さらしな日記

さらしな、更級、晒菜、さらし名…?
南のnemoと北のneco、それぞれ好き勝手にやってる徒然コラボ

『きものの花咲くころ』 (nemo)

2007年07月21日 | 読書・蘊蓄
 4月に広島ブックオフで購入した本。着物本はもう結構持っているし、好みも大分固まってきたのでこれ以上増やさなくても良いかな、と思いつつもつい本屋に行けば品揃えをチェックしてしまうのは困ったもの
 これは実用品というよりは資料本。戦前戦後における着物が日常から遠ざかっていくさまと流行の移り変わりを、雑誌『主婦之友』掲載記事の引用で紹介。当時の世相や風俗が感じられ面白い1冊ながら、実用品としての価値は殆どなし。言うなれば着物歴史読本という感じだろうか。
 おかげで読み終えるのに随分時間がかかってしまった。どうも私の頭は散文実用的に出来ているため、何か己にとって応用が利くものにしか興味が向かないのだ。読んでいて面白くないわけではないのだが、自分のものとして使える技術や着物の取り合わせではないため、ページをめくる手が進まなかった;;;
 昔の女優さんの着物姿なども沢山出ていて、資料として持っておくには良いかも。

夢二さんは手がかかる (nemo)

2007年07月17日 | 手仕事
 月初めにユニクロで購入した浴衣。腰骨にかけて紐を結ぶ私には、そのまま着るには身丈が長い。現代物の既製品は大概そうなので予想はしていたので当然補正の必要あり。
 身幅はたっぷりあることだし裾をそのままぶった切って襟を短くすれば手はかからないと思ったのに、肝心の襟をほどいてみればその下に布がない;;; 正式な仕立てではないので斜め裁ちしてあったのか…これでは腰部分を縫い上げるしか方法がなさそうだ。
 襟部分をほどかずそのまま縫い上げれば早いのだが、ソレではあまりにもみっとも良くない(和裁を習う前に手直ししたのは全部そうなっているのは棚に上げている)ため、襟をほどいて直すことに決定。
 それならいっそ直せるところは出来るだけ直すかと、裾や袖口など表に出たミシン縫いの部分をほどいて手縫いでまつり直す。結局ほとんど縫い直しているのと変わらなかった。
 値段的にはそんなでもない──しかし骨董市の着物よりは高い──のに、夢二さんというだけでここまで尽くしてしまう自分は、つくづく好みが偏っているなぁとしみじみ思う。

再び大岡さまv (nemo)

2007年07月13日 | 読書・蘊蓄
 テレ東系朝9時の時代劇枠で『大岡越前』の再放送が始まり、相変わらず1人で浮かれて喜んでいる。どのくらい喜んでいるかというと職場で堂々と言ってるほどである。前回のDVDの件で私が大岡様マニアなのは知れ渡っている──「暇になったら見るんで貸して?」と言った先輩に、「暇程度の気持ちで見るなら貸しません」と言い切った。
 TBS時代劇としては今いち地味ではあるものの、伊達に15部も作られたわけではない。ワンパターンながらもそれなりに意外性や推理的部分は含まれた作りだし、伊織先生がいるおかげで初歩的な法医学や鑑識設定もある。そして何より舞台が江戸なので風俗公称が楽しい
 制作がむかしなのも幸いし、今の時代劇では用いられない工夫が随所にあり、特に着物や帯の設定が見ていてわくわくする。帯結びひとつにしても、武家のお内儀は広幅の文庫、町人のおかみさんは角出し、下町だとぐっと活動的に半幅帯、老婦人だと貝の口と身分や年代に合わせて変えてある。 

 今日の話は古着商いの親子の娘が実は行方不明になっていた大店の娘だということが分かったという設定だったが、古着商いの育ての母は木綿の色半襟に半幅帯という軽装の出で立ち、一方大店の女将である生みの母は着物は年代に合わせて地味であるものの縮緬の色半襟が色彩を際立たせ、裕福そうな感じを漂わせる。
 また作中に太物屋の店が出てくるが、昨今は着物好き以外ではこの『太物屋』という言葉を知っている人はいないだろう。現にKIMINO真楽では検索できても、ウィキペディア百科事典には該当する単語はなかった。

太物【ふともの】
 麻繊維や綿繊維どの実用的な衣料の総称。これに対して絹織物は呉服(ごふく)という。麻糸や綿糸は絹糸に比べて糸が太かったので太糸(ふといと)と称し、これで織った麻布や綿布を太物と読んだ。江戸時代には太物を扱う店を太物店、絹物を扱う店を呉服店といって区別した。

 単語としては何となく覚えてはいたものの、正式な由来は記憶してなかったのでついでに覚え書き。今ではほとんど商売としては成り立っていない太物屋も、この時代には普通にあったんだなぁと改めて認識。
 ただちょっと気になるのは同心の鏑木さんが黒羽織の下に着ているのは、どうも琉球絣のように見えるのだが…あの時代の琉球絣なんて現代とは比べ物にならないほどの高級品(黄八丈に関しては寄せ場の関係で安く手に入れられるのかも知れないが)だろうに、何で一介の同心がそんなモン着てるんだよ?
 そんな事をツッコみながら、日々幸せにTVを見ている

染めと織りの相性 (nemo)

2007年07月11日 | 手仕事
 レース袖の半襦袢も2着目が仕上がり、長いこと放っておいた両面帯の製作に取りかかる。今は昔の昨年9月、お泊まりに来てくださった睦月さんにほどいてもらった六通の名古屋帯。当初は作り帯にするつもりだったのだが、ほどいてみると裏の糸目があまりに荒いので下手に切り離すと危険だと判断し、そのまま広幅帯に仕上げることに。
 合わせる裏は2年ほど前にネットで落札したトランプ柄の生地。出品者は「布団布で木綿」と説明していたけれど、形状と手触りから察するにおそらくは人絹の男物羽裏。どちらも明るい色なので昼夜帯というより昼昼帯といった感じだが、柄の雰囲気が近いので裏が見えても其程ちぐはぐな印象はないと思い選択。
 縫い合わせの前に幅を合わせてしつけをかけるのだが、これが結構大変。染めと織りでは生地の厚さがまるで違うため、トランプ柄の方に若干ゆるみを持たせないとひっくり返した時に生地が攣れてしまう。おかげでしつけ縫いだというのにやけに細かく縫う羽目に。
 縫い上げてひっくり返した後のアイロンかけもまた大変。厚さが違えば生地の固さも折り目の付き具合も当然違う。どうにかこうにかある程度形にして、最後は重しをして仕上げることに。

 今回の教訓。
 見た目の印象だけで質感(特に染めと織り)の違う生地を合わせるべからず。


萩の夏みかん (nemo)

2007年07月08日 | 食べもの
 菊屋横丁の白壁から覗いていたので石によじ登って撮影していたところ、反対側にある萩焼店の奥さんに声をかけられた。
「お菓子を作るのに皮を使って実だけ残っているのだけど、良かったら持っておいきなさいなv」
 ははは…そんなに夏みかん好きだと思われたんですか;;;
 ええ、でもしっかり宿屋で3人でいたたきましたわ。

 その後立ち寄った和菓子屋さんでも
「もう店じまいだから試食用のお菓子、全部食べてくださいね」
と、お饅頭やら外郎やらせっせと出してくれ、お茶のお代わりまでしてしまった。
 萩の人ってみんな人懐っこくて親切だなぁ。 
 今年転勤していった後輩の実家も萩でお店やってるって聞いてたけど、あの子がやたらと人懐っこかったわけが分かったような気がする