即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

小売り業の価値

2010年01月06日 12時06分06秒 | 仕事
デパ研関連記事ともリンクする話です。

今まで何度も取り上げてきたNHKのプロフェッショナル仕事の流儀。(どうやら3月で終了のようですね。)
先日の小売り再建・大久保恒夫編、面白かったです。
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「人が変われば、会社は変わる」

「ユニクロ」や「無印良品」の改革の陰の立て役者と言われ、今、経済界で熱い注目を集める小売業界の経営改革・再建のエキスパートがいる。大久保恒夫、53歳。全国各地の食品スーパーやホームセンター、ドラッグストアなどさまざまな小売業の改革を手がけ、手腕を発揮してきた。
大久保は2年前、業績が落ち込んでいた、都内・老舗(しにせ)の食品スーパーの建て直しを託され、社長に就任。1年目で早くも収益の改善に成功するなど、成果を出し始めている。大久保が企業再建の際に重視するのは、短期的な結果ではなく、長期的な視野に立ち、「根っこ」を治すこと。社員の「意識改革」だ。大久保が常に社員に言い続ける言葉がある。「目先の売り上げやもうけのことを考えるな」そして、「失敗してもいい。どんどんやれ。」
しかし大久保は、この消費不況下で好調を維持するためには、さらなる意識改革が必要だと動き始めた。「売り上げのアップではなく、お客様を喜ばせるために何をすべきかを現場で考え、実行しよう」。意識改革が今ひとつ進まない、ある店舗の改革に乗り出した大久保の仕事に密着する。
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大久保さんの印象的な言葉。

売り上げは気にしない。目先の数字を追っていては成長できない。

短期的な結果ではなく、長期的な視野に立ち、「根っこ」を把握し、治すこと。

リストラなどせずに、現場の意識を変える、組織を変える。

お客様が喜んでくれれば、売り上げはついてくる。

現場が自由に発想してアイディアを出し合って行動すれば売れる

お客様に喜んでもらうことで自分が喜ぶようになれれば、強い。

お客様の気持ちになって、お客様のために行動することが大事。

人を成長させるには、変えるのではなく、変わるのを待つ。

成功しても、失敗しても 人は、必ず成長する。

20馬力のエンジンはどこまでいっても20馬力だけど、人は違う。気持ち次第でどこまでも大きくなれる。成長できる。

茂木健一郎さんとともに、司会をしているすみきちさんのブログ。一部引用させてもらいます。
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「小売業は、社会的にも貢献できる仕事だなと思うのは、
 それはもう実体験からですね。
 メーカー主導より小売業主導のほうが、お客様の求める商品をつくりやすい。
 それから売ってみれば反応がわかるので、
 小売りの売場で売って、売れたらもっと作る、売れなかったらやめる、
 という流通構造のほうが、生産効率もいいと思います。
 そういうことを、何回も売場で売ってみて体験していますから。
 今はやっぱり何が売れるかわからない時代になので、
 お客様にいちばん近い小売業が、もっと主導権を持って
 流通構造全体を効率化していく。
 お客さんのニーズに合ったものをつくり、物流し、在庫し、売り込んでいく。
 それを小売業が果たすべきだと、わたしは思っているんです。
 そして、わたしは小売業が『価値を生む』ということができると思っているんですよ。
 お客様にとっていい商品があれば、それは、
 価値が生まれてるということだと思いますので。
 お客様にいちばん近い小売業が、リーダーシップを取って、
 お客様が『これなら欲しい』と思うような商品を作ったり売り込んだりする、
 そういうことになれば、世の中に対する貢献度は非常に大きいと。
 さらに、価値を生むということは、
 それが利益を生むということになってくると思いますので、
 メーカーも儲かるし、小売業も儲かる、お客様もそれで満足する。
 そういう流通構造ができないかなと思ってやっています」

ふだんは、なにげなく、お店に買いにいっているが、
大久保さんの話を伺っているうちに、
ほんとうにそうだわ!と、説得されていく。
たしかに
消費者、つまり、客の立場からすると、
「客代表!」と言ったような良質の小売店があることは、
豊かな生活、楽しい生活、健康的な生活に直接つながる。
そうそう、こういう商品がいいんです、という意志も、
買うことで主張できる。
それに応えて、さらに商品を並べ替えてくれると、
こちらの話にちゃんと耳を傾けてくれている感じがする。
そして、ふだん、つい足が向くのも、
そういう意気込みを感じる店だったりする。
「そうそう!こういうのが食べたかったの!」と思わせてくれる店。

大久保さんは、
お客さんに「そうそう!」と思わせたり、
ここの商品の並びが好きなのよね、と思わせたり、
ここで買うものはいつも良質だ、と思わせる方が、
目先の損得を勘定することよりも、
今の時代の小売業経営にとって重要だと言う。
価格競争や、在庫のギリギリの管理で勝負をするのではなく、
客の満足度で勝負をする。
客が喜んでくれるから、仕事をしていても楽しい。
そして、そのことによって、社会にも貢献する。
うーむ、壮大なビジョン!
心がわくわくしてくる。
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すみきちさんの素直な感想、とても共感できます。

昔泣かず飛ばずだった頃のユニクロに大久保さんが革新提案書を持っていった時の話も面白かった。

今までのやり方を全否定すること、今までやってきたことと真逆のことばかりを書いた提案書を柳井さんたち役員に思い切ってプレゼンした。
つまりクライアントが耳の痛いことを真っ向から提言したというわけ。

自分のことを否定されているに等しい提案について、役員たちがそれぞれの意見を述べた後に、柳井さんが言った。

『それ、全部やりましょう!』と。

そこからユニクロは変貌したとのこと。
そして今の隆盛がある、と。

小難しいことは全く言ってないし、当たり前といえばそうなのだけど、とっても説得力がある大久保さんの言葉。

「小売業が好きで好きで仕方ない」という気持ちが伝わってくるからなんでしょうかね。
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2 コメント

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今年もよろしくお願いします。 (ssay)
2010-01-09 22:59:27
あけましておめでとうございます。
って、真昼の幽霊みたいに、なんて間抜けなんでしょう。

「大久保さんの印象的な言葉」に「ガーン」と来るものがありまして。
小売業だけでなく、他の業種にも十分当てはまります。

今年もよろしくお願いします。
返信する
今年もよろしくお願いします。 (nanapon)
2010-01-26 11:27:00
ssayさん、こんにちは。

>「大久保さんの印象的な言葉」に「ガーン」と来るものがありまして。
小売業だけでなく、他の業種にも十分当てはまります。

ですね。
日経ビジネスオンラインのコラムもなかなかです。

>今年もよろしくお願いします。

遅くなりましたが、こちらこそいろいろよろしくお願いします。
返信する

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