えん日記

NPO法人暮らしネット・えんのつぶやき

グループホームえんの午後

2015-07-10 11:01:55 | Weblog
昨日の午後の小一時間ほど、私は何も「仕事」をせず、ソファーに座って過ごしていました。
私の左隣には3人の入居者さんが並んで座っています。
お隣の方はしばらく前から、うつらうつらと居眠りをしています。
左端のAさんはふだんからほとんど人との交流を持ちません。
このときもキロキロと目だけを動かし、少し緊張して座っていました。その姿は、ここにいたほうが安全か、それとも他所へうつったほうがよいのか常に当たりを警戒する小動物のようです。
間に座ったBさんはいつも穏やかです。
この時も窓の外に降る雨や木々の緑を見たり、私と目を見交わしたりしながら、ニコニコとおしゃべりしていました。
時折、両隣の人に「大丈夫?」、「寒くない?」と声をかけます。そのたびに「うるさいなあ」、「何度も同じこと訊かないでよ」とうるさがられますが、ニコニコしています。
お昼前から振り出した雨は本降りになりました。
もうずっとお日さまを見ていません。雨にぬれた緑は美しく緑にもさまざまな色があるのだと気づかせてくれます。
私は団扇でそっと風を送りながら考えていました。
この方たちの、今、目の前を流れていく時間はどんな形をして、どんな色をしているのだろう…。
Aさんは、友人も近隣との交流もなく、きょうだいとも長く疎遠です。
その方が人生の終わりちかくになって共同生活に身を置き、警戒しながらも、入居4年目の近頃は、ここで暮らすことに”腹を括った”ように見えます。
Bさんは、自宅前の河川改修工事を行政に求めた際には近隣住民の中心となったそうです。
「厳しい母でした」と娘さんは語っていましたが、今は観音様のようです。
私の隣に座ったCさんは、幼いころから親御さんを助けて働き、弟妹の面倒を見て着ました。働きに働いて戦前戦中戦後を生きてきた方です。
人にも自分にも厳しい方でしたが、この頃はぼんやりとする時間が増えました。

はい、グループホームえんの職員は、こんな風にただ座っているだけ(の時間もある)でお給料が頂けるありがたい仕事です。
これから、不定期ですが、皆さまに、その”お福分け”をしてまいります。
グループホームえん(暁)


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