今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

キリストの誕生日は12月25日に非ず

2007-12-23 11:00:30 | Weblog
 キリスト教徒も非キリスト教徒も12月25日
を、イエス・キリストの生誕日だと思っている。
いわば世界中が一日キリスト教徒のような観を呈
している。しかし、キリストの誕生日が12月2
5日でないことは意外と知られていない。
 そもそも旧約聖書は、キリストの生まれる前の
ことを書いたものである。それに対し、新訳聖書
はキリスト誕生以後のことを書いたものである。
 その新訳聖書の中に、キリストの生誕日を書い
てある箇所は一つもない。すなわちキリストの生
誕日は今なお謎なのである。
 それでは12月25日とは、いったい何の日だ
ったのであろうか。それはゾロアスター教の「冬
至祭り」の日なのである。2000年以上も前に
は外灯はなかった。当然、夜は真っ暗だったので
ある。また冬至は、日照時間が一年で一番短時間
の日である。その暗さをまぎらわすかのようにゾ
ロアスター教は「冬至祭り」をしていたのである。
 その祭りに便乗して、キリスト教徒はその日に
「キリストの生誕」を祝っていた。すなわち、1
2月25日がキリストの誕生日という意味ではな
かったのである。
 このように、ゾロアスター教の「冬至祭り」の
習慣をとり入れ、明るいイメージを抱けるように
という意味を込めていつのまにか12月25日が
キリストの誕生日となったのである。したがって
12月25日がキリストの誕生日というのは、い
わば「成り行きの誕生日」なのである。歴史的な
事実としてのキリストの誕生日は、今なお謎なの
である。
 一方、東方系の原始キリスト教のエチオピアな
どでは毎年5月にキリストの誕生を祝っている。
西方系のキリスト教団が何の根拠もなく勝手に、
キリストの誕生日を12月25日に決めた、と怒
るのも無理ない話である。
 それでは、12月25日がキリストの誕生日と
なったのはいつからなのかという話になる。その
前に、キリストは当時13種族いたといわれる準
単一民族のイスラエル地方に生まれた。言語は「
アラム語」である。したがって、キリストはその
アラム語で話していた。すなわち、キリストはア
ラム語で教えを説いていたのである。そのアラム
語が、当時の公用語であるギリシャ語に翻訳され
たのはキリストの死後、約100年前後といわれ
ている。多数の福音書ができたのもほぼ同時期で
ある。いわゆる「70人訳」といわれるものであ
る。また、旧約聖書がヘブライ語からラテン語に
翻訳されている。
 その後、新訳聖書も旧約聖書も各国語に翻訳さ
れるようになったのである。現在、カトリックと
プロテスタントで翻訳した「新共同訳」と、福音
派が翻訳した「新改訳」が主流の聖書となってい
る。その両書のイメージや、スタンスの違いは一
目瞭然である。
 いずれにしても、キリストの誕生日が現在のよ
うに12月25日になったのはキリストの死後、
約200年後であると推測される。
 12月25日はキリストの誕生日ではない。

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