えん日記

NPO法人暮らしネット・えんのつぶやき

遠いくにからやってきた一枚の布

2014-06-30 10:35:01 | Weblog
たまには介護の世界とは違う話を。
グアテマラの女性支援(先住民)をしている友人から、ショールを一枚購入しました。
ガーゼのように柔らかな綿で、ところどころ綾模様が入っています。
繊細でフワッとしていて使いやすそう。
「腰機 こしはた」という、文字通り腰を機(はた)の一部にして織る素朴な手法だそうです。
持ち運び自由な機なので、戸外で織っている写真を見たことがあります。
遠い遠い知らない土地のどんな風景の中で、どんなものを料理して、食べて、何人の子どもを育てながら織っているのだろうかと、会うことは決してないだろう女性の姿に想像を巡らしています。
こうした物資の販売や寄付で集まったお金の中から、主食のトウモロコシの製粉に使う電動グラインダーを買って集落にひとつ置くと、長時間かけて石臼で挽く作業がなくなり、その時間で学校にいったり、職についたりすることが可能になると聞きました。
内戦で弾圧・虐殺され、多国籍企業のコーヒー農園で幼いころから働かされてきた先住民女性が、自らの力で生きる力を得るためには、まず文字を知って情報を得ることから始まります。そのための時間を作るのが電動グラインダー。気が遠くなるような道のりです。
友人たちの活動に学ぶことは、「あきらめないで続けること」。仕事の種類も活動のかたちも違うけど、励まされます。
この夏、冷房に弱い私の大切な持ち物になるでしょう。



総会を終えて

2014-06-24 18:43:51 | Weblog
第12回定例総会、6月22日に無事終わりました。
業績はNPO設立以来最も厳しく当然赤字決算、気が重い総会でしたが、何人かに「いい総会でしたね」と声をかけられました。おそらく各部署が悪条件にもめげず実直に誠実に責任を果たしていることを評価してくださったのだと思います。
立ち上げメンバーのスタッフから「年度末には資金繰りが厳しかったそうですが、大丈夫でしょうか」と質問が出ましたが、おかげさまで、利用者減に悩んだ二つの事業所が努力の甲斐あって年度末には上向きになり始め、2ヶ月経過した今は回復していますのでご安心ください。
記念講演の「国際医療協力から在宅医療へ」は、堀越先生19才のカルカッタ『死を待つ人々の家」での経験から始まりました。医学部に入りなおし、医師になったのもそうした体験が原点にあったとのこと。日常に死が入り込んでいる開発途上国や爆撃下のアフガンなど、極限状況の医療現場を体験されています。なぜ在宅医療へ移られたか具体的には説明されませんでしたが、あの場で静かに語られる言葉を聞いていると「なぜ」と問うことはない、と思いました。それは現場でもとめられるのは「『やり方』ではなく『あり方』なのだ」とまとめられたことに通じる何かなのでしょう。総会記念にふさわしい講演でした。

近日中に総会資料アップいたします。どうぞご覧になってください。

雨の総会

2014-06-22 11:45:00 | Weblog
本日第12回定例総会です。
珍しくしっかり梅雨空です。予報を見ると午後は曇りマークなのですが、せめて小ぶりにならないかな。いつもこの時期ですが、記憶では雨にたたられたことがない(ホントかどうかは?)。出足が心配です。
「シャンシャン総会にしない」をモットーに、丁寧に報告する、説明するを心がけていますが、勢いあまって時間超過することしばしばなのが代表のワタクシです。気をつけます。
さて、会場へ出かけます!

日曜日は総会です!

2014-06-20 16:55:29 | Weblog
6月22日は暮らしネット・えん第12回定例総会です。
今朝ワールドカップを見ていて、NPO設立を目指した勉強会の日は日韓共同開催ワールドカップ日本初戦の日だったことを思い出しました。あれから12年、いくつ山川を越えたことやら。
そうして迎える第12回です。総会は会員以外の方にも公開しています。
また総会後の記念講演は「国際医療協力から在宅医療へ」(堀越洋一 堀ノ内病院地域医療センター長)です。ボスニアやアンゴラ、パレスチナなど名だたる紛争地での医療支援から新座での在宅医療へという経歴を伺い、是非にとお願いしました。
どうぞご参加ください。
会場は新座市中央公民館体育室、総会開始13時半、講演15時半スタートの予定です。



社会保障・税の一体改革はどこに?介護保険法、改正が成立

2014-06-19 15:59:26 | Weblog
18日、参議院で審議中だった「医療・介護推進法案」が賛成多数で可決されました。
今の国会ではまちがいなく通ってしまうだろうと思っていましたが、決まってしまうとズシンと重い。2000年にスタートして14年、介護保険のかたちが根底から変わる改正になりました。
問題点はいくつもあるので、少しずつ整理をかねてこのブログに書いていきます。
そもそも論から始めると、今回の改正のベースは、法案が「一括法案」と呼ばれたように医療と介護の一体的な改革を進めて、超少子高齢化がピークを迎える2025年に備えようというものでした。この4月から8パーセントになり来年10月10パーセントになる予定の消費税アップもその財源確保だったはず。それがどうやら法人税減税の補填に回るようで、社会保障に回る分はぐっと減ってしまったという話。
その結果、280万円以上の収入がある人からは介護保険利用料が2割=倍になることも含めて、「年寄りの布団をはぐ」ような改正が通ってしまいました。
明後日の総会準備がありますので、続きは後日!



カフェえんの森(認知症カフェ)3回目でした

2014-06-17 14:18:30 | Weblog
第三水曜日の今日は認知症カフェの日。
三回目のカフェえんの森ですが、少し落ち着いてきたので記念に小さなコンサートを催しました。50代以上の方には懐かしいリードオルガン -そう、小学校の教室にあった足踏みオルガンです-の伴奏で懐かしい歌を一緒に歌おうという企画です。梅雨の時期にちなんだ雨の歌、花の歌、そして「東京ラプソディ」なんていう懐メロ等々1時間近くみんなで声を合わせて歌いました。初めて参加するご近所の方、認知症当事者、えんの森住人、スタッフ、はじめて顔を合わせた人も含めて総勢50人を超える歌声に包まれました。演奏者の相田さんの語りと演奏は、柔らかくて暖かくて、大好評!
その後、別室で「家族の会」の話し合いがあり、リビングではコーヒーを楽しみながらおしゃべりしたり、なかなかよい雰囲気でした。
毎月第三水曜日の午後1時から4時まで、お近くの方は是非是非!

子育て支援

2014-06-13 17:58:37 | Weblog
土曜日、おつきあいがある建設会社がオープンしたサロンのお祝いに出かけてきました。
くらし方のスキルなどを発信する小さなサロンですが、女性社員4人が担当で、お祝いの進行や準備もこの方々が中心で進められたとか。社長いわく「どうしても女性社員は補助的な業務になりがちなので、中心になる場をつくりたかった」と。
建築関係なのに女性雇用率が高く、女性が活躍する職場として埼玉県の「ウーマノミクスTV」で紹介されています。子育て中でも働きやすいように、職場に子どもを同行することも可能にしているとのこと。これまで、建築関係のことでしか知らなかったので、ちょっとびっくり。女性が9割のわが暮らしネット・えんも、もっと子育て支援ができるような仕組みを考えなければと背中を押されました。

グループホームって、ご飯一緒につくるところ?

2014-06-11 17:51:31 | Weblog
本日、社会保障審議会介護給付費分科会傍聴してきました。
テーマは認知症施策と住宅関連。どちらもこれからの大きな課題です。
一番質問や意見が多かったのが認知症、特にグループホームでしたが、こんなやり取りが。
「食事が弁当という施設があるが、どういうことか?」「併設の施設で作ったものを提供していたりするということです。食事を一緒に作ったり買い物にでかけたり、良いにおいが漂ってきたりという環境は保ちたい云々」。
さすがに、他の委員から「重度化して療養している方が増えている現状がある」「介護職や治療食を併設の老人保健施設から届けている」という意見がありました。平均でも要介護2.8、初期ののどかな「宅老所」からは遠い姿なのが今のグループホームです。
しかも、介護保険初期より要介護度は低く出がちで、このあたりは「認知症の人と家族の会」委員から指摘がありました。
それなのに、相変わらず今回の改正は「予防」中心で行くと。予防できないのが認知症ですから、「早期発見」のことのようですが、発見しても適切に対応できる体制はまだまだです。
日暮れて道遠し。いつもながら聞いているだけで疲れました。

認知症の人には、認知症専門ケアを!

2014-06-09 11:58:20 | Weblog
昨日は岐阜県下呂温泉で老年社会科学会のシンポジウムに参加してきました。
テーマは「認知症とともに地域で生活する、ということ」。
共生型デイサービス(高齢者も子どもも障がい者も一緒に)で有名な富山市の「このゆびとまれ」惣万佳代子さん、滋賀県守山市もの忘れクリニック藤本直規ドクター、東京都健康長寿医療センターの伊東美緒さんという豪華メンバーで、わたしはさておき、とても中身のある発表でした。
ちなみにわたしは「認知症の人には、認知症専門ケアを!-認知症デイサービス、小規模多機能型居宅介護の活性化を-」でした。提出したものを下に載せますので、興味のある方はお目通しください。


日本老年社会科学会シンポジウム発題者資料

(NPO)暮らしネット・えん事業概要:居宅介護支援・訪問介護・認知症デイサービス・認知症グループホーム・小規模多機能型介護・高齢者共同生活運営住宅・配食サービス・認知症カフェ等地域交流事業 
             
 暮らしネット・えんが活動する埼玉県新座市は、これから急速に高齢化が進む首都圏の典型的なベッドタウンである。人口16万人、高齢化率22%を昨年発表された認知症発症者推定値に当てはめると、5千人が認知症自立度Ⅱ以上、MCIまで含めれば1万人近いと推計できる。
 デイサービス、グループホーム、小規模多機能型サービスが認知症対応型、ケアマネや訪問介護も多くが認知症利用者だから日々の各事業所に入る相談や情報も、認知症による「お困り事例」が多くを占めている。特に小規模多機能型介護「多機能ホームまどか」に入る相談は、認知症未受診で「まず診断と薬の調整」と判断する事例が多く、利用前に医療機関につないで様子をみるケースが少なくない。また在宅の限界を超えている重度の認知症も多く、入所型施設につなぐこともしばしばである。利用開始してもすぐに在宅が困難になるケースも多い。もう少し早く、もう少し軽いうちに相談してもらえれば、と残念に思う。
 毎日のように報道される一般的な病気になったにも関わらず、医療受診や適切な介護サービスにつながらないのは正確な情報や対応方法がまだまだ届いていないことにある。深刻なのは専門家であるはずの介護職、特にケアマネの認知症ケアに対する理解が浅い点である。認知症対応に特化している認知症デイサービスや小規模多機能型介護が利用者不足に悩んでいる。他の在宅サービスより高額なのが一因だ。その結果、安価に泊りまで利用できる小規模なお泊りデイサービスへ中度・重度の認知症者を誘導してしまう。この問題の根底には、低額で利用できる入居施設の受け皿不足もあるのだが、根本的な解決がなされていない。
 さて、これまで独居や老々介護、単身の子との同居などの在宅限界を伸ばした、またはターミナルまでケアした事例は、法人内他事業所と医療や地域との連携によるものが少なくない。ここでは小規模多機能型介護での例を紹介する。在宅時に徘徊で行方不明になった利用者の捜索を全事業所に依頼し、移動中のヘルパーから発見の知らせが入ったケース。独居利用者の近所に住む地域福祉ボランティアから「協力します」と連絡が入り、在宅時の安否確認を引き受けてもらったケース。ガン末期ギリギリまでまどかへ通所し、最期は同事業所のケアマネに移して手厚い在宅ターミナル体制で看取ったケース。                    
 このような経験から、認知症でも最期まで、ギリギリまで在宅支援することは可能だと考える。可能性のある方々に支援が届かず、または不適切な支援の状態で地域に埋もれていると思われる。まず認知症在宅者に適切な介護のかたちを、地域の介護職や民生委員や地域福祉ボランティアに共有してもらう機会をたくさん作ることが必要だ。「認知症ケア」が知られるようになってまだ十数年、本番はこれからである。

昨日は

2014-06-02 09:30:10 | Weblog

5月から6月は総会シーズン。えんの総会準備も大詰めです。
昨日午後はおとなり西東京市「サポートハウス年輪」の総会に出かけてきました。
事業の中身や理念もよく似たNPOで、課題も重なります。激増する小規模デイサービスと競合してデイホームが利用者減だとか、NPOではあまり出てこない「営業」がキーワードになっていたのもそっくりそのままえんと同じです。でもやはり、少しずつの違いがあって、それが勉強になります。
そして、総会後の記念講演は宮城県岩沼市の特養ホーム「マリーンホーム」3.11の報告。海岸から200メートルという至近距離にありながら一人の犠牲者も出さなかった『軌跡の脱出』のお話をうかがいました。犠牲者を出した多くの高齢者施設との違いは迅速な判断と日ごろの準備。なんとまだ大揺れの最中だった14時50分には仙台空港への避難を決定、15時35分には空港2階  に全員避難完了。日ごろの職員連携もさぞやと思ったことです。この記録は『奇跡の脱出ー3.11のマリンホーム』として一冊にまとめられています。
さて、これも例年のことですが、毎年6月の第一日曜日は新座市福祉フェスティバル。えんも「きょうけち染め」(和紙を折ったものを絵の具で染める)と豆腐白玉善哉で参加しました。