凛太郎の徒然草

別に思い出だけに生きているわけじゃないですが

僕の旅 宮城県 

2005年02月15日 | 都道府県見て歩き
 旅の思い出というと、仙台に集中してしまう。

 杜の都仙台。青葉城と広瀬川の仙台。初めて訪れたのは18、9年くらい前だったのだけれど、とにかく居心地のいい街という印象。街の規模が適切なんだろうな。東北の中心都市であってなんでも揃っているのだけれど、過度に混雑していない。落ち着く。品がいい。そして広い(僕は盆地京都出身なので余計にそう思う)。乾いた空気と美味い食べ物。なんかベタ褒めだけど、住みたいなぁと思った。

 結局住むにはもちろん至ってないのだけれど、それからは幾度も訪れることになる。とくに年末年始が多い。居心地のいい定宿も出来て、何度も仙台で正月を迎えることとなる。
 年の暮れ、仙台の街は日本一のイルミネーションで彩られる。「光のページェント」は本当に美しい。定禅寺通りの欅並木に数十万個の電球が灯る。イルミネーションで飾られた街路は正に光の洪水だ。
 札幌のホワイトイルミネーション、神戸のルミナリエももちろん素晴らしいが、仙台の光のページェントには、何と言うか…素朴な美しさがあるのだ。迫力もあるしね。言ってみれば並木に電飾をとりつけただけでさほどの演出があるわけではないけれども、これがホントいいのだよなぁ。

 大晦日は、輪王寺や北山五山に除夜の鐘を求めて行くのもいい(温かいものも食べられたりして楽しい)。年が明ければ、松島に初日の出を見に行くもよし、青葉神社や大崎八幡に初詣に行くもよし。次の日は初売りだ。
 仙台の初売りは全国に知れ渡っているが本当に凄い。以前僕は旅先ながら、ウォークマンが壊れたので初売りで買ったことがあった。結構いいものが廉価で売っていたので購入すると、コーヒーメーカーが付いてきたことがあった。どういうことだ? いったい(笑)。旧式のものだったが、こんなことがあってもいいのか。おまけに福引券もついていて、やると日本酒一升(グラス6個付き)が当たった。どういうことだ? いったい(爆笑)。おまけの方が絶対に値が張っているぞ。酒は呑んでしまったが、かなり重い荷物を抱えて帰ることになったのだ。まあこれは昔の話で、今は公正取引委員会の査察が入って(ウワサですよ)少しおとなしくなったとは聞くが、それでも仙台初売りの名前は全国に轟いている。

 夜行バスが通じていた場所に住んでいた頃は、心が疲弊するとついフラリと仙台を訪れて、何をすることもなく喫茶店に入ったり本屋で立ち読みをしたりしながら、徐々に気持ちを解凍していったことが何回かあった。春先の花ほころぶ仙台、夏祭りの仙台、木枯らしの仙台、雪の舞い散る仙台、それぞれの街の表情が浮かぶ。切ない思い出やほろ苦い思い出もあったけれども、繰り返し訪れたい街であることに違いはない。

 仙台だけで終わってもいけないので、もうひとつ。
 地元の人ととあることで知り合った僕は、「宮城は仙台だけじゃない」と言われ、その人の生まれた街に連れて行ってもらった。場所は岩出山。伊達政宗の本拠地だ。車に乗せてもらってしばし、彼の故郷に着いた。
 車が川を渡ったとき、彼は北の方を指差して言った。

 「ここは僕が死ぬほど愛した風景です」

 12月のこととて冬枯れの木々が川沿いに並び(桜なのだが)、その向こうに栗駒山が威風堂々と聳えている。川はあくまでも清涼だ。その澄んだ美しさはまさに「日本の正しいふるさと」だった。彼の思いも強く伝わって、印象に残る風景となった。旅をしていると、こういう風景にときたま出会うことがある。決して観光地ではないが、心にしみいる山河に出逢えるのは旅の至福とも言える。
 宮城県はいいところだ。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« もしも平重盛がもっと長生き... | トップ | スリーパーホールド »

コメントを投稿

都道府県見て歩き」カテゴリの最新記事