さらしな日記

さらしな、更級、晒菜、さらし名…?
南のnemoと北のneco、それぞれ好き勝手にやってる徒然コラボ

再び大岡さまv (nemo)

2007年07月13日 | 読書・蘊蓄
 テレ東系朝9時の時代劇枠で『大岡越前』の再放送が始まり、相変わらず1人で浮かれて喜んでいる。どのくらい喜んでいるかというと職場で堂々と言ってるほどである。前回のDVDの件で私が大岡様マニアなのは知れ渡っている──「暇になったら見るんで貸して?」と言った先輩に、「暇程度の気持ちで見るなら貸しません」と言い切った。
 TBS時代劇としては今いち地味ではあるものの、伊達に15部も作られたわけではない。ワンパターンながらもそれなりに意外性や推理的部分は含まれた作りだし、伊織先生がいるおかげで初歩的な法医学や鑑識設定もある。そして何より舞台が江戸なので風俗公称が楽しい
 制作がむかしなのも幸いし、今の時代劇では用いられない工夫が随所にあり、特に着物や帯の設定が見ていてわくわくする。帯結びひとつにしても、武家のお内儀は広幅の文庫、町人のおかみさんは角出し、下町だとぐっと活動的に半幅帯、老婦人だと貝の口と身分や年代に合わせて変えてある。 

 今日の話は古着商いの親子の娘が実は行方不明になっていた大店の娘だということが分かったという設定だったが、古着商いの育ての母は木綿の色半襟に半幅帯という軽装の出で立ち、一方大店の女将である生みの母は着物は年代に合わせて地味であるものの縮緬の色半襟が色彩を際立たせ、裕福そうな感じを漂わせる。
 また作中に太物屋の店が出てくるが、昨今は着物好き以外ではこの『太物屋』という言葉を知っている人はいないだろう。現にKIMINO真楽では検索できても、ウィキペディア百科事典には該当する単語はなかった。

太物【ふともの】
 麻繊維や綿繊維どの実用的な衣料の総称。これに対して絹織物は呉服(ごふく)という。麻糸や綿糸は絹糸に比べて糸が太かったので太糸(ふといと)と称し、これで織った麻布や綿布を太物と読んだ。江戸時代には太物を扱う店を太物店、絹物を扱う店を呉服店といって区別した。

 単語としては何となく覚えてはいたものの、正式な由来は記憶してなかったのでついでに覚え書き。今ではほとんど商売としては成り立っていない太物屋も、この時代には普通にあったんだなぁと改めて認識。
 ただちょっと気になるのは同心の鏑木さんが黒羽織の下に着ているのは、どうも琉球絣のように見えるのだが…あの時代の琉球絣なんて現代とは比べ物にならないほどの高級品(黄八丈に関しては寄せ場の関係で安く手に入れられるのかも知れないが)だろうに、何で一介の同心がそんなモン着てるんだよ?
 そんな事をツッコみながら、日々幸せにTVを見ている