癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

「クローズアップ現代」と「ハートネットTV」の依存症の特集

2014-11-25 10:46:59 | 依存症
先週は、NHKのクローズアップ現代でも「ギャンブル依存症」が
取り上げられており、更に同じくNHKのEテレの「ハートネットTV」でも
2回にわたって「依存症」の問題が特集されていました。

クローズアップ現代には、100人の患者を対象に実態調査をされた福岡県の
精神科医の森山成彬(もりやま・なりあきら)【作家の帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)】
さんのコメントが報道されるとともに
「ギャンブル依存症」の著者であり
北海道立精神福祉センターの所長田辺等先生が、コメンテーターとして
出演されておられました。

どちらの番組でも、今回は家族の回復が焦点になっていました。
実態調査では、ギャンブル依存症者が投じた金額は平均1293万円にのぼり
15%の配偶者がうつなどで精神科にかかっていたことがわかったとありました。
けれど、私の実感からすれば、病院で診察を受けられるような人は
まだいくらか恵まれているように思います。

現実には、ギャンブル依存症者の家族の場合、学齢期の子どもを抱えるなど
とにかく死にもの狂いで働かなければ、生活自体が成り立たない中で
自分の体や心の問題など後回しで生きておられる家族も
たくさんおられるでしょうから、この数字は現実には
2倍にも3倍にもなるのではないかと思います。

それでもどの依存症でも
まずは家族が回復することが、結果的に依存症者本人の回復にもつながる
可能性があるということが、分かってきたのだろうと思います。
家族が回復するための方法としては
クローズアップ現代では、自助グループが紹介されていました。

家族の回復を援助するための自助グループは
アラノン(アルコール)ギャマノン(ギャンブル)ナラノン(薬物)などです。
そしてこれらの自助グループは
AAの原点であるビッグブックと12ステッププログラムの理念に基づいて
グループミーティングを続けることで、回復を実現させていくものです。

このビッグブックや12ステッププログラムについては
まだ私自身も分からないことが多かったので
22日に行なわれたステップセミナーに参加してきました。
あまり長い時間出歩くと、さすがに疲れてくるので
3ステップのお話を聞いて途中で退席しましたが、得るものは多かったです。
ただしそれを書くと、また話が飛ぶし、消化しきれていない点もあるので
もう少し自分の理解したところを、ちゃんとまとめてから書こうと思います。

自助グループでは、会場に行く交通費以外には、費用はかかりません。
会場では、運営にかかる費用を集めるのに
任意での寄付は受け付けておられますが強制ではありません。
また先日ギャマノンに参加してみて、ギャンブルだからギャンブルしかだめという
ことではなくて、最近は他の依存症の問題に悩んでおられる方も
自由に参加することができるようなので、これはとてもいい傾向だと思います。

そして「ハートネットTV」の二回目の放送
「どうすれば回復できるか」では、家族のための回復プログラムとして
自助グループとともに、CRAFTという認知行動療法プログラムが紹介されていました。
これは依存症治療に先行して、引きこもり支援などでも用いられている
プログラムということです。
書籍も何点か出ていてその解説によると<家族や友人を通して治療に取り組むことに
よって,治療を拒否している患者を治療につなげる>ことを目的としています。
前から紹介している動機付け面接とも連動する治療の方法です。

番組内では、実際にCRAFT法を治療に導入している医療機関として

徳島県板野郡上板町の藍里病院
(電話:088-694-5151)が紹介されていました。

ただショックだったのは、番組の最後に
「援助者が、依存症については苦手意識がある」とコメントされていた点です。
本のタイトルにしても「薬物・アルコール」とギャンブルは抜け落ちていたり
依存症を大きな視点で、一つのまとまりとして
捉える考え方は、政治も含めてまったく前進しておらず
相変わらず場当たり的な対応では
新しい依存として急増するネット依存問題に適切に対応することなど
望むべくもありません。

だから自分たちの身の回りに、山積する依存の問題に立ち向かうには
とにかく可能な限り知識を得て、それを発信し共有していくことで
その中から使えそうなものを使って道を開くことだと切実に思います。

さすがに依存症ばっかりやっていると気が滅入ってくるので
「ケルベロスの肖像」「鍵泥棒のメソッド」
それに伊藤計劃氏に強くお勧めされてしまった「ザ・セル」と
映画依存っぷりは相変わらずです。
このブログのほかに、映画と本のブログと音楽のブログ
それと思うところあって、書きためた小説を
某巨大小説投稿掲示板に引っ越すことにして
以前書いたものを改稿しながら移転するという作業もやっています。

ダンナの依存症の全盛期にも、現実問題は現実問題として
日々労働に明け暮れつつも、手離さなかったものたちです。
精神的な意味では、生きるか死ぬかの瀬戸際も何度かくぐりましたが
理不尽な現実にただ押しつぶされるだけの人生はイヤでした。

だからそうした現実を超えていくために
自分がまだ知らないもの、見たことのない世界を
一つでも見てみたい、知りたいと願って
図書館で本を借り、お給料日にプチ贅沢で
毎月1本だけDVDを借りるのは頭と心の栄養で
その習慣は今でも変わりません。

もうずいぶん前に、せめて自分が死ぬ前には
半年でも、たとえ3ヶ月でもいいからモノ書きだけして暮らせないかなというのが
夢でしたが、その頃はまさかそれが現実になるとは
それこそ夢にも思えませんでした。けれどその夢がかないました。
人生は本当に分からないものです。





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CT検査とこれからの治療

2014-11-23 10:26:15 | 癌のこと
先週の水曜日は、2回目のCT検査でした。
結果は、左胸の患部の腫瘍が若干の増大で、肝臓も同じく若干の増大。
肝臓のCTは、最初の時もそうでしたが
画像を見ても正直なところよく分かりません。

患部の増大については、アリミデックスを飲みだしてから
生傷状態だったところがかさぶたになって出血もほぼ止まった時点までが
縮小だったようで、今はかさぶたの上にできた新しいしこりが
またところどころぶにゅぶにゅになって
夕方とか夜中に若干の出血や滲出液があるという
以前と同じ状態が繰り返されているので
診断と自覚症状はおおむねリンクしていると思います。

ただ説明後にいきなり「今のお薬が効かなくなっているので
注射の形のホルモン剤に変更しましょう」と言われましたが
そのお薬フェソロデックスは、恐ろしく価格が高い。
ただし抗ガン剤よりは安いので、高額医療費にはたぶん該当しません。

経済問題もありますが、この前先生が「抗ガン剤は?」と言われたのも
引っかかっていて、まあなんだかんだと今回もごねて
取りあえず年明けまでは今のお薬を処方してもらって帰ってきました。

家に帰ってからそのお薬についてざっと調べたら
昨年認可された新しいホルモン剤のようでした。
何よりやはり大きな病院での癌治療のゴールは
抗ガン剤なのだろうということを考えると
そろそろ今の病院とお別れする潮時なのかなとも思います。

私のような末期のガンで、そうした新しい薬や抗ガン剤を使う目的は
「症状の緩和」と「QOL(生活の質)の向上」ということですが
今のところ患部以外は、緩和しなければいけないような症状もないし
毎日の生活も、病気になる前とまったく同じです。

病気になる前というか、最初の症状は去年の春先からでしたが
左胸にいきなりボンとできたゆで卵を半分に切ったようなおできが
まさかガンだとは夢にも思わず、それから一年近くは
ガテン系の仕事してたわけで、実は発病がいつなのかは全然分かりません。
ですから病気になる前というよりも、告知をされる前というのが正確かな。
どちらにせよ治ることはないわけですから、それならば
今のこの平穏な生活を一日でも長く続けていきたいというのが切実な思いです。

若い頃というか、子どもの頃から
まあ、なんだかんだと散々すったもんだあった59年の人生で
ダンナの借金の問題を片付け、子どもたちをなんとか独立させてからの
ここ3年ほどが、私の人生の中では唯一平穏に過ごせた時間でした。

残りの人生で片付けなければいけない大きな課題だった
車の買い替えと、家賃の安い家への引っ越しは
本来なら、私が働き続けていなければ絶対実現できないはずでしたが
奇しくもガンになったおかげで、給付金をもらうことができて
どちらも春先から今までですんなりと実現しました。
今は好きな本を読み、映画を観て、たまにモノ書きしてと
とても穏やかで、充実した日々を過ごしています。

こんなに幸せでいいのかなと罪悪感を感じるくらい幸せです。
神様からのごほうびというより、さすがに神様も
私にちょっと悪いことをしたと反省して
最後に罪滅ぼししてくれているのかなとも思います。
またまたそんな罰当たりなことを言うから
ガンになったりするんだと怒られそうですが。

アリミデックス自体は、術後のホルモン剤治療としては
再発がなければ5年間飲み続けられるようなお薬なので
なんとか一年くらいはいけるかなと思いましたが甘かったです。

経済的な面や、私のメンタルな部分の安定という意味では
いわゆるプラセボ(偽薬)のつもりで
もうしばらく今のお薬を投与していただけるのがベターなのですが
まさかそんなことをお願いするわけにもいきません。

やはり大きな病院で治療を受けるということは
どういう選択をしたとしても
最新の治療方法の治験の対象でもあるということを受け入れざるを得ないし
「あれも、これもやりません」なら
治療することは諦めて、緩和ケアとかホスピスでということです。

どちらにしても治癒はないことが前提だからこそ
ここまで「ホルモン剤で」というわがままを聞いていただけたわけで
むしろラッキーだったのだと思います。
取りあえず年明けまではお薬がもらえたので
これからどうするかということは
もうしばらくゆっくり考えてみようと思っています。

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依存症治療の選択肢

2014-11-17 09:56:43 | 依存症
まずはステップセミナーのお知らせです。

日時 11月22日(土)

会場 福岡市市民福祉プラザ 5F 視聴覚室
       福岡市中央区荒戸3-3-39

内容 AA 山王Re Lifeグループ、GA グローアップグループ 
   SCA 福岡グループ 合同ステップセミナー

   参加費無料、事前申し込み不要 

持参物 ビッグブック 筆記用具

主催  AA 九州沖縄セントラルオフィス(099-248-0057)

セミナーの内容としては、リカバリーダイナミクスプロバイダーを
ゲストに迎えての、12ステップの解説となっています。

AAはアルコール・アノニマス(アルコール依存症の人の自助グループ)
GAはギャンブル・アノニマス(ギャンブル依存症の人の自助グループ)
SCAはセクシャル・コンパルシブス・アノニマス(性依存症の人の自助グループ)

案内の中にあるビッグブックとは、アルコホーリクス・アノニマスの通称
 
 世界中のアルコホリク・AAのメンバー・関係者に読まれている
 AAのステップの基本テキストで、一部を抄録したポケット版や文庫版もある

私も当日体調が許せば、参加する予定にしています。ただ以前にGAに行った時に
入手したダイジェスト版の「12ステップ・プログラム」の冊子は持っていますが
「ビッグブック」が何を指すのかよくわかりません。取りあえず手持ちの分を
持っていってみます。

このセミナーに参加してみようと思ったのは、案内にあるリカバリー・ダイナミクス・
プログラムというものについて、もう少し詳しく知りたいからです。

このリカバリーダイナミクスを運用されているセレニティパークジャパンのサイト
から引用させていただくと

リカバリー・ダイナミクスとは

<12ステップを使用する依存症当事者グループAA(アルコール依存症本人のグループ)
などで使われている基本テキスト(上記のビッグブック)に記されているステップの
手渡し方を、治療施設でのプログラムに翻案したもので、大きな特徴としては、
「標準化されたプログラム」「それに用いる教材」「カウンセラー用マニュアル」など
を用いて、基本計画に従って進めることにより、90日間(約3ヶ月)で1から12ま
でのステップを3巡することができる>ということのようです。

すなわちAA設立当初から用いられてきた12ステップ・プログラムを、より体系的かつ
効率的に進化させたものということなのでしょうか。そのあたりを少し勉強してきたいと
思います。

先日これも「ギャンブル依存症を考える会」の田中紀子さんのブログで、専門家の中にも
「12ステップ・プログラム」に対して否定的な意見があることへの怒りと落胆がつづら
れていたことがありました。

ただこれはガンの治療に関しても言えると思いますが、依存症を含む心の病気や
私のように進行ガンで治癒の可能性がない場合には、100%の正解はないように
思います。最終的には、当事者本人に、どういう方法が合うかを試してみる
そういうことではないかと思うのです。正解のない世界では、ある人にぴったり
はまったからと言って、それが全ての人に合うとは限らないと思います。

アメリカの依存症治療の施設で働いておられる
カウンセラーさんの記事から、例えばある回復施設で行なわれている
“レジデンシャル・トリートメント”と呼ばれるプログラムは
次のような感じです。

「毎日のプログラムは、朝の冥想(全員で静かに30分ほど座る。
時には静かな音楽を流す)散歩や運動、庭掃除から始まる。
続いて、アディクション(依存症)に関する学習、「健康的な人間関係・家族関係を築くには」
「怒りを適切に表現をするコミュニケーション訓練」「AAの基本である“12ステップ”」を
学ぶクラス、「性的虐待からの回復」「親業」などのワークショップ、そしてグループ・個人
カウンセリングなどで構成されている」

前にも書いたが、アメリカの薬物依存症の、特に若年層への広がりと深刻さは、日本の比
ではないことが、このサイトの記事を読んでいると本当によく分かります。
と同時に依存症から回復するためのプログラムも、精神医療の手法や
健康な思考に戻るための学習、それに12ステッププログラムなどが
様々に組み合わされて、より機能的に働くように
研究され、実践されていることも分かります。

今私が最も強く望んでいるのは「依存症」を一つの大きなまとまりとして
治療や回復の方法が研究され、実現していく社会であり
「依存症」について、その意味や回復の方法についての知識を
専門家ではない普通の人たちも、きちんと共有していける世の中です。
多様化する「依存症」の背景には、刻々と変わる社会の変化が大きく関係していて
従来の精神医療の知識や方法だけで対応するのは難しくなっている
のではないでしょうか。

投薬や注射、化学療法といった医療の分野での治療が難しいこともあって
現在依存症への対応は、AAや断酒会、GAやNAといった民間の自助グループ
のがんばりに多くの部分を、それこそ「依存」しているのが現状ですが
例えば、子どもたちに広がるネット依存にはたして「12ステップ」で対応できるのか
といった問題も、遠くない将来出てくるのではないかと思います。
また、増え続けるアルコール依存症の背景には
たとえばギャンブル依存症からの転換(クロスアディクションといわれる現象)も
あるような気がしますが、この問題についてはまた改めて考えてみます。

どうか専門家の皆さんには「これはいい、これはダメ」といった
柔軟性のない二者択一的な考え方ではなく
多様な側面を持つ依存症というものに対して
本人や家族に理解のできるような
治療や回復の方法の選択肢を提示していただきたいと思います。

そういう意味で、今回紹介したセミナーは、援助職などの専門家で
依存症の回復に興味を持たれているような方がおられましたら
ぜひ参加していただけたらと思います。

*このセミナーについては、リンクしているジャパンマック福岡でも紹介されています。





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依存症への様々なアプローチ

2014-11-14 14:15:54 | 依存症
先日このサイトでリンクをした「フリーダム」は
大阪ダルクと協力して薬物依存症の回復を支援する機関ですが
このサイトの記事で、日本よりは半世紀進んでいるという
アメリカの薬物依存症治療の現状の一端を知ることができます。

今年に入ってからは更新が止まっているようですが
依存症の治療について知りたい方には
とても役に立つ情報があると思ってリンクしました。
いつも言っているように、アルコールもギャンブルも薬物も
治療や回復の基本的な部分は共通するものがたくさんありますから
文中の薬物の部分を、ギャンブルやアルコールに置き換えて
読んでいただけたらと思います。

アメリカに比べて、日本では治療機関や自助グループの数が
病気の人の人数に比べて、あり得ないくらい少ないので
当然のことながら、治療や回復につながっている人も
お話にならないくらい少なく
また一度は治療に取り組んでみたものの長続きせず
元に戻ってしまう人も多いのが現状のようです。

なぜそうなってしまうのか。
やはり一つは依存症というものに対する認知度が
あまりにも低いことがあります。
そしてもう一つは、依存症の治療というものが
アメリカのように、回復のための施設
(カウンセラー、セラピー、自助グループなど)が
身近なものとしてあるわけではないので
本人も家族も、一体何をどうすればよいのか
よく分からないということも大きいような気がします。

私が最初にギャンブル依存症のことを知った頃は
依存者本人が否認せず、自分の病気を受け入れるか
「これでは自分の人生は本当にだめなのだ」という
「底つき感」を経験しなければ
回復の可能性はないというように言われていました。
ところが依存症の人というのは、自分が依存症だと認めることは
ほぼありませんから、これではほとんどの依存者は
治療ができないことになってしまいます。

私は、最初はそういう病気があるということを
全然知らなかったことに大きなショックを受け
さらにそれが「治らない」とされていたことに更なる衝撃を受けました。
「パチンコに行っていた」ことが
そんな想像を絶するようなとんでもない状況になるということは
さすがにまったく想定してなかったのです。

最初の頃に書いたブログには
「いったいどうすればいいの」という
呆然自失の思いが書かれているものもあります。
知識がないということが、これほど悲惨な結果を招くことを
心底身に沁みて知りました。

けれど最近では少しづつではありますが
依存症の治療の方法も変わってきました。
前に動機づけ面接でも書いたように、たとえ本人が病気を認めていない場合でも
「変わりたい」という気持ちがあれば、変わることができるように
例えばマックや自助グループのような相互支援グループへの参加をうながす
というように、医療も積極的に介入して
具体的な回復の道筋をつける動きも出てきましたがこれもまだ少数です。
そして医療の現場でも、依存症の治療について何がベストなのかは
未だに試行錯誤が続いているように思えます。

病院での治療の中には、認知行動療法などもあります。
認知行動療法は、やろうと思えば自分でもできないわけではありません。
認知行動療法に関する本もたくさん出版されています。
けれど、普通の人が自力でやるのはかなり難しいと思われ
やはり、専門家の指導を受けながらやるほうがよいと思います。

ただこれはあくまでも私の考え方ですが
認知行動療法は、ものの受け取り方や考え方を変えることで
ストレスにうまく対応できる心を作る心理療法で
依存症自体の治療というよりも
アルコールやギャンブルの原因となるストレスをコントロールする
対処法を身につけていくということなのだろうと思います。

実際にGAやギャマノンに参加してみて
特にGAの場合、自分の気持ち、心の動きが自分で分かる人は
他の方のお世話なども積極的にされていて
そういう方は回復しておられるのだなと感じました。
マックなどの相談機関のスタッフさんなどもそうです。

そしてこれは依存症の本人の方のブログを読んでいても感じるのですが
どういう時に衝動が起きたか、それをどうやって回避したか
あるいはスリップしてしまったが
また一からやり直すなどと、客観的に自分のことを分析して
さらに言葉でそれを表現できているような人は
それなりに回復の可能性はあるように思います。
依存者本人の方で、このブログを読まれているような方がおられるのかどうか
私には分かりませんが、一定の自覚があれば回復は可能だと思います。

それともう一つ、「ギャンブル依存症を考える会」の田中紀子さんのブログで
「行動分析」という言葉を見かけました。
これも心理学の分野では最近クローズアップされてきた理論のようですが
どうやら「認知行動学」とは違った心の問題との取り組み方のようで
ちょっと興味がありますので、もう少しきちんと理解できたら
このブログでも紹介しようと思います。

現代は、高度に発達した脳と、それゆえにある意味繊細な心と
動物としての本能とをあわせ持つ人間には
心身ともに健康に生きていくことが
老若男女を問わずとても難しい時代になっています。

アルコールにしろ、ギャンブルにしろ、薬物にしろ、あるいはネットにしても
もともとは人間が作り出したものが、人間の脳を破壊し
平穏な生活や人生を崩壊させるという、あってはならない逆転が起きています。
高度な情報化社会とは、本来はよりよい暮らしをサポートするはずのものであったのに
政治や経済、社会を変容させるような力を持ち
それによって個々の人間が翻弄され、生き辛さを感じ、心を病む社会になっています。

このような時代に生きていくためには
依存症の問題に限らず、人間の心に関する知識、対応できるスキルというのは
乳幼児期の子育てから、思春期の子どもへの対応
職場や家庭での人間関係と、あらゆる場面で役に立つと思います。

先日パキスタンのマサラさんが、女性や子どもの生きる権利、教育を受ける権利を
世界に力強く訴えて、ノーベル平和賞を受賞されました。
日本では、ほとんどの子どもたちが
十分な教育を受ける権利が保障されているのにも関わらず
多くの子どもたちが、勉強を嫌なもの、やりたくないもの、時には無駄なものと
あたかも苦役のように感じていることに、悲しみさえ感じてしまいます。
学校の勉強だけが知識ではありません。

アルコールやギャンブルや薬物、あるいはネットにしても
どういうメカニズムで依存症という病気になるのか
依存症になったらどういう問題が起こるのか
事前に適切な知識があれば、ある程度は危険を回避することもできるはずです。

知識は、自分を、そして自分の人生を守るために
とても大切で有効な武器だと思うのですが。






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通院日そして…

2014-11-06 11:10:50 | 癌のこと
今週は、ほぼ2カ月半ぶりの血液検査でした。
結果は、特に異常はなし。腫瘍マーカー(CEA)は2.16と
8月の検査の時よりは少し下がっていました。

今飲んでいるアリミデックスは、肝機能にダメージを与えることがあり
私の場合最初から肝臓にも転移が認められていたので
先生も肝機能に関係する数値には注意をされているようです。
アリミデックスを飲み始めて半年なので
2週間後に2回目のCTを撮ることになりました。

診察が終わる頃に先生が
「あの、化学療法(抗がん剤)を受けられるつもりは…」と
私の顔をちらっと見て「ないですよね。これからも
何回かお勧めするかもしれませんが…」と笑われました。
若い女の先生だけど、優しい先生でホントによかった。


告知をされてからぼちぼち、標準治療を勧められる先生の本も
無治療を勧められる近藤先生の本も
進行した治らないガンについては、低量での抗がん剤治療が有効とされる
梅澤先生の本も読んでみました。

薬も抗がん剤だけではなく
適合すれば分子標的薬やホルモン剤も有効だということも知りました。
それらと我が家の経済事情などを考慮した上で
最初は無治療でもいいかなとも思ったのですが
ホルモン剤での治療なら色んな条件がクリアできるように思いました。
ホルモン剤だったら、ひと月あたりの治療費が約5000円ほど
私が仕事を辞めた今の状況でも
ある程度のところまでは治療を続けていけます。

経済的な問題もありますが
私にとって一番大事なのが普通の生活を続けていけることでした。
抗がん剤については、ステージ4で手術不能、転移ありという
私の病気の現状、すなわち治癒の可能性はない進行がんで
果たして効くのか効かないのか
副作用がひどいかひどくないか分かっているのは確率だけで
自分が効果ありのグループに入るかどうかはやってみなければ分らない
自分の命を賭けたギャンブルのような気がしました。
そして私は何が嫌いといってギャンブルが死ぬほど嫌いです。
まあ最後はやっぱり「高校生のヤンキー」的思考回路ですが
先のことはともかく、今は仕事をしていない以外は
至って普通の生活を送っていますからこれでいいと思っています。

というわけで、毎回検査の結果がでるまでに1時間ほど待ち時間があるので
近くのジュンク堂へ行って予約していた「伊藤計劃映画時評集」の1をゲット。
その後有効期限の更新にツタヤに行ったら
DVD2枚タダというチケットをもらいました。
「これはらっきーー」とDVDを物色していたら
なんとずっと探していた、白土晃士監督の「ノロイ」という
伝説のホラー映画、そしてこちらも探していた「パリ、テキサス」を見つけ
もう天にも昇るくらい嬉しくて、いそいそと借り込んできました。
タイトルからして、いかにも体に悪そうですがそんなことは気にしません。

長年観たいと思っていた映画が結局観れないまま終わるほうが
よほど大きな心残りになります。
そして主治医の先生にも「猿の惑星」をお勧めしてしまいました。
「アルツハイマーを治せる夢の新薬を開発していたら
そのお薬はお猿さんの知能を飛躍的に発達させたんですけど
人間には合わなくて人類の90%が滅亡しちゃうんです」という具合で。
当然先生も半笑いでしたが。

映画の話になるときりがなくなるので
それはまた今度ということで
お天気もよかったし、なんともハッピーな通院日ではありました。


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アメリカの現状と、すぐそばにある依存症

2014-11-01 07:48:21 | 依存症
ブログ村の、アルコール依存症のカテゴリーで
Mi-yaさんという方の「One day at a time~アラノンで学んだこと」
というブログに出会いました。

アメリカ在住で、一年前から同居していた男性が、アルコール依存症を
再発。彼女自身が、アルコール依存者の家族の自助グループアラノン
に参加して、近々その男性と別れることを決意するまでの心の軌跡が
つづられています。

このブログの中で、アメリカでの依存症を取り巻く環境の、具体的な
話を知ることができます。まずアメリカのアルコール依存者は、日本の
十倍以上なのだそうです。(人口の比率で考えると大体3倍くらいと
いう感じでしょうか。その代わりにアメリカはギャンブル依存症の
人口に対する比率が約1.4%300万人くらいで、日本のギャンブル
依存症が5.6%、人数で比べると日本の約半分です。ただしアメリカ
は深刻な薬物依存の問題も抱えています)

「たいていのアメリカ人は大変さを理解してくれるし、病気だという
のを知っていて、責めたりしないで、ちゃんと(専門家の)ヘルプを
得ているのかを聞かれる」
「ミーティングの多さは、日本と比べ物にならない。人口10万人ほど
の小さな町で、AAミーティングは日に10回以上、アラノンミーティング
も5回くらい、違う場所、時間で毎日行なわれていて、だから、行く
場所にもそれほど困らない」
さらに「精神科にも気軽にいける。心理セラピストがたくさんいる。
セラピーにも保険がきく」

こうした記事や、アメリカのドラマの中で、カジノで大金をすってしま
った男性に、同僚が「ギャンブル依存症は病気だ。病院に行け」という
セリフや、アルコール依存症の人が、断酒を手助けする自助グループの
仲間でスポンサーと思われる人と会話するシーン、さらにドラッグが
関係する話では、必ずと言っていいほど、カウンセリング、セラピー
回復施設といった話が出てきます。

前のブログで書いたように、アメリカでAA(アルコール・アノニマス)ができて
80年あまり。AAとそこで回復の方法として考え出された12ステップ
プログラムをベースに、依存症に対応できる体制がある程度できている
こと、一般の人の依存症についての理解が進んでいることが分かります。

依存症は、どの依存症でも、病気の領域に入ると、おおむね同じような
経過をたどります。たまに依存症の本人の方のブログを見ることもありますが
「止めたい、止めなければいけない→やってしまった(スリップ)
自分はだめな人間だ、止められない(自己否定)→しょうがないんだ
これしか楽しみがないんだから(内面での自己肯定)」の繰り返しです。
本当に堂々めぐりで出口がありません。

依存症の問題を考えていると、入り口のない家の回りをぐるぐる回って
いるような気がすると書きましたが、それを依存症者の側から見ると
窓もドアもない家の中にいて、その中をぐるぐる回っているだけなのだと
いうことが分かります。

前のブログで書いた「12ステッププログラム」の1にある

 私たちはギャンブルに対して無力であり、思い通りに生きていけなくなって
 いたことを認めた

は、そういう自分自身を客観的に認識する一番大切な過程で、これが本当に
できるようになれば、回復の大きな一歩だと言われています。これは家族
の場合も同じで、自分で何とかしよう、何とかできるというこだわりから
手を離すことがとても大切です。

言うのは簡単ですが、こういう心の問題はとても難しいです。医学という
専門の分野でも、人間の脳や心の働きについては分かっていない部分も
多いです。だからこそ、もともとキリスト教が思考のベースにある国で
「自分を超えた大きな力」に自分を委ねることが回復の可能性なのだ
という考え方が確立されたのだと思いますし、それはある意味正しいとも
言えます。なぜなら依存症という病気自体が、理性とか知性とか意思とか
自分の手持ちの道具では、どうすることもできない
人間にある程度は備わった能力を弱らせ、前頭葉の機能を働かなくさせる
という、いわば人間の能力を超えた病気だからです。おまけのように
書きますが、私は自分の、治らない領域に入っているガンも、ほぼ
同じだと考えています。これもまた何をやってもまず治るということは
ありません。残された時間を、病気と、そして自分自身とどう向き合うか
という問題です。

12ステッププログラムが、医学的な見地からは「前頭葉の鍛錬」だと
分析されているのは、そういう理由だと思います。依存対象のことだけ
で頭がいっぱいになっている脳は、外の世界に出て、回復する可能性
があるとされるミーティングに参加をするだけでも、大きな前進なのです。
そしてそこには回復を続けている仲間がいます。自分が一人では何度となく
挫折し、失敗し続けたチャレンジを成功させている人に会う、話を
聞く、自分のことを話す。その一つ一つの行動が、依存症によって
動かなくなっていた前頭葉を動かすのに効果があるわけです。

12ステップ以外でも
例えばうつ病の治療で使われる「認知行動療法」を用いての回復という
スタンスを取る医療機関もあります。

依存症の理解、治療に関しては、日本はアメリカに比べて半世紀以上
遅れていますし、大きく前進しそうな雰囲気も感じられませんが
ネットや危険ドラッグや、最近ではストーカーなどいわゆるSCA(性依存症)
と思われる事件もたびたび報じられるようになって、依存症自体は
爆発的な広がりを見せていると思います。

そもそもはダンナのギャンブル依存症がきっかけで、依存症を勉強
してきましたが、今は私がよく知っている人でも、ダンナを含めて
3人は依存症と思われる人がいます。それだけ依存症というのは
私たちにとって身近で切実な問題になってきているのだとことを
少しでも知っていただけたらと思います。






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