時事的なことだけれども(にしては旧聞だけど^^;)、2005/7/18東京ドームでの三沢vs川田戦で、三沢はエルボーを打ちまくって勝った。三沢はときどきこういう試合をやって喜ばせてくれる。
こういうドームなどの大型大会でしかもメインであるのだから、大技でしめくくろうと思うのが普通である。なので、タイガードライバー'91か、エメラルドフロージョン垂直落下式(いつものエメラルドは背中落ちに堕落している)であろうと予想していた。事実、川田はパワーボム脳天落ちをやろうとしていたし三沢も'91をやりかけた(これは滑って不発)。
しかし最後はエルボーを何発か打って川田を沈めた。これは偶発的ではなくて「決めてやろう」というエルボーだった。試合後インタビューで三沢は「無駄な動きはやめた」と言っている。これは極めて重要で、ヘタな大技よりもエルボーの方に信頼をおいていると言うことである。かつて鶴田がジャンピングニーパットを信頼していたのと同じだ。つなぎ技として認知されているエルボーをドームのメインでフィニッシュに使うというのはエルボー好きの僕にとって実に見応えがあった。
エルボーパットという技は、つまりヒジでぶん殴る技である。正拳で殴ることが禁じられているプロレスにあって、チョップとともに相手にダメージを与える手技として有効なので、多くのレスラーが用いている。初めて使ったのは誰か、などということはもう考えなくてもいいだろう。
しかし、前述したようにたいていはつなぎの技である。本来人間の身体でコブシ以外では頭、ヒジ、ヒザが最も固い部分であり凶器となりうるはずである。であるがヒジでぶん殴って決めてやろうなどと考えるレスラーはほとんどいない。地味だからであろうか。
三沢は昔からエルボーにこだわりを持って使い続けている。プロレス的大技ももちろん使うが、エルボーを出さない試合はない。それに、このようなビッグ大会でフィニッシュに使うところに、エルボーの名手としての矜持が見て取れる。実際、見ていてもその衝突力は他のレスラーと一線を画している。体重の乗せ方が凄いのだな。三沢も一試合で何発も打つため、多少は強弱をつけて加減して放っているのだろうが、本気で打てば完全にフォールも取れる技としている。かつて、三沢はエルボーでスタン・ハンセンを失神に追い込んだことがあった。こうして時々破壊力を見せ付けるのがいい。観客も三沢のエルボーならフォールでも納得だろう。こうして、誰もがやるエルボーパットの価値を三沢は高めたのだ。
三沢はこのエルボーで様々な派生技も使う。まあワンツーエルボー、もしくは回転式エルボーなどは特に分類するほどでもないが。しかし、三沢は人間ロケット、トペ・スイシーダでエルボーを使う。ここまでくると完全にこだわりである。こういう個性を他のレスラーも大切にして欲しい。
エルボーと言えばこのエルボーパット以外ではもちろんエルボードロップがすぐ念頭に浮かぶだろうが、これは別立てで書きたいので今回は立ち技エルボーに限りたいと思う。そうなると、まず浮かぶのはエルボースタンプである。
エルボーパットが横から振り抜く形であるのに対し、エルボースタンプは上から振り下ろす形である。したがって顔面を狙うのではなく主として脳天や背中に打つこととなる。
すぐに思い出すのはスタン・ハンセンやディック・マードックである。そういえば彼らは両方ともロングホーンを出す、テキサス式のファイトである。アマリロ道場に何か秘密でもあるのか? それはわからないが彼らはエルボースタンプの連打で相手に徹底的にダメージを与える。マードックとテキサスアウトローズを結成していたダスティ・ローデスも多用する。ローデスってヒジ以外に技を使ったっけな、という感じさえある。
そのアマリロ道場の主、ドリー・ファンクJrはエルボースマッシュを多用する。これはつまり下から突き上げ型で、アゴの先端を狙って打つ。これはどちらかと言えば衝突力よりもスピードであった。子供の頃ドリーのエルボースマッシュを見て、何をやっているのかよくわからなかった。それほどスピーディーに相手のアゴを狙う。数打てばダメージが残りそうだ。最近は「プロレスレトロ技博物館」の西村修がよく放っている。
またこれは立ち技エルボーなのかよくわからないのだが、武藤敬司のスペースローリングエルボーなどは実に武藤らしいハデな技ですなあ。相手をコーナーに押し込んで、そこに向かってエルボーを放つ。普通にやればエルボーパットだが、側転してジャンプして打ち込む。効果はよく分からないがとにかくカッコいいな。これは真似するのは難しいだろう。いや出来るが、武藤のようにカッコよく出来るかどうか。
さて、もう一つ書きたいのだが、いや書こうかどうか迷ったのだがとりあえず書く。アックス・ボンバーである。
アックスボンバーは、言わずと知れたハルク・ホーガンの必殺技。相手をロープに振り、返ってきたところをカウンターで、自分の腕を立てたまま直角に曲げ(ガッツポーズみたいな感じと思ってください)、相手の顔面目がけて振りぬく。ヒジの内側あたりが顔面にめり込むようにヒットし、まずノックアウト。
ヒジを中心に腕全体を顔面に打ち込むわけで、これはエルボーパットの亜種と言える。三沢のエルボーが水平打ちならアックスボンバーは…腕を立てて振りぬく。ヒジを顔面目がけて打つことには変わりはない。
しかしですねぇ…。この技はどうもラリアットっぽい。昔の私蔵のビデオなどを見ていると、初期の頃は猪木の顔がひしゃげるようなアックスボンバーをホーガンは打っていたのだが、そのうちに二の腕あたりが首にヒットするようになり、下からカチ上げるような感じになっていった。そうなるともうラリアットなのだな。そもそもホーガンはハンセンへのライバル心からこの技を開発したといわれている。日本の後継者大森隆男も、やはりそんな感じ(ラリアット気味)になっている。
それで破壊力が消えるわけではないのだが、エルボーとは違った技になった。しょうがないのかな。ガッツポーズの腕をカウンターで顔面に喰らわすとなると、相当の腕力が必要(だから超人ハルクなわけだが)。しかしながら顔面を立てたヒジでぶん殴るという豪快な感じが「斧爆弾」には相応しいと思うのである、が。
エルボードロップについては後日。
小技さんのブログにエルボーの掲載あります。イラスト参照してみてください。三沢光晴のエルボーはこちら♪ また大森隆男のアックスボンバーはこちら♪ いつもお世話になっています。
こういうドームなどの大型大会でしかもメインであるのだから、大技でしめくくろうと思うのが普通である。なので、タイガードライバー'91か、エメラルドフロージョン垂直落下式(いつものエメラルドは背中落ちに堕落している)であろうと予想していた。事実、川田はパワーボム脳天落ちをやろうとしていたし三沢も'91をやりかけた(これは滑って不発)。
しかし最後はエルボーを何発か打って川田を沈めた。これは偶発的ではなくて「決めてやろう」というエルボーだった。試合後インタビューで三沢は「無駄な動きはやめた」と言っている。これは極めて重要で、ヘタな大技よりもエルボーの方に信頼をおいていると言うことである。かつて鶴田がジャンピングニーパットを信頼していたのと同じだ。つなぎ技として認知されているエルボーをドームのメインでフィニッシュに使うというのはエルボー好きの僕にとって実に見応えがあった。
エルボーパットという技は、つまりヒジでぶん殴る技である。正拳で殴ることが禁じられているプロレスにあって、チョップとともに相手にダメージを与える手技として有効なので、多くのレスラーが用いている。初めて使ったのは誰か、などということはもう考えなくてもいいだろう。
しかし、前述したようにたいていはつなぎの技である。本来人間の身体でコブシ以外では頭、ヒジ、ヒザが最も固い部分であり凶器となりうるはずである。であるがヒジでぶん殴って決めてやろうなどと考えるレスラーはほとんどいない。地味だからであろうか。
三沢は昔からエルボーにこだわりを持って使い続けている。プロレス的大技ももちろん使うが、エルボーを出さない試合はない。それに、このようなビッグ大会でフィニッシュに使うところに、エルボーの名手としての矜持が見て取れる。実際、見ていてもその衝突力は他のレスラーと一線を画している。体重の乗せ方が凄いのだな。三沢も一試合で何発も打つため、多少は強弱をつけて加減して放っているのだろうが、本気で打てば完全にフォールも取れる技としている。かつて、三沢はエルボーでスタン・ハンセンを失神に追い込んだことがあった。こうして時々破壊力を見せ付けるのがいい。観客も三沢のエルボーならフォールでも納得だろう。こうして、誰もがやるエルボーパットの価値を三沢は高めたのだ。
三沢はこのエルボーで様々な派生技も使う。まあワンツーエルボー、もしくは回転式エルボーなどは特に分類するほどでもないが。しかし、三沢は人間ロケット、トペ・スイシーダでエルボーを使う。ここまでくると完全にこだわりである。こういう個性を他のレスラーも大切にして欲しい。
エルボーと言えばこのエルボーパット以外ではもちろんエルボードロップがすぐ念頭に浮かぶだろうが、これは別立てで書きたいので今回は立ち技エルボーに限りたいと思う。そうなると、まず浮かぶのはエルボースタンプである。
エルボーパットが横から振り抜く形であるのに対し、エルボースタンプは上から振り下ろす形である。したがって顔面を狙うのではなく主として脳天や背中に打つこととなる。
すぐに思い出すのはスタン・ハンセンやディック・マードックである。そういえば彼らは両方ともロングホーンを出す、テキサス式のファイトである。アマリロ道場に何か秘密でもあるのか? それはわからないが彼らはエルボースタンプの連打で相手に徹底的にダメージを与える。マードックとテキサスアウトローズを結成していたダスティ・ローデスも多用する。ローデスってヒジ以外に技を使ったっけな、という感じさえある。
そのアマリロ道場の主、ドリー・ファンクJrはエルボースマッシュを多用する。これはつまり下から突き上げ型で、アゴの先端を狙って打つ。これはどちらかと言えば衝突力よりもスピードであった。子供の頃ドリーのエルボースマッシュを見て、何をやっているのかよくわからなかった。それほどスピーディーに相手のアゴを狙う。数打てばダメージが残りそうだ。最近は「プロレスレトロ技博物館」の西村修がよく放っている。
またこれは立ち技エルボーなのかよくわからないのだが、武藤敬司のスペースローリングエルボーなどは実に武藤らしいハデな技ですなあ。相手をコーナーに押し込んで、そこに向かってエルボーを放つ。普通にやればエルボーパットだが、側転してジャンプして打ち込む。効果はよく分からないがとにかくカッコいいな。これは真似するのは難しいだろう。いや出来るが、武藤のようにカッコよく出来るかどうか。
さて、もう一つ書きたいのだが、いや書こうかどうか迷ったのだがとりあえず書く。アックス・ボンバーである。
アックスボンバーは、言わずと知れたハルク・ホーガンの必殺技。相手をロープに振り、返ってきたところをカウンターで、自分の腕を立てたまま直角に曲げ(ガッツポーズみたいな感じと思ってください)、相手の顔面目がけて振りぬく。ヒジの内側あたりが顔面にめり込むようにヒットし、まずノックアウト。
ヒジを中心に腕全体を顔面に打ち込むわけで、これはエルボーパットの亜種と言える。三沢のエルボーが水平打ちならアックスボンバーは…腕を立てて振りぬく。ヒジを顔面目がけて打つことには変わりはない。
しかしですねぇ…。この技はどうもラリアットっぽい。昔の私蔵のビデオなどを見ていると、初期の頃は猪木の顔がひしゃげるようなアックスボンバーをホーガンは打っていたのだが、そのうちに二の腕あたりが首にヒットするようになり、下からカチ上げるような感じになっていった。そうなるともうラリアットなのだな。そもそもホーガンはハンセンへのライバル心からこの技を開発したといわれている。日本の後継者大森隆男も、やはりそんな感じ(ラリアット気味)になっている。
それで破壊力が消えるわけではないのだが、エルボーとは違った技になった。しょうがないのかな。ガッツポーズの腕をカウンターで顔面に喰らわすとなると、相当の腕力が必要(だから超人ハルクなわけだが)。しかしながら顔面を立てたヒジでぶん殴るという豪快な感じが「斧爆弾」には相応しいと思うのである、が。
エルボードロップについては後日。
小技さんのブログにエルボーの掲載あります。イラスト参照してみてください。三沢光晴のエルボーはこちら♪ また大森隆男のアックスボンバーはこちら♪ いつもお世話になっています。
三沢が使うようになり脚光を浴びた気がしますw