登山口から1時間登った夜叉神峠から見る白根三山。
夜叉神峠登山口には8時半に着いた。
家から3時間半だ。
駐車場に車はまばらだ。
登山口で登山届を認め歩き出す。
急な斜面の林の中をジグザグに登る。
1時間ほどで夜叉神峠にたどり着く。
ここでやっと視界が開け白根三山が目の前にデンと並んで姿を現した。
右から北岳、間ノ岳、農鳥岳。
今回は行く先々でこの三山を眺めながら、前回の縦走を反芻することになる。
山に入ってもほとんど人と出会わない。
下ってきた人3人、登りはカップル1組だけ。
単独行なので、全く気ままに自分のペースで歩むことができる。
用心しながらかなりゆっくりに歩を進める。
休憩も多めにとった。
30分に1回5分ぐらい休んだ。
南御室小屋には2時半に着いた。
コースタイム5時間30分のところを6時間だった。
地図のコースタイムは休憩を含んでいないし、含まれていない辻山の展望台へも30分往復しているので、ほぼ順当な歩みか。
時間によっては更に上の薬師岳小屋まで登ろうと考えていたが改修に入っていて泊まれなかった。
ここまではあまり急登もなく、比較的楽な登りだった。
南御室小屋。
南御室小屋はこじんまりした小屋で客も10人程度だった。
三人部屋同室は68歳、73歳の単独行の男性2人。
2人とも私より2時間近く後から登り始めて同じころ着いた。
大した健脚だ。
夕食までの時間ビールを飲みながら山行の話を聞いた。
お2人とも山登りを本格化させたのはやはり定年前後からとのこと。
73歳氏はモンブランなどヨーロッパやヒマラヤ山系にも行っているという。
今回も、札幌から来て、この後、甲斐駒ケ岳、仙丈岳を登り、八ヶ岳へも回るそうだ。
翌朝、5時半の朝食時残っていたのは我々3人だけだった。
他の人は皆もう出発していた。
今日の広河原まではコースタイム7時間、68歳氏は14時発のバスに間に合うようにと早めに出た。
その次は16時40分だ。
私もできれば14時に乗りたいが、遅れても乗合タクシーがあるだろうと無理をしないと決めた。
本日のコースは三山を縦走するので、アップダウンを繰り返す。
それぞれが急坂だ。
小屋の裏からまず最初の急登にしがみつく。
登ると砂払岳にでて視界が広がる。
また夜叉神峠とは違った角度の白根三山が拝める。
砂払岳からの白根三山。
鞍部の薬師岳小屋からまた急登を登り、薬師岳に立つ。
ここからの景色は360度見渡せる。
東側は甲府盆地越しに八ヶ岳。
薬師の手前で73歳氏が追いついてくる。
私より15分後に出たそうだ。
先に行ってもらうが、付いて行けるか試してみる。
何とか付いて行けそうだった。
辿った尾根道の向こうに富士山が見える。
次の地蔵岳までは少し長めのアップダウンがある。
コースの赤抜沢ノ頭から地蔵岳まではまた下って行かなければならない。
73歳氏と荷物を置いて行く。
赤抜沢ノ頭から見る地蔵岳オベリスク。
賽の河原には地蔵さんがたくさん並んでいる。
地蔵岳のピークまでは行けそうになかったが、岩山に取付いた。
一番上に並んだ2個の大岩の下まで登ることができた。
ここまで73歳氏に付いて歩いたので、少し急げば14時のバスに間に合う可能性が残っていた。
広河原への分岐点、白鳳峠に着いた時12時15分。
健脚の73歳氏に劣らずに歩いてこれて、まだ脚も大丈夫そうだった。
ここからのコースタイム2時間15分を1時間45分で下りればバスに間に合う。
残りはほぼ全て下りだ、何とかなるだろうと、73歳氏に別れを告げて先を急いだ。
道は大きな石の転がる急なガレ場続きだ。
飛ぶように降りて、途中までは1時間のところを30分ほどで下った。
しかし、限界だった。
膝が笑い始めた。
踏ん張りが効かなくなった。
10分ほど休んでいると73歳氏が追い付いてきた。
しばらくは同行したが、途中で落後した。
このままでは無事下山できるかも心配になった。
馬鹿なことをしたものだ。
それでも幸い、数年前の赤石岳の時ほどひどくはなくて、コースタイムプラス15分で広河原に着いた。
15時、乗合タクシーで車のある夜叉神へ向かった。