2;節電は脅迫か?
.これまで電気を浪費していながら、国や電力会社より節電の要請が出ると、電気消費は不謹慎だ、被災者に対して失礼だという風潮が噂として聞かれる様になりました。節電は社会インフラにも及び、東京等の首都圏では信号や街頭までが消され、結果として交通事故や窃盗などが一時的に急増。これは震災絡みの問題では無く、今の日本の都市経済が実に不摂生で、何がどれだけ必要かという身の程をわきまえていないという証拠。節電節電のオンパレードは滑稽にあらず迷惑行為。被災者の為には、病院や介護施設などの医療福祉機関や、家族経営の様な中小零細零細の町工場も協力しなければならないのか。もしも節電目標をそのまま守れば、入院患者・救急搬送患者・寝たきりで介護を受けている人達は生死に関わる問題に発展する。中小零細企業では仕事が出来ず資金繰りが悪くなり、破産に追い込まれる恐れもある――
.震災発生より半年ほど経った頃、
「停止している原発を動かして欲しい、電気がないとおじいちゃんが死んでしまう」
.と、自宅介護をしている人達から新潟県柏崎市に対し再稼働をお願いするメールが何軒も届いたと、TBS系列の報道番組で取り上げられていました。
.命や健康を害してまで、仕事や財産を捨ててまで節電してくれとは、少なくとも私は思っていません。まずは電気の使いすぎをやめ、それでも足りなければ出来るところから何かしらの対策をするのが、社会的負荷の軽い、道理に叶った節電と考えます。
.また以前、
「『がんばろう日本』『絆』『ひとつになろう』のキャッチフレーズは嫌い」
.という旨の感想を、永六輔さんはご自身のラジオ番組にておっしゃっていました。被災者の為に我慢や努力をしなければならない、その精神を社会的弱者にまで押し付ける人や風潮に危惧されていたのです。個別の事情を無視しては押し付けや脅迫となり、せっかくの善意も社会悪を産み出す根源となりかねません。