関西のコミックソングの雄「あのねのね」について書いたので、今度は東の横綱であるなぎらさんについて書く。
なぎらけんいちと言えば「悲惨な戦い」。それはアングラ・フォークらしい反戦歌というわけではない。
私はかつてあのような悲惨な光景を見たことがない
それは十年以上前の国技館の話です
雷電と若秩父の一戦、若秩父のまわしが落ちて××が見えた凄まじい光景をうたったこの名曲(?)は放送禁止歌として有名である。NHKと国技という権威と伝統をコケにしたとして相撲協会からなぎらさんが狙われているだのさまざまな憶測を呼び都市伝説を生んだ。権威への反抗は当時のフォークソングの証明であるがこのうたは笑える。
この曲は売れたが、メディアで流れないので一種の伝説となっている。
なぎらけんいちと言えば、テレビタレント、個性派俳優、下町評論家、珍品コレクターと様々な顔を持つ面白いおっちゃんだが、本業はあくまでもフォークシンガーである。アマチュアとして高校生の頃から活動を始め、伝説の1971年中津川フォークジャンボリーを経て翌年「万年床」でデビュー。数々の名曲を生む。
一冊の名著がある。「日本フォーク私的大全」。
日本でのアングラフォーク誕生の時、労音コンサート、URC、エレックレコード…。かつては熱狂的ファンとして、そして後にその中に身を投じたなぎらさんの恐るべき記憶力と蒐集コレクションでこの本は構成されている。高石ともや、岡林信康、西岡たかし、高田渡、遠藤賢司、加川良、三上寛、斎藤哲夫と列伝ふうになっているが、貫かれているのは日本フォーク黎明期の生き証人の証言である。当時のフォーク・ムーブメントを知ろうと思えばこの本は絶対に欠かせない。当時の生々しい息づかいが伝わってくる。フォークが好きな人は必読である。
なぎらさんには450万枚のヒット曲があるのをご存知だろうか? それは「いっぽんでもにんじん」。あのたいやきくんのカップリングである。子門正人はこの曲を5万円で請け負ったらしいがなぎらさんは3万円でやってしまったらしい。惜しいことである。
それはともかくとして、なぎらさんは売れないながらも多くの佳作を生み出した。「葛飾にバッタを見た」や「流れ者に捧げる詩」などじわりと胸に沁みる。コミカルなエッセンスを振り掛けつつもそれはフォークソングなのだ。
ある寒いくもりの日おいらが空を見てると 天国からかあちゃんを迎えに車がやってきた
「永遠の絆」というこの曲は大好きな曲。原曲は「Will The Circle Be Unbroken」。アレンジはもちろんブルーグラスでフィドル(カントリーで使うバイオリン)が効いている。優しく軽快なメロディーにのせてちょっと鼻にかかったなぎらさんのボーカルが光るのだ。
とても冷たい風が吹いてきて おいらはかあちゃんに毛布をかけたのさ
棺桶に蓋が閉まり光が閉ざされると ひとりになったかあちゃんは寂しくないだろか
アホかいなと思われるかもしれないが僕はこの歌を聴くと鼻の奥がツンとするのである。
かあちゃんかあちゃん どうか見ておくれ おいらの姿を天国から見ておくれ…
「汽車が見えたら」という曲はもう旅好きにはたまらない曲である。この曲を持って僕はよく夜行列車に乗る。待ち合わせの地方の駅のホームで聴く曲としては「青春旅情」と並んで、僕には5本の指に入る。
汽車が見えたらね 呼んどくれ 汽車が見えたらね 呼んどくれ
音威子府でも長万部でも大館でも黒磯でも、また坂下でも肥後山口でもこの曲を聴いていたように憶えている。よく晴れた日の抜けるような青空が見えるホームで。また月が煌々と照らす夜行列車を待つホームで。
もう縛りつけられるのは嫌だから 一歩でも外に出たいんだな
あの星の下のあたりがさ おいらのかあちゃんの家かな
あの汽車がやってきたらばさ この僕は自由になれるんだね
でももし忘れて眠ってしまったら 汽車が見えたとき呼んどくれ
あまり知られていないのは残念でもあるが、もし旅好きでフォークが好きな人は、興味を持ったならば是非聴いて欲しい。CDで復刻されている。
なぎらけんいちと言えば「悲惨な戦い」。それはアングラ・フォークらしい反戦歌というわけではない。
私はかつてあのような悲惨な光景を見たことがない
それは十年以上前の国技館の話です
雷電と若秩父の一戦、若秩父のまわしが落ちて××が見えた凄まじい光景をうたったこの名曲(?)は放送禁止歌として有名である。NHKと国技という権威と伝統をコケにしたとして相撲協会からなぎらさんが狙われているだのさまざまな憶測を呼び都市伝説を生んだ。権威への反抗は当時のフォークソングの証明であるがこのうたは笑える。
この曲は売れたが、メディアで流れないので一種の伝説となっている。
なぎらけんいちと言えば、テレビタレント、個性派俳優、下町評論家、珍品コレクターと様々な顔を持つ面白いおっちゃんだが、本業はあくまでもフォークシンガーである。アマチュアとして高校生の頃から活動を始め、伝説の1971年中津川フォークジャンボリーを経て翌年「万年床」でデビュー。数々の名曲を生む。
一冊の名著がある。「日本フォーク私的大全」。
日本でのアングラフォーク誕生の時、労音コンサート、URC、エレックレコード…。かつては熱狂的ファンとして、そして後にその中に身を投じたなぎらさんの恐るべき記憶力と蒐集コレクションでこの本は構成されている。高石ともや、岡林信康、西岡たかし、高田渡、遠藤賢司、加川良、三上寛、斎藤哲夫と列伝ふうになっているが、貫かれているのは日本フォーク黎明期の生き証人の証言である。当時のフォーク・ムーブメントを知ろうと思えばこの本は絶対に欠かせない。当時の生々しい息づかいが伝わってくる。フォークが好きな人は必読である。
なぎらさんには450万枚のヒット曲があるのをご存知だろうか? それは「いっぽんでもにんじん」。あのたいやきくんのカップリングである。子門正人はこの曲を5万円で請け負ったらしいがなぎらさんは3万円でやってしまったらしい。惜しいことである。
それはともかくとして、なぎらさんは売れないながらも多くの佳作を生み出した。「葛飾にバッタを見た」や「流れ者に捧げる詩」などじわりと胸に沁みる。コミカルなエッセンスを振り掛けつつもそれはフォークソングなのだ。
ある寒いくもりの日おいらが空を見てると 天国からかあちゃんを迎えに車がやってきた
「永遠の絆」というこの曲は大好きな曲。原曲は「Will The Circle Be Unbroken」。アレンジはもちろんブルーグラスでフィドル(カントリーで使うバイオリン)が効いている。優しく軽快なメロディーにのせてちょっと鼻にかかったなぎらさんのボーカルが光るのだ。
とても冷たい風が吹いてきて おいらはかあちゃんに毛布をかけたのさ
棺桶に蓋が閉まり光が閉ざされると ひとりになったかあちゃんは寂しくないだろか
アホかいなと思われるかもしれないが僕はこの歌を聴くと鼻の奥がツンとするのである。
かあちゃんかあちゃん どうか見ておくれ おいらの姿を天国から見ておくれ…
「汽車が見えたら」という曲はもう旅好きにはたまらない曲である。この曲を持って僕はよく夜行列車に乗る。待ち合わせの地方の駅のホームで聴く曲としては「青春旅情」と並んで、僕には5本の指に入る。
汽車が見えたらね 呼んどくれ 汽車が見えたらね 呼んどくれ
音威子府でも長万部でも大館でも黒磯でも、また坂下でも肥後山口でもこの曲を聴いていたように憶えている。よく晴れた日の抜けるような青空が見えるホームで。また月が煌々と照らす夜行列車を待つホームで。
もう縛りつけられるのは嫌だから 一歩でも外に出たいんだな
あの星の下のあたりがさ おいらのかあちゃんの家かな
あの汽車がやってきたらばさ この僕は自由になれるんだね
でももし忘れて眠ってしまったら 汽車が見えたとき呼んどくれ
あまり知られていないのは残念でもあるが、もし旅好きでフォークが好きな人は、興味を持ったならば是非聴いて欲しい。CDで復刻されている。
小学校の放送委員会で当番の時は、よくかけてましたよ(爆)今は、面白いおじさんとウンチクおじさんとしても有名ですよね。
飄々とした雰囲気大好きです。
今回の記事にあった曲、ぜひ聴いてみたいです。
泉谷しげるさんとなぎらさんがフォークシンガーだったと知る人は少ないでしょう(爆)
またひとつ、新しい世界を知った気がします。
なぎらさんの曲は実に初期のフォークの匂いがします。メロディーの底にブルーグラスが流れているからかもしれませんが。おっしゃるとおり曲も「飄々とした」感じです(笑)。
泉谷しげるという人も、確かにシンガーだとは知らない若者もいるかもですねー。「節度を持った無法者」と呼ばれ(笑)、やはりどちらかと言えば役者・タレントかもしれない。また泉谷さんについても書く機会があるかもしれません。
笑える楽しい歌をうたう人には、まだ東には所ジョージという人もいるのですけどね。あの人のうたも癒される(笑)。
「汽車がみえたら」…
凛太郎さん、なんでこんな曲をご存知なのでしょう!
こんな人が廻りにいたら何時間でも話が尽きないですね。
「悲惨な戦い」「葛飾にバッタを見た」「流れ者に捧げる詩」「汽車がみえたら」
それに、「日本フォーク私的大全」、こんな本まで読んでいらっしゃる!
以前、「放送禁止歌」も読まれてましたよね!
ここまで趣味の合致する人って日本に何人いるんだろうか?って思ってしまいます。
しかも、歳は1つ違うだけですもんね!
松山隆弘さん、根田成一さん、「君に捧げるラブソング」「日本フォーク私的大全」「放送禁止歌」これを全てクリアできる人なんてかなりレアですよね!?
さて、本題?、なぎらさんて実はギターすご~く上手いんですよね~!!!
「汽車がみえたら」にせよ「永遠の絆」にせよ、アメリカのカントリーソングなんですけど(トラディショナルフォークと言うべきか)、こういう旋律がいいですよねー。旅に似合うと思うんですよ。
またなぎらさんのギターもいいですね。カーターファミリーピッキング。僕はフォークについてはナターシャセブンが原点としてありますので、こういう奏法はたまらんのですよ。^^
日本フォーク私的大全は、フォーク好きのバイブルみたいなものかな。名著だと思いますね。