えん日記

NPO法人暮らしネット・えんのつぶやき

三回目の神津島

2014-10-27 14:14:14 | Weblog
先週、神津島に行ってまいりました。
調べてみたら、2010年の6月に初めて伺い、そのときのことをブログに書いていました。
その後2012年の10月に二度目、今回は三回目です。
「そんなに度々何をしに?」と聞かれそうですね。
1回目は呼んでくださった「潮彩の会」(障害児・者の育成会)のメンバーを中心に、NPO立ち上げなどの相談。
2回目は、認知症サポーター養成講座。
今回は、「在宅介護について話をしてほしい」との依頼でした。
返事がよいのが取りえ?のわたくし、二つ返事で引き受けたものの…。
大都市圏のベッドタウンなら(前回ブログの宮代町みたいに)えんを例に挙げることもできます。
しかし、人口2千人を切った離島ではそんな手法は使えない。
珍しく悩みました。
そこで、基本的な介護保険情報を伝えた上で、ワークショップ形式の参加型ですすめることにしました。
神津島の在宅介護を島民が考える形です。
副村長さん、福祉課長さん、特養ホームの施設長さんも参加してくださったので、予算のことは考えないことを前提に。
さいわい、最初のうちは「よくわからない」と言ってた人も、終わりに近づくと熱く島の在宅介護について語り合っていました。
最後には、それぞれのグループが短い時間でしっかり話し合った結果を発表してくれ、ホッとしました。

今度のことをきっかけに、神津島のこと、いろいろ調べてみました。
島の在宅介護を考えるのですから、最低限の情報は頭にいれなければなりません。
人口、高齢化率、介護保険情報、その他島の基本情報…。
調べてみると、なかなか面白い。
出生率は数年前全国2位になったほど高く、子ども3人4人の家庭は珍しくない。
保育所待機者はゼロという子育て環境は、とてもうらやましい。
肝心の介護問題では、高齢化率は27%とさほど高くはないが、施設入所者の比率が高い。離島という条件ゆえか。
訪問介護の利用が少なく、訪問看護などの医療系サービスはない。
この人口で医療系サービス事業所を開設するのは難しいけど、診療所や特養ホームの看護師さんが訪問するようなことはできないだろうか。
在宅介護を続けるためには、小規模多機能型介護なんかが良いのだけど、高齢者だけでなく障害者も受け入れるような形はとれないだろうか。
できることなら、離島型のモデル事業で。
よそ者の気楽さで、データをみているといろんな案が浮かびます。

だけど実際に、この島で何かしていくのはホントにたいへんだろうと思います。
みんなが顔見知りという中で、人間関係のしがらみもいろいろあることでしょう。
そんな中で、行くたびに新しい何かを始めている「潮彩の会」ってスゴイ!
今回は元民宿を借りてカフェをオープン、ランチメニューまである!
ここで働く人のために障がい者の就労支援制度を利用し、障がい児の通学のために支援員も始めました。
なかなかできることではありません。
福祉課長さんに「潮彩の会は、本当にありがたい存在ですね」と話しかけたら、深くうなずいてくださいました。
彼女たちなら、これからも粘り強く活動を続けていくことでしょう。
わたしは、遠くにいる親戚のおばさんみたいに、この島のことを気にかけていきます。
何にもできないけど。










『きらりびとみやしろ』のこと

2014-10-24 09:53:22 | Weblog
18日に県内宮代町のNPO『きらりびとみやしろ』に伺ってきました。
グループホームなどが入った「多機能ホームきらり姫宮」オープン10年を記念した集いに呼んでいただいたのです。
「困ったときはお互い様」を合言葉に始められたボランティア組織を母体にしたNPOで、訪問介護やデイサービス、高齢者グループホーム、移送サービス等があり、毎日介護賞受賞と、えんとよく似た団体です。
違いは、母体になった「たすけあい活動」がしっかり根付いていること。
教えていただきたいこと、見習わなければならないことがたくさんあるNPOです。
設立の中心になった初代理事長井上恵美さんは、宮代町福祉課長だった方で、制度だけでは間に合わない障がい児・者や高齢者への支援が必要なことを実感して始められました。
6年前57歳でなくなられました。
生前、名刺交換して挨拶を交わした程度だったのが悔やまれます。(奇しくも同じ年齢!)
世にあれば、NPOの介護団体の中心として活躍中だったでしょう。
幸いなことに、後を次いだ方々がしっかりと事業をつづけていること。
この日も、懇談会で何度も彼女の名前が出てきて、まだここに生きていらっしゃることを感じました。
良いお付き合いを続けたいNPOとの出会いでした。

相対貧困率世界第2位の国で

2014-10-14 09:46:03 | Weblog
日本の相対貧困率がOECD加盟32か国中第2位に「上がった」との報を読みました。
相対貧困率とは「国民を所得順に並べて、真ん中の順位(中位数)の人の半分以下しか所得がない人(貧困層)の比率を意味する。つまり、中位の人の年収が500万円だとしたら、250万円以下の所得層がどれだけいるかということ」だそうです。
こんな大問題を論じるだけの知識はありません。
けれど、ずっと喉元に刺さった魚の骨みたいに感じ続けてきた「地域包括ケアシステム」(地域の医療介護が連携し、地域住民みんなで支えあおうというシステム)への違和感がスッキリ解けました。
高齢者の低年金、介護職の低賃金。
これを解消しないかぎり、どんなに立派なシステムを考えても砂上の楼閣。
社会保障審議会の介護給付費分科会では、来年度からの介護報酬を巡って議論が続いています。
不思議なことに、最も大きな課題である介護職員の確保・定着について、低賃金を真っ向から議論しない。
これを棚に上げて、介護段位だの研修の充実だの、精神論ではどうにもならない。
そして要介護者も、所得によって介護サービスの利用率が下がることがはっきりしてきています。
低賃金の介護職員が、一定の所得がある高齢者だけを介護する。
そんな介護保険で、超高齢社会でよいのでしょうか。




介護報酬減らすって?

2014-10-10 14:45:30 | Weblog
ご他聞にもれず、わがえんも人手不足。
介護職員さえいれば「あれもやりたい、これもできる」と思いはいっぱい広がるのですが。
ところが財務省が来年1月にはま決定する介護報酬改定について、6%のマイナスを要求するとの報。
低賃金重労働だから不人気なのに、それに拍車をかけることになります。
2025年(団塊の世代が7全員5歳以上になる)までにはあと100万人必要というデータを出しておきながら。
景気はよい、という掛け声は聞こえてきても実感は全くありません。
要介護高齢者を安心して託せなかったら、勤労世代はしっかり仕事はできません。
無駄な経費ではありません。
社会にとって必要な経費です。
考え直してほしい。
切に願います。