弱すぎて出版のプロが皆見送ったジャンルだからだ。

フラメンコには山ほどヘビークレーマーがいるが、
彼らの突飛な見識を私は手放しで褒める。
そして、二十代後半の非常識な私がそうして送り出してもらったように、
心の底から彼らを励ます。

「その通りだ。君こそがそれをやるべきだ!」

─────────────────────────────────────
2015年2月10日(火)その2013◆月曜トムクルーズ来日

15613_768777123199649_6092589176548571938_n.jpg

何ともスケベそーなこのヤサグレおやぢ。

上原駅前のカリスマ美容室ダンドンでズラを新調した直後の、
昨晩のおれである。
十代から六十代が集うワンサカ呑み会の最中、
三百五十年前の超一流自爆霊(山口百恵そっくり!)に憑りつかれた瞬間を、
呑み友マイケルが超常的に撮影した。

「月曜トムクルーズ来日」        
元代々木〝どさんこ〟のカレンダーにこう明記された月曜晩、
久方ぶりにおれは来日した。
爆笑コントで先ごろ新宿末広亭を大沸騰させた師匠は相変わらず普段はつまらねえし、
おフランス帰りのインテリ松っちゃんは会うたびに日本語がうまくなるし、
デブ専貴公子・鎌ちゃんの霜ネタは常に格調高い。

大学受験に合格したというマイケルの長女と渋谷小町アキコ御子柴の長女に、
久々に本物の〝美少女〟の面影を観たが、
本物トムクルーズ見たさにやって来た二人の超美少女における、
ひと目私を見た瞬間の落胆の表情はまだまだ修業が足りない。

遅くまでドンチャカ騒いだことは間違えねえが、渋谷最強プレイボーイ・サトルが
引っ越し祝いに入れてくれたボトルをひたすらタダ呑みした記憶だけがほのぼのと残る。
トムクルーズ改め〝浅野タダ呑む〟を名乗るその日は近い!

10986991_768779003199461_1521458959140605810_n.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月9日(月)その2012◆特上フラメンコライヴ

あの森田志保を皮切りに、来週木曜(2/12)スタートするパセオフラメンコライヴ。
およそ三十年ぶりのライヴ・プロデュース業復活はけっこううれしい。

真友・淳がオーナーの高円寺エスペランサ。             
毎月第二木曜20時スタート、ノンストップ70分!
3900円税込ワンドリンク付。
定員70名、予約順にいい席確保。

パセオ記事観ての全回予約者もじわじわ増加中。
きのうまでに決定した出演ラインナップは以下の通り。
大アタリは乱発するだろうが、まずハズレはないな。

2015-02パセオライヴ森田.jpg

2015年
Vol.001 02/12(木)森田志保(踊り)
Vol.002 03/12(木)渡部純子(踊り)
Vol.003 04/09(木)小島慶子(踊り)
Vol.004 05/14(木)川島桂子(歌)
Vol.005 06/11(木)鈴木敬子(踊り)
Vol.006 07/09(木)徳永兄弟(ギター)
Vol.007 08/13(木)矢野吉峰(踊り)
Vol.008 09/10(木)大沼由紀(踊り)
Vol.009 10/08(木)今枝友加(歌/踊り)
Vol.010 11/12(木)荻野リサ(踊り)
Vol.011 12/10(木)石塚隆充(歌)
2016年
Vol.012 01/14(木)中田佳代子(踊り)
Vol.013 02/11(木)屋良有子(踊り)
Vol.014 03/10(木)未定
Vol.015 04/14(木)大塚友美(踊り)

このシリーズ企画の「常連ファン70名」を実現できた段階で、
1ライヴにつき同日2回開催(土日で)、
さらに月2本開催を順次検討の段取り。
まあ、地道にコツコツやるさあ。

─────────────────────────────────────
2015年2月8日(日)その2011◆華麗なる自己申告力

朝風呂20分、ストレッチ10分、朝めし20分。
編集部まではゆるり歩いて5分。
7時に起きれば、8時には楽勝で仕事にありつける。

明日は早出早上がりにて、代々木上原ダンドンでズラを整備し、
懐かしの元代々木〝どさんこ〟に立ち寄る段取り。
以前の住まいから徒歩15秒、早くて旨くて、
家で呑むより安い(肴の準備や後片付けの手間もないし)超一級の呑み屋である。

山口百恵そっくり(自称)どさんこカリスマ若女将と、
トムクルーズそっくり(自称)元祖パセオ若旦那は、
謙虚さを美徳としない大胆に逞しい自己申告力という点において、
その実力は激しく拮抗している・・・
しっかし、どっちもゼツボー的に似てねーわ(TT)

山口百恵2.jpg トムクルーズ2.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月8日(日)その2010◆スキヤキ

ゆうべは旨くて安い呑み屋を新たにゲット。

アレとかアレもあったりして、
どうやらご近所一番のお気に入りになりそうな気配。
中野の呑み屋は北口が激しく充実しているが、
どーしてどーして南口もマルイを越えて五差路あたりまで来りゃあ、
美味しい列強が立ち並んでる。

さて今日は、NHK将棋トーナメント観戦のち、編集部で四月号追い込み。
しゃちょ対談(徳永健太郎~写真は今月号だが)、
パセオライヴ(4/9小島慶子プレヴュー記事)、
フラメンコ公演忘備録、タブラオの芽、Hola!、発表会レポート、
しゃちょ日記(この号からちっちゃく毎号連載)・・などを詰める。

夜はきのう買い込んだ特売激安牛でスキヤキ、上を向いて帰ろう!

2015-02ケンタローworld.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月6日(金)その2009◆次なるステップ

ストンと落ちる快感!

およそ三ケ月前、ウェスト周りがパンパンだった頃に買ったズボンを着用し
ボタンをかけた次の瞬間、すととととーんとズボンが落ちる。

七キロ自然減量の成果である。
これで普通のデブくらいに戻った。
次なるステップはこれかっ?!

10959458_766996853377676_6733248977391301630_n.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月5日(木)その2008◆銭形刑事

ふだんは逃亡者系の夢が多い。
心にやましさを抱える者の宿命だろう。

ところが何故か、昨夜の夢の役どころは刑事である。
やりたい放題の捜査が通るところをみると役職は高いのだろう。
移動手段はデッキのある昔ながらの汽車で、
だいたい私はデッキで煙草をふかし、
安っぽいバーボンをラッパで呑ってる。

おそらく悪党と思われる者どもを、だだっ広い列車の操車場に追い詰める。
何となく私は銭形刑事のようであり、ほとんど悲壮感はない。
ドンパチが続くが銭形刑事に弾丸が当たるはずもなく、
おざなり風に事件は解決する。
私は陣頭指揮を取っているようではあるが、極めて事務的である。
こういうデキレース系は予想以上につまらんなあと、すんなり目を覚ます。

1505555_766540680089960_4745717795238843068_n.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月4日(水)その2007◆棒に振るのか?

「ああ、空いてる、えーよ、楽しみにしてる」

引っ越しによる専用書斎の獲得以来、
ライヴ取材以外は家のステレオでバッハやジャズに興じたり、
原稿をこつこつストックする夜が多く、外呑みが激減している。
きのうは四つばかり甘いお誘いが相次いだのだが、
冒頭のようにハイハイとすべて了解してしまう危うい予兆。

そろそろ〝よゐ子〟に過ごした反動が弾ける時期なのか。
せっかくの7キロ自然減量がオジャンになるぞ!
生涯初の平穏な暮らしを、おめーは棒に振るのか?

はい振りますと、しっかり赤ペンで予定を書き込む。( ̄▽ ̄)

10413400_766243580119670_6417340989225289721_n.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月3日(火)その2006◆教授の矜持

未来を救う勇気ある経済・政治学。

累進課税のシステムを国際ルール化することで、
地球上のあらゆる貧富の格差を小さくする。
いま話題のフランスのピケティ教授の命知らずの学説には、
長期データに基づく単純明快な論理ゆえの信ぴょう性がある。
宗教問題もこれと無縁ではない。

さすがにフランス革命の凄惨と、現代フランス経済の悲惨が深く身に沁みている。
新聞やネット、それと今宵のNHKテレビでそうした想いを強くした。
IMF国際通貨基金が同一見解であることもそこで知った。

このまま手もなく放置すれば、国内的にも国際的にも、
富裕層と貧困層の泥沼の闘いがより深刻化するのは明らかだから、
その暴力闘争(革命)勃発の前に先手を打つべきという考え方は、
人類全体の平和を現実主義的に願っている。

ただし、ほとんどの富裕層・既得権層は猛烈に反対し、
教授の失脚や抹殺を謀ろうとするだろうから、
彼の唱える平和の道にはもろもろリスクがいっぱいだ。
彼の思想は実際には富裕層をも守ろうとしているのだが、
当の富裕層がその真意に気づけるかどうか。

右にも左にも偏らない科学的人道主義。
音楽で云うならバッハ、文学で云うならトルストイ。
フラメンコで云うなら、やはりパコ・デ・ルシアだろうか。
老いた個人として限界はあるが、
その好ましい光源のイメージを日常に溶け込ませ続けたい、
と願うビンボー人ならではのささやかすぎる矜持。

1800477_765537686856926_579892379863290299_n.jpg

─────────────────────────────────────
2015年2月2日(月)その2005◆江戸っ子の流儀

とにかく酒グセが悪くて、深酔いすると周りの人にからみ始め、
相手が泣き出すまでやめなかったらしい。
進駐軍の占領時代、言葉の通じないアメリカ兵まで泣かせたという伝説さえある。

10311751_764370100307018_3498525704564713877_n.jpg

東京・神田に生まれた江戸っ子小林秀雄は、
1902(明治35年)~ 1983(昭和58年)を生きた、
日本を代表する文芸評論家、編集者、作家。
パセオ創刊前年の他界だったので、当時の報道をよく憶えている。
高校の教科書で知り、今でもパセオに何か書くたびに
あの鮮烈なタッチが脳裏をよぎるのだが、
この大先生が私の文章に憑依してくれたことはただの一度もない。

有名な『モオツァルト』は、批評美学の最高傑作であることに留まらず、
批評という形式が内包するあらゆる可能性をも示してくれる。
そういう意味ではパコ・デ・ルシアに深く通じるものがある。
とにかく「しぶとい人」のイメージがある。
しかも、したたかである。
彼のこの名言にエネルギーをもらうことも多々ある。

「不安なら不安で、不安から得をする算段をしたらいいではないか」

─────────────────────────────────────
2015年2月1日(日)その2004◆吉宗の遺宝

「この地に桃の木を植えたら、さぞよい眺めであろう」

徳川八代暴れん坊将軍・吉宗はこう考えた。
鷹狩りマニアの吉宗はよく中野に遊びに来たが、
休憩場所に選んだ綺麗な小川の流れる小高い丘(現在の中野駅南口・
マルイの裏あたりの高台)に桃の木を植えることを、
このあたりの地主・郷右衛門に命じたのだった。

やはり鷹狩りの折、私の出産地である江戸川区小松川の特産菜っ葉を
「小松菜」と名付けたのも吉宗であり、
また毎年愛でる王子・飛鳥山の見事な桜を植林したのも吉宗であり、
世界に誇る徳川幕府の中興の祖、この暴れん坊将軍とは何かと楽しい縁を感じる。

さて、日本フラメンコ協会やパセオ編集部のある「中野三丁目」は、
その昔「桃園町」という何とも風雅な町名で呼ばれていた。
そう、吉宗発案によるこの桃林は、のちに「桃園町」として発展したのだった。
この一帯にはかつて桃園川が流れ、
今も私の住まいの裏庭の脇にはその名残りである桃園川緑道が、
神田川の北新宿あたりまで続いている。

この桃園川緑道が引っ越し後の珍犬ジェーの、休日散歩コースである。
途中に犬オッケーのオープンカフェがあるのだが、
ここのチーズケーキが彼のお目当てなのだ。
日曜午前のNHK将棋トーナメント観戦の最中、散歩をせがむ奴は、
横目で私を挑発しながら、テレビと私の真ん中あたりを100回以上うろちょろ往復する。

1620733_764796206931074_7575742051784136210_n.jpg

─────────────────────────────────────