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名目GDPと実質GDP

2011-10-29 21:53:03 | のんき的経済問題
はい。 では、前回の記事で申しました通り、今回はのんきが気になった、このニュース

TPP参加で実質GDP2・7兆円↑との試算

について、のんきが思うところを記事として書き表してみたいと思います。

ではでは。そもそも、「実質GDP」とは何ぞやと言うところからお話してみます。

「実質GDP」。同じGDPを表す言葉といたしまして、もうひとつ、「名目GDP」と言うものが存在しますね。

それでは、「実質GDP」と「名目GDP」。その違いとは一体なんでしょう。

判りやすいのは、「名目GDP」。これは純粋に一年間でこの国で消費されたお金の総額。
家庭・企業・行政で、それぞれが一体どのくらいお買い物をしたのか。又は土地や債権に対して投資を行ったのか。そして元々持っていた資産の
額がどのくらい増加したのか。

そういったお金の総額のことです。

判りやすいですね。100円はあくまで100円ですし、100万円は100万円。100兆円は100兆円であり、額面通り。誰が見ても判りやすい
金額です。

では、です。もうひとつの「実質GDP」。これ、名目GDPに対して、とある基準年を定め、その年の物価と比較して、どのくらい物価が上がったのか
それとも下がったのか。つまり、「インフレ率」を加味したもののを「実質GDP」と呼ぶのだそうです。


もう少し詳しく行きましょう。

たとえば、日本と言う国には、「米」というものしか存在せず、「米」以外に消費されるものはまったく存在しないとします。しかも米を販売する
規格は、10kgの米で、全てビニール袋に封入されたものしか存在しなかったとします。

今年、米の販売総数は合計で100万袋売れました。(あくまでも仮定のはなしです。)平均小売価格は5000円でした。
この場合、「名目GDP」は5000円×100万袋で、「50億円」と言うことになりますね。

次に、「基準年」を仮に3年前だと設定して、その時の米の平均小売価格が6000円だったとします。
この場合、「実質GDP」は、6000円×100万袋で、「60億円」と言うことになります。

つまり、「実質GDP」とは、詳細に分けられた各品目に対して、同じ数量が基準年の物価で販売されていたとしたらいくらか、という観点から計算された
金額の総計。もちろん、品目は米だけじゃありません。農業全体でもかなり多くの品目が存在しますし、工業分野も、土地も、不動産も、えげつないくらい
多くの品目が存在します。

「実質GDP」とは、それら全ての品目を、全て基準年度で計算し、全品目を合算した、その合計金額の事なのです。


ちなみに、この「名目GDP」を「実質GDP」で割ったもの。その値の事を「GDPデフレーター」と呼びます。

上記の米の例で言うと、今年の「GDPデフレーター」は5000円÷6000円(1品目しかない、という設定ですので、販売数量は無視します)で
おおよそ0.83。

ちなみに3年前の「GDPデフレーター」は6000÷6000で1。つまり、3年前と比較して今年のGDPデフレーターはおよそ0.17のマイナスで
あるということになります。

今年と3年前。一体何が違うのかと言うと、物価が6000円から5000円に値下がりしている事。つまり、今の日本では、3年前に比べてデフレですよ、という
事が言えるわけです。

GDPデフレーターとは、その数値が基準年度と比較してプラスであればインフレ。マイナスであればデフレである、という事を示す指標となるのです。


↑クリックして拡大して下さい。(資料はWikiから拝借しました。

上記資料を見ていただければ判るように、この国では、1995年以来、一時期プラスに転じてはいるものの、GDPデフレーターは前年比で殆どマイナス。
つまり、かなり長期間にわたって、デフレが続いている事がご理解いただけると思います。しかもその値は2010年になって、マイナス2.1と、過去最大の
デフレ幅を記録しています。

さて。では、このGDPデフレーター。一体、どのような状態になれば減少し、どのような状態になれば上昇するのでしょう。

再度公式としてお示ししますが、

GDPデフレーター=(名目GDP)/(実質GDP)

です。つまり、名目GDPの値が増加するか、もしくは実質GDPの値が減少すると経済はインフレに傾き、逆に名目GDPが減少するか、実質GDPが
増加するとデフレに傾きます。

さて。では改めて見ていただきたいのが上記のニュース。
TPP参加で実質GDP2・7兆円↑との試算
<引用>
 内閣府は25日、環太平洋経済連携協定(TPP)に参加した場合、日本の実質国内総生産(GDP)が2・7兆円(0・54%)押し上げられるとの試算を明らかにした。

 米豪など9か国が交渉している現在の枠組みに加わることを前提にし、昨年10月発表の数値から修正した。

 民主党が同日開いた「経済連携プロジェクトチーム(PT)」の会合で大串博志政務官が説明した。同党議員から「TPP参加の経済効果を明示すべきだ」と要求されていた。

 内閣府は昨年10月、「8~11か国」の参加を前提に、実質GDPの伸びが2・4兆~3・2兆円(0・48~0・65%増)になるとの試算を発表していた。マレーシアの交渉参加前の8か国での試算や、韓国やカナダが参加した場合の11か国の試算を含め、参加国に幅を持たせた試算だった。
(2011年10月25日22時58分 読売新聞)


さて。どうでしょう。のんきの今日の記事を見て、このニュースを見ると、少し見え方が変わってくるんじゃないでしょうか。
TPPに参加した場合、日本の実質GDPが2.7兆円増額するのだそうです。

つまり、このニュース。

民主党議員から、「TPP参加の経済効果を明示しろ」と言われて、同党の政務官、大串博志氏が、「経済連携プロジェクトチーム(PT)」において、

「TPPに参加するとデフレが今以上に深刻化しますよ」

と堂々と主張したというニュースなんです。

やはり民主党の経済音痴ぶりは野田首相に代わっても健在です。もちろん、上記のように表現するのは、のんきが一部分だけ切り取って拡張して表現
しているに過ぎません。重要なのはこのニュース、

実質GDPの値のみが示されて、名目GDPの見通しが全く説明されていないと言う事にあります。
実質GDPの値そのものが拡大することは悪い事ではない。ですが、それには同時に名目GDPが拡大する事が一番大切なのであって、実質GDP
のみを拡大したところで、デフレが深刻化するだけ。

物価を安くすれば物が売れる=実質GDPが拡大するのは当然のことです。大切なのは、そこに国民に利益を再分配出来るだけの付加価値がついて
いるのかどうか。それがなければ、実質GDPの拡大など悪以外の何者でもありません。

これではこのニュース、はたしてTPPがこの国にとってメリットがあるのか、デメリットしかないのか。それが全く理解できないニュースでしかないのです。

TPP

ちなみに、上記動画では京都大学准教授の中野剛志さんが、かなり痛快にTPP協定の問題点を斬り捌いてくれているのですが、動画中、
上記ニュースの「実質GDP2・7兆円↑」という数字が、10年間累積の数字である事も示してくれています。

つまり、TPPのメリットとして、ここまで歪められた数字を示さなければならないほど、現段階でのTPP参加にはメリットと呼べるものがいかに少ない
のかということをこれでもかと言うくらい露骨に言い表しているのです。

上記動画、削除される可能性の方が高いので、中野准教授の別の動画も張っておきます。
【TPP】 中野剛志がブチギレているホントの理由 【良く知らない人向け】



そういえば、最近野田内閣は首相と閣僚の給与を30%削減したそうですが、彼らはそこまでして増税とTPP参加という法律を通したいんでしょうかね。

のんきには理解できません。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
のんき様 (H・Y★ACADEMY)
2011-10-31 00:13:17
 毎回、ためになる記事、ありがとうございますっ 

 先日は、色々ありがとうございました(笑)
返信する
H・Y★ACADEMYさま (のんき)
2011-11-03 13:24:29
いつもコメントありがとうです。

先日は、色々と・・・
返信する

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