~The Night Shadow Allows You~

月の水面に 映りし君の 愛でき姿は 己が命の 容なるかな

お勧めのガンダムは?

2013年01月25日 | sub-culture

先日、とある酒席で「ガンダムファンは根暗だ」という話題になった。
その理由に、「観ていない者は人に非ず」のような感じがある、といったものがあったが、最も納得がいったのは、そういう人に限って「Zガンダム」を勧めてくるということだ。
またこういった人は、「エヴァ」とか「ギアス」とか、きっと好きだろう。
別に悪いことではないが、これらには「堕ちてゆく快感」といった共通のものがあるように思える。

さて、かくいう私も「堕ちてゆく快感」の分かるガンダムファンなのだが、「Zガンダム」を勧める人たちと違うのは、映像監督の富野由悠季氏に対するアウトサイダー的理解があるところにある。
またこれは作品に対する理解というより、富野氏に対する理解といった意味で、特定の作品を一身に伝えようとする人たちとは違っている。

正直、富野由悠季氏は既にアウトサイダーを克服している。
アウトサイダーであったころ、彼は不名誉にも「皆殺しの富野」とか、そういった二つ名を与えられていたわけだが、しかし、氏の現在における作風は大分、過去のものと違ってきているように思える。

決定的なのは、やはり富野ガンダムの最後の作品である∀ガンダムであろう。
私がこの作品で衝撃的に感じたのは、ガンダムで牛を捕まえたり洗濯をするシーンでなく、ディアナ存在である。
存在というのは「働き」という意味合いであるが、彼女はこの作品における最重要人物である。
そして全ガンダム作品を終焉させる人物でもあるわけだが、この「働き」を理解できている人はどれだけいるだろうか?

その「働き」というのは、作中に、私が印象的に感じたのは、月の暴動を、その暴徒が近いところを行幸し、鎮めたシーンだった。
次にあったのは、地球に降下し、反乱を起こした自身の軍団が、再び彼女の姿を見た途端に再び恭順するというシーンだった(※)。
また、驚くことに、彼女は彼ら反乱者に特赦を与えて再び参与に加えている。

※ちなみに、我々日本人は現実にこのような経験をしている。昭和天皇行幸である。

ときに、ガンダムがシャアとアムロの死によって終わらなかったのは、彼らの存在が、作品背景に流れる本質的な部分を総括しえなかったことにある。
所詮はライバル同士、端的に、作品に住まう人類すべてを包むような存在ではなかったのだ。

しかしながら、ディアナは違うわけである。
ディアナには私心がない。いわゆる、我々と同じような私心がないのである。
神格化された存在として、彼女自身それを自然に受け入れ、いや、やはり神格をもった存在なのだと思う。

それを考えると、次の話を思い出す。

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”伝承の中の神武天皇は、道々賊を平げられ、大和の橿原(かしはら)に至って、これを伏(まつろ)わない者はもう無くなったとして、それまでまとっておられた御軍装を解いて、初めて天皇の御位につかせられたのである。

天皇の御位に即かせられた時の言葉として、

八紘をおおいて宇となす、また楽しからずや

と仰せられたと伝えられている。

この言葉の意味は世界一家などという征服的な意味ではない(注:「八紘一宇」とは、本来、軍国主義の侵略的スローガンとは相容れない)。
は人間が個々の生活を営む豚の住む家ではなくて、宇宙に連なる軒なのである。
平和に櫛比(しっぴ:櫛 (くし) の歯のようにすき間なくぎっしりと並んでいること。)してゆく軒(※この場合、「宇」の「軒」)は、泰平な万民の繁栄を意味するもので、もはやこの世に敵はいないという境地の述懐にほかならない。

したがって、これはこれからの世に武装は無用と見た軍備撤廃の大宣言に当たっている。”


引用:山岡荘八「徳川慶喜」〔6〕(75項14行~76項7行)

※下線、太字はO∴EL

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富野由悠季氏がディアナ・ソレルに与えた「働き」というのは、「八紘一宇」の思想なのではなかろうかと。

そして最終回、その神格化されたディアナも交代の時期を迎える。
還俗するきっかけは、かつて地球の男に愛されたことであったと思う。
密かに新たな女王を迎えるが、その新女王もまた私心がない。
しかし、それをすることによって、ディアナ・ソレルという存在、つまり「八紘一宇」の思想は永遠となる。
そういったテーマが、ガンダムの締めくくりとして、∀ガンダムにはあると感じている。


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1 コメント

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俺は (誇空)
2013-01-26 16:11:53
キドウセンシガンダムで止まっております(`・ω・´)

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