烏柄杓

2009年05月22日 | その他植物

新着写真。

カラスビシャク(烏柄杓)。
別名・ハンゲ(半夏)、ヘソクリ。

畑の雑草としてよく見かける、サトイモ科の多年草。
マムシグサを小さくしたような花を咲かせるが、こちらの丈はせいぜい20センチ。
葉は細長い三つ葉で、花とは別に出てくる。


葉の付け根にムカゴをつけ、どんどん繁殖していく。
結実したところは見たことなし。


カラスビシャクの根茎。
根茎を乾燥させたものは生薬の半夏(はんげ)として、つわりや吐き気などに用いる。

「半夏」とは夏至から11日目のことで、ちょうどその頃に生えてくることからという。
「烏柄杓」は、小さな仏炎苞をカラスが使う柄杓に見立てて。
「ヘソクリ」は、農家のお年寄りが畑のカラスビシャクの根茎を集めて小遣い稼ぎをしたことから。



 サトイモ科 ピネリア(ハンゲ)属
属名のPinelliaは、16世紀イタリアの植物学者Pinelliの名より。

蝮草

2009年05月22日 | その他植物





2008年&2009年5月写真。

マムシグサ(蝮草)。

山林に自生するサトイモ科の多年草。
近縁種が多く、写真のものはキタマムシグサ(北蝮草)あるいはアオマムシグサ(青蝮草)と呼ばれる種類か。

春にマムシのような模様のある茎(偽茎)を1メートルほども伸ばし、白い筋の入った仏炎苞に包まれた花を咲かせる。
この草姿をマムシに見立てて「蝮草」。
あるいは、マムシがいるような林内に生えることから。

雌雄異株で、株が小さいうちは雄株、充実した株は雌株になるという。
株の状態によっては、雌株から雄株に戻ってしまうこともあるとか。


2008年9月末の実。
つくづくインパクトのある植物。

根茎は有毒だが、生薬の天南星(てんなんしょう)として薬用とする。


 サトイモ科 アリサエマ(テンナンショウ)属

枸橘

2009年05月21日 | その他植物

5月中旬写真。

カラタチ(枸橘、枳殻、枳、唐橘)。
別名・キコク(枳殻)。

中国原産のミカン科の落葉低木。
ミカン科の中では耐寒性が高く、また強い刺を持つことから、生け垣に用いられる。

春に目立たない白の5弁花を咲かせ、ピンポン玉のような実をつける。




2008年8月末の実。
この実は生食できないが、黄色く熟すと芳香を放つらしい。

実を輪切りにして十分に乾燥させ、煎じたものは、健胃や利尿の効能があるらしい。
またその芳香から、入浴剤としても用いる。

「カラタチ」は「唐橘(からたちばな)」の略で、中国から渡来した橘(柑橘類のこと)の意。
「キコク」は、中国名「枳殻」の音読み。


 ミカン科 ポンシラス(カラタチ)属
属名のPoncirusは、ミカンの一種のフランス名poncireから。
花言葉は「風流を解する」「相思相愛」「思い出」

イベリス

2009年05月20日 | その他植物



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イベリス。
別名・マガリバナ(曲がり花)、トキワナズナ(常盤薺)。

北アフリカや西アジア、ヨーロッパなど途中海沿岸原産のアブラナ科の一年草~多年草。
日本は明治の初めごろに持ち込まれた。

春に咲かせる花は、スイートアリッサムを大きくしたような感じで、花びらの4弁のうち外側の2枚が大きめ。
花色は品種によって白や赤、紫など。
写真の品種はたぶんセンパビレンス。

英名は「キャンディタフト」。
「tuft」は髪などの房のことで、花をお菓子の束に見立てて。

「マガリバナ」の由来はよく分からないが、これが和名らしい。
別名の「トキワナズナ」は、全く別の植物の和名でもあるので紛らわしい。



 アブラナ科 イベリス属
属名のIberisは、スペインのイベリア(Iberia)半島にこの属の多くが分布していることから。
花言葉は「こまやかな人情」「心をひきつける」「無関心」など。

紫木蓮

2009年05月19日 | その他植物

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シモクレン(紫木蓮)。
別名・モクレン(木蓮)。

中国原産の落葉樹。
ハクモクレンからかなり遅れて咲き始める。

「モクレン」といった場合、ハクモクレンではなくこのシモクレンのことを指す。
サラサモクレンニシキモクレンは、このシモクレンとハクモクレンの交配種という。

モクレンは最古の花木といわれ、1億年前にはすでに現在と同じような姿だったと推測されている。


 モクレン科 マグノリア(モクレン)属
属名のMagnoliaは、フランスの植物学者マニョール(P.Magnol)の名前より。
花言葉は「荘厳」「崇高」「慈悲」など。

舞鶴草

2009年05月18日 | その他植物



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マイヅルソウ(舞鶴草)。

山地の針葉樹林下に自生する、ユリ科の多年草。
ハート形の葉を2枚つけ、茎の先に小さな白花を咲かせる。


 ユリ科 マイアンセマム(マイヅルソウ)属
属名のMaianthemumは、ギリシア語のmajos(5月)とanthemon(花)からで、開花時期から。

去年記事

苧環

2009年05月18日 | その他植物







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オダマキ(苧環)。
別名・イトクリ(糸繰)、イトクリソウ(糸繰草)。

北半球の温帯に広く分布する、キンポウゲ科の多年草。
春、5枚の花びら(正確には萼片訂正。外側に広がる花びら状のが萼片で、距を突きだしてる部分はやはり本来の花弁か)のそれぞれに距(きょ)を伸ばした、独特の花を咲かせる。

この花の形が苧環(紡いだ麻糸を巻いたもの)に似ていることが、名前の由来。
英名は「columbine」で、蕾の形を鳩に見立ててのものらしい。
また花の形から帽子に例えられた異名も。

日本にはミヤマオダマキ(深山苧環)とヤマオダマキ(山苧環)が自生し、一般に栽培されているのは、ミヤマオダマキの園芸品種。
他にセイヨウオダマキ(西洋苧環)もよく栽培される。

原種はともかく、栽培種のオダマキは極めて強健で、放置していてもほとんど雑草化する。
よほどまずいのか、今年大量発生しているマイマイガ幼虫ですら、オダマキだけは全く口をつけない。

ミヤマオダマキには消炎・鎮痛作用があるらしく、乾燥させた根を煎じたものや生の葉の絞り汁を、薬用に用いる。


 キンポウゲ科 アキレギア(オダマキ)属
属名のAquilegiaは、ラテン語のaquila(鷲)が由来で、距を鷲の爪に見立てて。
花言葉は「努力の勝利」「素直」「不品行」「愚か」「移り気」など。





この2枚は2008年5月写真。

筆竜胆

2009年05月17日 | その他植物





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フデリンドウ(筆竜胆)。

山野の日当たり~林下の半日陰に生える、リンドウ科の二年草。
リンドウというと、秋の花というのが一般的なイメージだが、これは春に花を咲かせる。
草丈は花をいれても3センチ程度で、咲いていてもなかなか気づかない。

非常によく似た花を咲かせるハルリンドウ(春竜胆)は、卵形で大きめの根生葉を広げ、そこから花茎を伸ばして先にひとつずつ花をつけるらしい。
フデリンドウは根生葉を持たず、花は茎の先にまとめて咲かせる。

「筆竜胆」は、蕾の形が筆に似ていることから。
でもリンドウはみんなこんな蕾。



 リンドウ科 ゲンティアナ(リンドウ)属
属名のGentianaは、この属のある種の薬効を発見したとされる、アドリア海沿岸にあったイリリアの国王ゲンティウス(Gentius)の名より。

上溝桜

2009年05月16日 | その他植物





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ウワミズザクラ、ウワミゾザクラ(上溝桜)。
別名・ハハカ、コンゴウザクラ(金剛桜)。

山野に普通に見られる落葉高木で、桜と同属。
4~5月頃、穂状の白花を咲かせる。
芳香があるとの情報もあるが、香りは全く感じられず。
いくつか近似種がある模様。

「上溝桜」は、樹皮に溝がたくさんあることから、あるいは樹皮に溝を彫って占いに用いたことから。
「ハハカ」は古名で由来不明。

地域によっては蕾の花穂を塩漬けにして食べるらしい。
また蕾の花穂を乾燥させて煎じたものは、鎮咳作用があるらしい。
実は果実酒とする。



 バラ科 プルヌス(サクラ)属
属名のPrunusは、ラテン語のplum(スモモ)より。

桜草

2009年05月15日 | その他植物



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サクラソウ(桜草)。
別名・ニホンサクラソウ(日本桜草)。

山野の湿地などに自生する多年草で、プリムラの仲間。
桜の名を冠するとおり、春に桜のような花を咲かせる。

「我が国は 草も桜を 咲きにけり」との小林一茶の句もある。

古くから栽培され、特に江戸時代には様々な園芸品種が作出された。
ただ自生地は年々縮小し、今では自生のものは絶滅危惧種。
写真の場所もあからさまに不自然な群生で、明らかに植栽されたもの。


 サクラソウ科 プリムラ(サクラソウ)属
属名のPrimulaは、ラテン語のprimus(最初)が由来で、この仲間が春にほかの花に先駆けて咲くことから。
花言葉は「希望」「初恋」「かわいい」「あこがれ」「青春のよろこびと悲しみ」など。




ついでに2008年同場所にて。