フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

しゃちょ日記バックナンバー/2017年02月①

2017年02月01日 | しゃちょ日記

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2017年2月15日(水)その2764◆フラメンコギターの深淵

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いよいよ今宵は、入魂のフラメンコギター・三澤勝弘ソロライヴ。
当日席あり、本筋アートの深淵を求める方はぜひっ!

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2017年2月12日(日)その2763◆師弟デュオ

藤井かおる&ブラシェ小夜音。

パセオライヴ2018年の年明け企画(1/11開催)が決まった。
仙台在住バイラオーラ藤井かおると、
その門下生・ブラシェ小夜音によるデュオライヴ。

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異なるタイプでありながら、肝心なところでピタリ息が合う。
そういうスリリングな安定感で魅せた姉妹デュオ(鈴木舞&鈴木千琴)と
兄妹デュオ(三枝雄輔&三枝麻衣)のパセオライヴ成功の、
その先に視えた師弟デュオの第一弾。
楽しみは止まらない!

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2017年2月12日(日)その2762◆秒殺

 今から6年前だろうか、初めて三澤さんのギターを聴いたのは。伝家の宝刀とも言えるトレードマークのシギリージャ。ニーニョ・リカルドのギターに、途方もない迫力と同時に深く耽美的な美意識を感じていた僕は、その高弟である三澤さんの演奏を目の当たりにして、すっかり浮かれてしまった。

 とにかく、余計なことをしない。フラメンコをフラメンコのまま弾いてくれる。それで充分じゃないか。いったい他に何が必要なのか。多様な価値観にくらくらと眩暈がし始めるとき、三澤さんのギターを聴くと我に帰る。武骨でいい。態度がハッキリしていている。男らしい。本当にありがたく、感謝の気持ちすら湧いてくる。

 三澤さんというとシギリージャだが、ソレアもマラゲーニャも、ブレリアもティエントも、どれも素晴らしい。2月15日はたっぷりとあのギターを聴ける。溜飲を下せる。いつも聴き終わった後には、ああ、今日も聴けてよかったと思う。
           
「年をとったら落ち着いて物を見られるようになるかと思っていたら、もっと道がいっぱいあることに気づいてしまった。また、やってみたいことが増えて楽しくなってきました」

 さすが、三澤さん! 年に何回か生で三澤さんを聴かないと調子が狂う。芸道の素晴らしさは、年を重ねるごとに味わいが出ることだ。三澤さんの旬はまだまだ続く。ぜひご鑑賞いただきたいです。
           
        (月刊パセオフラメンコ2017年2月号より~小倉泉弥)
       
2017年2月15日(水)
パセオフラメンコライヴVol.46
三澤勝弘フラメンコギターソロライヴ
会場◆高円寺エスペランサ
開演◆20時ジャスト開演(19時半開場※終演は21時10分頃)
料金◆4,500円1ドリンク付(税込)
【予約受付中】
昼(セルバ)☎03-3383-0246/
夜(エスペランサ)☎03-3316-9493
メール予約:selva@tablaoesperanza.com

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今週水曜晩のパセオライヴは〝入魂のフラメンコギター〟
三澤勝弘さんの登場。
比類なき巨匠のシギリージャの音色に秒殺されたのは、今から37年前の昔。
マエストロは32歳、私は24歳だった。
クラシック音楽のプロモーターだった私が
フラメンコの月刊誌を創刊するのはその4年後だが、
もしもあの頃、あの新宿のライヴハウスで、
三澤さん入魂のフラメンコギターに出逢うことがなかったら・・・
                           (小山雄二)

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2017年2月12日(日)その2761◆幸運の予兆

額に汗しながら、機嫌よく根気よく、淡々と仕事をこなしてゆく。
そういう下町の職人さんたちに囲まれて育ったので、
中学時分からああ早く仕事がしてえって思ってた。

仕事にはいろんなやり方があるが、彼らのシンプルなルーティンは、
どこからか自然と〝幸運〟が舞い降りてきそうな予兆を帯びていた。
そこまで分かっちゃいながら、ついつい怠けてあちゃこちゃ脱線する。
あ~あ・・・と、ぢっと手をみる。

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2017年2月11日(土)その2760◆出社中!

ジェー出社中!

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2017年2月10日(金)その2759◆誰にも似てない

最初から最後まで、シャープなセンスと緻密な構成で観客席を魅了。
愛する歌舞伎から上質なエッセンスを存分に吸収し、
すでにそれを血肉化している。
「誰にも似てない!」とは、ライター石井拓人の第一声。
唯一無二の芸風を、どこまでも高く深く極めようとするスタンス。
一見大胆な一発勝負師にみえる彼女の心象風景は、いまだ謎のままだ。

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おなじみのバイラオーラたちも多数来場し、立ち見の出る盛況。
有田圭輔、石井かなお、森川拓哉、容昌という豪華音楽陣も充実。        
2/9本田恵美ソロライヴ。
「風は吹かない」と云いきるバイラオーラが、またもや熱風を吹かせた。

※撮影/小倉泉弥

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2017年2月9日(木)その2759◆カルボナーラ

きのう水曜は『相棒』。

パセオライヴと重なることもあるが、そうでないときは
早めに帰ってテレビにかぶりつく。
今回のNHK大河は何となくパスだし、定番で観たいのは
相棒、NHK将棋、ブラタモリくらいか。
風呂上がりにカルボナーラを食いたくなり、
10分くらいでサッと作って大盛り完食。
やはりとゆーか、イタリア・マフィアがらみの夢を観た。
なぜか本田恵美(本日パセオライヴ出演!)も登場(笑

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2017年2月8日(水)その2759◆立見席わずか

いよいよ明晩20時、高円寺エスペランサにて本田恵美ソロライヴ
公演忘備録(パセオフラメンコ5月号掲載)執筆は、いしいともこ。
ちなみに〝パセオライターいしいともこ〟は、
奇しくもあの御方と同姓同名なる、
100キロマラソン完走のフラメンコウーマンである。

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2017年2月8日(水)その2758◆マリウス

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フラメンコシーンはどーなるっ?!

山田洋次監督×今井翼『マリウス』。
よーやく三月のチケットをゲット、
楽しみ増えたわあ!

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2017年2月7日(火)その2757◆復習

「野心や恋愛のように激しい情熱ばかりが、
ほかの情熱に打ち克てると思うのは誤りである。
〝なまけ心〟は、どんなにだらしなくはあっても、
しばしば情熱の覇者たらずにはいない。
それは、人生のあらゆる企図とあらゆる行為を蚕食し、
人間の情熱と美徳とを、
しらずしらずのうちに破壊し、絶滅する」
        『ラ・ロシュフコオ/箴言と考察』より         

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容赦なき辛口であのマキャべリと並び、私たち世代には人気のあった
パリ生まれの貴族ロシュフコオ(1613~1680年/徳川幕府の創成期のころ)
による比較的有名なアフォリズム。
若い頃に肝に銘じたはずの金言だが、折をみて、
今の私にもみっちり聞かせてやりたい。

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2017年2月6日(月)その2756◆おやぢの味方

6/14、パセオライヴ初登場となる井上圭子さん。
2009年ラ・ウニオン『カンテ・デ・ラス・ミナス国際フェスティバル』で
外国人として初めてファイナルに進出した本格実力派バイラオ―ラである。

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さて、パセオ5月号掲載用にと、彼女のライヴのプロモーションコメントを
メールで依頼すると、すかさずこんなメールが返ってきた。

「OK牧場です!」

(↑郷愁的感涙)圭子ちゃん、なんだかおぢちゃんはとってもうれしーぞっ!

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2017年2月5日(日)その2755◆後悔しないオマジナイ

「何をやっても一生は一生」

10時半からのNHK将棋トーナメントをあきらめ、
ためた経理を片づけにジェーを連れ日曜出勤。
パセオに向かう桃園遊歩道をちんたら散歩しながら、
書き出しの懐かしいフレーズを想い出す。
後悔とは無縁になれるオマジナイである。
きのう寝る前に観たNHKの将棋アニメ『三月のライオン』の残像も影響しているのだろう。

将棋のプロ棋士を志すきっかけになった月刊専門誌の中にあった冒頭の一節。
それまでのナニモノか(主に画一化とか規則とか)に流され続けるような感触には、
もううんざりしていたので、聞いたことのないこの新鮮な響きには清冽なショックがあった。
「そうかっ、おれの人生はおれが選んでいいのかっ!」

昭和四十年代半ば。 すでに世の中は、あまりにも過保護になりすぎてる時代だったから、
流されやすい中学二年の私は、そんなことにさえ気付いてなかった。
異様な過保護に本能を狂わせられる現代の少年少女も大変だが、
わたしら世代もおんなじようなものだったと思う。
この方針が内包するポジティブな開き直り戦略が、
高校時代のプロ棋士テスト失格に始まる、失敗に失敗を重ねまくるその後の、
他から流されるのではなく自らスベりまくるマイペース人生を約束したのかと思うと、
妙にとほほに感慨深い。

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2017年2月4日(土)その2754◆本田恵美ソロライヴ

トータル五回目となる新人公演出演で、とうとう奨励賞を射止めたド根性。
「風は吹かない」がもはやキャッチフレーズとなった、
慶大卒の注目のバイラオーラ本田恵美の2/9(木)ソロライヴ。

彼女にライヴ当日の配布プログラムの演目原稿を依頼したら、
観客席に対し実に優しい内容の原稿を送ってくれたので、
ここに一挙フライング公開。なお当日残席は立ち見席のみ。

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『Viajando Arte 〜 アルテの旅』

①Tientos〜ティエント(手探り、の意の2拍子の曲)
その人は何を求めて、また何を糧に何処を目指すのでしょう?それすら分からぬまま長い旅路に就く決心をするのです。

②新月〜la luna nueva〜solo musicos
月明かりを道しるべにしようにも今夜は新月・・。道はさまよえど心は天翔けます。森川拓哉作曲。今日の為のスペシャルアレンジでお届けいたします。

③Seguiriya por tango 〜シギリージャ ポル タンゴ
(シギリージャは変形5拍子のフラメンコの難曲)
砂嵐に巻かれながら辿り着いたのは異教徒の地。異郷の匂いと旋律に誘われ束の間身を委ねますが、偏見と迫害に追われるようにこの地を離れることになります。

④Romaní〜solo musicos
ロマ(ジプシーの遊牧民)の占い師から告げられた運命の在り処は、、?! 石井奏碧作曲の新作。今夜初公開です。

⑤Guajiras 〜グアヒーラ
(南米キューバへ渡ったスペイン人移民を歌う、のどかな曲)
求めるものが近づいているのか遠のいているのか・・? そんな事はどうでもいい。今、心身共に解放されているのだから。思う存分リズムを享受し自由を楽しむのです。

⑥Fandangos 〜ファンダンゴ
(スペインの民俗曲で旋律には古めかしい趣が残っている)
求道の感情を思い出したのでしょうか? その人は次いづこを目指すのでしょう。巡礼に身をやつし更に旅は続くのです。

パセオフラメンコライヴVol.045
本田恵美 ソロライヴ『Viajando Arte 〜 アルテの旅』
2017年2月9日(木)20時開演
於:高円寺エスペランサ
主催:月刊パセオフラメンコ&エスペランサ
本田恵美(バイレ)
石井奏碧(ギター)
有田圭輔(カンテ)
森川拓哉(ヴァイオリン)
容昌(パーカッション)
【電話予約】
昼(セルバ)☎03-3383-0246
夜(エスペランサ)☎03-3316-9493

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2017年2月3日(金)その2753◆タカミツ講座、アンコール!

さあ今晩20時からは、編集部階下のスタジオでタカミツ講座。
カンテ入門の絶好の機会である。
自ら声に出して歌ってみると、びっくりするほど
距離が縮まるのがカンテフラメンコだから。
エンリケ坂井さんの激渋カンテ講座でも、
唄の輪郭を口ずさむだけでそれを大いに感じる。

で今日は、誰でも聞き覚えのあるお馴染みのタンゴを歌う。
まだ座れる余地もあるので、当日予約はこちらまで。
paseshop@paseo-flamenco.com

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2017年2月2日(木)その2752◆アタりハズれは風任せ

七年前に書いたウェブ日記(フラメンコ超緩色)なのだが、
つい先日それについてのうれしいコメントをいただき、
懐かしく読み直してみたついでに、以下にコピペ。

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元旦の深夜、そろそろ寝ようと思っていたら、テレビでおもろげな映画をやってる。
国分太一さん主演の珍しい落語映画『しゃべれども しゃべれども』。
あまりの面白さにググッと持ってかれて、おしまい(27時半)まで観てしまった。

私の大好きな浅草や都電・荒川線沿線でのロケが多く、
下町情緒満載のシーンがうれしい。
かなりの低予算だと思うが、映画はやはり、制作費の大小じゃないんだと思う。
江戸っ子の心意気と屈折とが矛盾錯綜する、
真打前の若手落語家(国分さん)の真情が身に沁みた。
失敗まみれの自分の人生を、控えめながら肯定してもらえてる感じに、
ぽろぽろ涙が止まらない。

「下手な鉄砲数打ちゃ当たる、アタりハズれは風任せ」

落語の大師匠(伊東四朗さん)の飄々としたつぶやきが
この映画の肝だと、勝手に私は受け止めた。
こりゃ元旦早々、縁起がいいや。
こんなフラメンコ映画を創ってみたいと思った。
おっとその前に、もっとおもろいフラメンコ専門誌をつくらなきゃな。

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2017年2月2日(木)その2751◆恍惚の薫り

「梅は、観るというより嗅ぐものですね」

敬愛する後輩Mにそう教えてもらったのは二十余年前のことだ。
およそひと月後に絢爛豪華に躍り咲く桜に比べ、
梅というのはいかにも地味だと思っていた。
だが、冒頭の知恵を仕入れたその後の梅見で、
何はともあれクンクンと匂ってみたところ、
その薫りのあまりのすばらしさに恍惚となり我を忘れたことを、
つい二十余年前のことのように思い出す。

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2017年2月1日(水)その2750◆無意識の願望

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江戸川乱歩の『怪人二十面相』、それと先週テレビで観た
宮崎駿『耳をすませば』が交錯するかのようなストーリー。
たくさんのエピソードが、若干の脈略を保ちながら矢継ぎ早に展開する。
状況や登場人物の顔ぶれからすると、おそらく私は高校三年生。

夜更けのガード下、弾けないはずのヴァイオリン演奏で小遣い稼ぎ。
ドヴォルザークのユーモレスクを弾く私に千円札を差し出したのは、
耳すまに登場する猫の男爵のような紳士だ。
御礼にパコ・デ・ルシアのアルモライマの出だしを
アルペジオでガリガリ弾き始めたとき、すでに紳士の姿はない。
修学旅行で出掛けた萩の松下村塾の庭で、でかいおにぎりを頬張りながら、
同級の仲間たちと将来の夢を語り合うシーン。
そこで猫の男爵が世間で評判の義賊であることを知り、
何とかもう一度彼に会えないものかと、仲間の車で探索を始める。
東京湾らしき海上を、水上スクーターで波をかき分けながら快進する猫の男爵。
海上の彼を真っ赤なポルシェで追走する私。
やがて男爵を見失い、そこで唐突に夢は途絶える。

意識の裏側にある無意識が発信する荒唐無稽なストーリーに、
歳甲斐もなくわくわくドキドキしてしまった。
ミステリアスな浪漫とスリリングな青春の意外な組み合わせ。
歳をとって渋く枯れるのもいいけど、無意識が元気なうちは
こんな夢を楽しんでいたいと想ったことです。


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