1990年代、私が中学や高校に通っていたころの社会科の参考資料には、未来の発電システムとして太陽光発電や風力発電が紹介されていました。また、小学館刊行の学習雑誌には、ソーラーカーや充電式の電気自動車などの特集があったと記憶しています。ソーラーカーはまだ実用には至っていませんが、家庭用のソーラーパネルはだいぶ普及しているようですし、電気式自動車やハイブリット車は都心ではよく見かけるようになりました。以前、ハイブリット車のタクシーに乗った事がありました。ニュースなどで見てきたとおり、ガソリン車のようなエンジン音が全くなくて静か。本当に車が動いているのか、一瞬疑ったものでした。
そういった新しい発電システムが主流になると思ってはいたのですが、ある時期から原子力発電へ回帰する流れになっていました。ドイツでも確か太陽光発電や風力発電に力を入れていたはずですが、
「大量の電力を安く、安定的に発電できる」
「CO2の排出量が少なく、環境にもいい」
という理由で、やはり原発政策に再転換したとか。
日本でもまた、プルトニウムを再利用した発電・プルサーマルについての議論が盛んにあったのですが、進展はあったのでしょうか。
個人的な見解ですが、原発回帰という傾向をニュースなどで知って以来、それが本当にいいものなのかと疑問でした。
A;他の発電方法に比べて、トラブルの際のコントロールが難しい。
B;ごくわずかな放射能漏れであっても、作業員の健康に悪影響をもたらす可能性がある。
作業員に対してはもちろん、その家族にとっても多大な問題がある。
C;プルサーマルでの使用済み燃料はコンクリートで固めて地中深くに埋めるという。
しかし、そんな事をいつまで続けるのか。
たとえば 東京都の廃棄物埋立地※、もう土地が無い。
※『ブラタモリ』 NHK総合にて放送
今回の原発事故は、私が案じていた想像を超えるもので、その周囲30キロ(半径)に影響があり、また福島県はおろか茨城県や千葉県などの産物にまで影響を出しています。直接被害のあった原発立地にはいつ戻れるのか、全ての住民の方々が悩んでいます。
ちなみにチェルノブイリの場合、25年たった今でも、まだ解決はしていないそうです。
「原発はクリーン」というフレーズがあったようですが、それは 重大な危険要因を背負ってのもの だという事が証明されてしまいました。
いずれ原発事故は終息すると思いますが、もしその際には、東京電力はもちろん、全ての日本の電力会社に考え、実行していただきたい事があります。原子力発電の規模を徐々に縮小し、循環可能の自然エネルギーの発電に力を入れて頂きたい。
以下が、私の考えです。
【1】バイオマスエネルギーによる発電
⇒自然界に存在する生物を利用して取り出した可燃性ガスなどを燃料として発電する方法。
建築廃材や間伐材、あるいは食糧にできない(あるいは、できなかった)農・畜・水産物を利用。
間伐材や竹を利用することで、森林の再生を進める。また家屋のリフォーム等で取り壊された建築材を買い取る。
原発事故により拡散した放射性物質を回収するため、ヒマワリの植樹を事業として進める。
ヒマワリの種から油を取り、その残りを加工させて燃料を作り、さらに残ったクズ(これにのみ放射性物質を含む)をコンクリートで固めて処分する。
かつてバイオマス燃料について問題になったのは、食糧にすべき穀物を利用した事。
食物は利用せず、 食物にできないものを 利用する。
また燃料とする植物を作る場合、今回の震災で津波の被害を受けた海岸沿いの田畑を利用する。
これによって食物の生産量が減ると思われるが、その分は全国各地に広がっている休耕田を再生させて利用する。
【2】小型の水力発電の普及
これまでの水力発電は川をせき止めてダムをつくる、大型の公共事業であった。
これからは取り外し可能な小型のタービンを量産し、全国の全ての河川等に、数メートルおきに設置する。
河川が枯れない限りは発電でき、洪水などで破損の恐れがある場合にはそこからはずす。
【3】発展途上国にての大規模の発電
日本の気候では限界のある太陽光発電や地熱発電を、中東やアフリカなどで行う。
これらの土地で発電した電力を周辺諸国に売電する。また、途上国の開発の為に利用する。
「化石燃料が枯渇する恐れがある」として、中東諸国では日本との技術提供を望んでいるという。
※『クローズアップ現代』での特集だったと記憶する。
途上国の貧困層を従業員として雇い、給与を払い、食事なども提供する。
従業員の子供には初等教育なども行い、優秀な者は日本の高校や大学への留学を支援する。
教育には、公文式、ベネッセコーポレーション、増進会などにも協力を呼び掛ける。
【4】新しい発電システムの開発
旧来のシステムに代わるものを、様々な大学や企業やNGOなどが開発している。
これらの組織と、これまで以上に積極的に協力し合う。
新型の方法の一例としては、≪振動≫を利用したものがある。
原発に頼らない発電法は、まだまだあるはずです。もしも日本の電力会社や国や自治体が本腰を入れたら、これまでの常識がまるっきり変わってしまうかもしれません。
旧常識を変え、根っこの先からから日本を立て直す。
これに成功すれば、今後の世界が進むべき道を提示できるかもしれないのです。