癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

ギャンブル依存症治療の進展を(3)

2016-12-27 16:50:16 | ギャンブル依存症
11月に参加した、ジャパンマック福岡の3周年記念セミナーで
ギャンブル依存症の人の家族の体験談として
現在息子さんがジャパンマック福岡で回復に取り組んでいるという
お父さんがお話をされました。

「色々なことがあって、息子をジャパンマック福岡にお願いすることを決めて
息子と二人博多駅に着いたのが、ちょうど一年前のクリスマスの時期でした。
これからどうなるか全然分からず、不安でいっぱいで
駅前のイルミネーションの青白い光が、なんともいえずもの悲しく見えたのを覚えています」

このお話には本当に胸が詰まりました。
真面目に一生懸命働いて、子どもさんをを育ててこられた人たちが
どうしてこんな思いをされなければならないのでしょうか。

このお父さんとは、クラフトの勉強会でもご一緒しました。
私はセミナーの日は、朝から行かなかったので聞けなかったのですが
午前中の依存症本人の体験発表で、息子さんも発表をされたようです。
ジャパンマックにつながって、回復のためのプログラムに取り組まれている
息子さんを見守るこのお父さんの目に
今年のイルミネーションがささやかな希望の光と映ることを願わずにはいられません。

今回のIR法案を契機に、社会が上から変わる、上にいる人たちが
「これは大変なことだ。何とかしなければ」と真摯に考えてくれるなら
これほどよいことはないのですが、そこはどうなるのか、まったく予測がつきません。

先日「エアー2.0」という、全然有名ではないけど
かなり面白い小説を読んでいて、こんな部分がありました。

「現実には金がこの世の中を規定してるんだよな。世界のすみずみまで
科学が説明し、気持ちよさげなものをどんどん作って、それに大量の金がつぎ込まれている」

そして主人公は次のように語ります。
「俺たちの生が金と科学でガチガチに決定づけられるってのはどうなんだろうか。
俺はいやだな。金と科学の上になにかもっと大きなものが必要なんじゃないかって
思うわけだ」

社会派の小説かと思ったら、これまた壮大な与太話というかおとぎ話のような小説でしたが
そんな中にも、部分的に共鳴できるところはたくさんありました。
「12ステッププログラム」もこの「なにかもっと大きなもの」のひとつなんだと思います。
上から変えることの難しい社会だったら、他にどんな方法があるのか
私たち一人一人がほんの少し変わることによって
少しづつ社会が変わる可能性はあるんじゃないか
「ひとり1円の寄付が1億3千万円になる」
それを私は愚直に信じて、このブログを書き続けています。

前のブログで書いた水俣病の被害者の方の遺族の言葉
「くやしいのは「魚は絶対に食べたらいかん」と教えてもらえなかったことです」
こんなことが際限なく繰り返されないために
「ギャンブルにもネットにも、人生を、人間を破壊してしまう大きなリスクが
あるんですよ」という言葉を発信しつづけていくつもりです。
もちろん依存症のリスクは、ギャンブルとネットだけでなく
薬物にも、アルコールにも、他の多くのものにも潜んでいます。

大切なのはまずリスクがあること、それがどういうものかを知ること
そしてもし既に依存の問題があるなら
数は少ないですが、相談ができる場所はいくつかはあるということ。
相談をするのは、手の施しようがなくなってからではなく
早い時期のほうがより効果が期待できるということ。
私自身も、いろいろな場所に足を運び
ジャパンマックのスタッフさんや、回復されている人たちやその家族
医療者やケースワーカーさんなど、援助者の人たちのお話を聞いて
たくさんの気づきがあり、分かったこともたくさんあります。

「知る」ことで、出口のないトンネルから抜け出す道はあり
そこで出会う人たちから、たくさんのヒントをもらうことができます。
しょぼいですが、私がこうして発信している情報に目を止めてくださる方があり
その方が、一歩を踏み出してくださるなら
そしてご自身の経験を語り継いで、それをまた他の方につないでいただけたら
1円の貯金が100円になり1000円になり
それが3人に増えれば3000円になるわけです。
気の遠くなるような話ではありますが
上の人たちが変えてくれるのを待つだけではなく
私たちの側が、知ることによって少しでも変わっていく
それはある意味確実な方法なんじゃないかと思っています。
年末なので、私にしては相当がんばって、前向きなことを書くのにチャレンジしました。
タイトルと今いち合っていませんが、今の思いをなるべく素直に書いてみました。


ランキングに参加してみました。よろしければクリックをお願いします!


にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 依存症へにほんブログ村


にほんブログ村 病気ブログ 乳がん ステージ3・4へにほんブログ村



ギャンブル依存症治療の進展を(2)

2016-12-20 15:17:06 | ギャンブル依存症
この前から度々引用させていただいている
田辺等先生の「ギャンブル依存症の現状」の中に
「ギャンブル問題と治療的対応」という資料があります。

これは「回復困難性による重症度」を3段階に分けたもので

 A. 病的ギャンブル → 治療対応、当事者活動

 B. 問題ギャンブル → 早期、短期治療介入

 C. 娯楽ギャンブル → 治療の必要なし

右側は、どういう治療が必要か、治療のニーズを示してあります。
厚労省が発表した536万人という数字がAの病的ギャンブルだけなのか
Bの問題ギャンブルを加えたものなのか定かではありませんが
おそらくAとBを合わせたものではないかと思われます。

私はこれまでもずっと、依存症の段階、ガンで言うならステージのようなものを
もっと具体的に設定できないものかと思ってきました。
ギャンブル依存症のことを勉強し始めてしばらくしてから
私が理解したのは「ギャンブル依存症は、ギャンブルで得た刺激によって
脳内の神経伝達物質(ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン)の
分泌の仕方に変化が起こり、この変化はもとには戻らないので
ギャンブル依存症は一生治ることはなく、治療をしなければ進行し
悪化して、最後は犯罪者になって刑務所に入るか、精神病院で終わる病気」ということでした。
確かにこれは事実なのですが、こういう風に総括してしまうと
「あなたはガンですから死にます」と言われるようなもので、あまりにも救いがありません。

田辺先生の資料では「早期、短期治療介入」が可能な領域が設定されています。
これはギャンブル依存症だけではなく、特にネット依存スマホ依存などにも
早急に応用していただきたい考え方なのです。
医療の分野では、アルコール依存症などは
早期の治療には動機づけ面接などが
一部ではありますが、すでに導入されています。

ギャンブル依存症は、日本では相当に有病率が高い、ポピュラーな病気でありながら
あまりにも情報がなかったために、ほとんど放置されていたといってもよく
私も含めて、本人も家族も、本当に何もかもがどうにもならなくなってから
初めて助けを求めて事実を知る、つまり病気と分かった時には
すでに何らかの治療は必要だけれども、治癒はないという末期ガンのような状態だったわけです。

けれど、早期短期治療介入の可能性があるならば
現在重症化している依存症者の問題とは別に
早期に治療ができる体制を確立させて
相談や治療ができる分かりやすい指針を出し
その情報を一日も早く、一般の人たちに知ってもらい
今後の病気の広がりに少しでも歯止めをかけていただきたいと思います。

ガン治療では、誰か有名な人がガンになるたびに
まるでお題目のように繰り返される「早期発見、早期治療の重要性」
依存症もまったく同じなのだと、たくさんの人に知ってもらいたいです。
日進月歩で研究が進み、次々に高額な治療薬や治療法が開発されているガン治療の世界。
それとは正反対で、既存の医療機関でさえ、治療に取り組んでおられるのは全体の1割ちょっと。
治療や支援に携わる人も少なく、人材の育成も進まず、研究者の数もごくわずかという
まさに、ないないづくしの、依存症治療の現状。いったいこの差は何なんだろうと思えます。

また重症の依存症者に対する対応でも
依存症治療の最前線で尽力されている先生方は
当事者グループの重要性を理解され
医療による治療と当事者グループは、治療の両輪と位置付けられますが
この認識が行政にも医療者にも、患者や家族にも共有されていません。
(当事者グループは、各依存症の自助グループ、患者会、家族会のこと)

そして県や市の精神保健福祉センターや保健所に相談しても
「ギャンブル依存や、ネット依存は対応できません」と言われたり
「それでは自助グループに行ってください」と、
なんの説明もなく、ただ右から左にたらいまわしにするだけでは
まったく何も分からいない本人や家族にとっては
「わらにもすがる」のわらにさえもなり得ないのです。

クリスマスだというのに、お正月が来るというのに
書けば書くほど、ネガティブなほうへ行ってしまいそうですが
それでも今回のIR問題は、これまでまったく光が当たらなかったギャンブル依存症問題に
一瞬だけでしたがスポットが当たった瞬間でした。
ただそれも「ギャンブル依存症は、こんなに悲惨だ。恐ろしい病気だ」という
情緒的な話に終始して「それでは、何をどうすればいいのか」という議論に進展していません。
「カジノができるまでに考えればいいや」あるいは「カジノができてから様子を見て考えよう」
というような、あいまいな空気が支配しているようなのが気がかりです。

そしてギャンブル依存症の対策に関して
政治や企業へのアプローチは多少ありますが、医療へのアプローチがありません。
精神医療には期待しない、何も期待できないのが当たり前になっていては困ります。
どこの精神科、心療内科を受診しても
各種の依存症に的確に対応できる医療の体制ができることが理想です。

そのためには、やはり厚労省が、経済界への配慮云々という
政治的な思惑とは明確に一線を画して
現在先行しているニコチン依存症の予防、治療、啓発と同様に
国民の健康という原理原則に徹して、あらゆる依存症治療についての
実効性のある指針を提示していただきたいものだと思います。

ランキングに参加してみました。よろしければクリックをお願いします!


にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 依存症へにほんブログ村


にほんブログ村 病気ブログ 乳がん ステージ3・4へにほんブログ村



ギャンブル依存症治療の進展を(1)

2016-12-17 11:33:03 | ギャンブル依存症
10月の下旬に、水俣病の犠牲者の慰霊式が行われ
患者や遺族を代表して、ご主人を水俣病で亡くした方が、祈りの言葉を奉げられました
「くやしいのは「魚は絶対に食べたらいかん」と教えてもらえなかったことです」
この言葉が、私の胸にしみました。

つい最近も、ジャパンマックでお会いした方の中で
家族がギャンブルでつくった借金を
かなりの金額を立て替えたというお話を何回も聞きました。
「どうしてそんなになるまで」と、今だからこそ思いますが
私も10年前は、その人たちとまったく同じだったのです。
何度も何度も同じことを繰り返し、なぜそうなってしまうのか
いったい何をどうすればいいのか、全然分かっていませんでした。

あれからずいぶん時間が過ぎたのに
未だにまったく同じ状況が繰り返されている、それが悔しいです。
私のように、ほんとにただのおばちゃんが、何を偉そうに
理想論だけなら誰でも言えると思われるかもしれません。
けれど、あの頃、ギャンブルは危険なものだと教えてもらえなかった。
依存症という恐ろしい病気なのだと教えてもらえなかった。
その、血の涙を流すような、辛く苦しい思いがあるから
私は今でもこうしてつたないブログを書き続けているのだと思います。

IR法案、カジノ建設との関係で
この数日はメディアでも度々「ギャンブル依存症」という言葉が登場しました。
(プーチン大統領来日のニュースで、あっという間に消えましたが)
あれで「カジノができたら、日本でもラスベガスとか韓国のように
ギャンブル依存症の患者が増えるかもしれない」と思った人はおられるでしょうが
それでは今、日本のギャンブル依存症問題がどうなっているのか
もしも家族がギャンブル依存症になったらどうすればよいのか分かったという人が
果たして何人いるだろうかと疑問を感じたので、前回の記事を書きました。

536万人という数字の是非はともかくとして
すでに20年以上前から、日本でも一定数発生し、その後増加の一途を続けながら
未だに治療や回復の手段が認知されておらず、確立されてもいないこの病気への対応が
カジノ法案を契機に、たとえ1ミリでもいいから前進しないものだろうかと思うのです。

依存症は「薬物療法で解決が期待できない」「医療になじみにくい」病気で
そのために精神医療の現場では、治療に取り組む医療機関が少なく
いまだギャンブル依存症を病気だと認めていない医療関係者の方もおられます。
けれど厚労省の依存症対策には、現在はギャンブル依存症も含まれています。

また前のブログで書いた「ギャンブル依存症の現状」によれば
「回復するためには(アルコール・薬物などの)物質使用の依存症同様に
心理療法(認知行動療法、内観療法、集団療法、心理教育)が効果があり
当事者グループ所属で安定する」との報告があります。
12ステッププログラムを用いた自助グループGAは、この当事者グループ
の一種なのですが、これに関しても否定的な医療者の方がおられます。
依存症の治療や回復に携わるすべての人たちが
依存症に対する共通する正しい認識、知識を持つことが必要なのです。

厚労省、医療機関、自助グループ、それぞれが点として存在し
うまく連携や協力がなされてないように思います。
けれど、前のブログにも書いたように、厚労省が536万人という数字を公表したことは
驚きでもあり、一筋の希望でもありました。
今はまだ点であるものがつながって、治療に関する認識が共有されることを願います。

十数年動かなかったものが、一気に動くというほど楽天的に考えてはいませんが
何度も書いているように、IT機器の普及によって
依存の問題は、すでに次の段階に入っています。
ギャンブル同様にのんびり構えていたら、あと十年もしたら
とんでもないことになるような気がします。
ギャンブルと同様に、PC,スマホといったIT機器にも多くのリスクがあることを
今度こそは、使う側の私たちが、認識した上で使えるようになること
それが十年後に「誰も教えてくれなかった」という悲劇を防ぐことになるように思えます。


ランキングに参加してみました。よろしければクリックをお願いします!


にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 依存症へにほんブログ村


にほんブログ村 病気ブログ 乳がん ステージ3・4へにほんブログ村



日本のギャンブル依存症の現状について

2016-12-14 17:16:14 | 依存症
ここ数日IR法案成立に関連して
「ギャンブル依存症」の問題がたびたびテレビでも取り上げられていましたが
ニュースの中で報道されるのはごくごく限られた
それも、何かと差支えがあるところには絶対に触れないように配慮された
断片的な報道ばかりで、これでは全体像がまったく分かりません。

コメンテーターの女性も「なんだか自分たちと縁遠い話のようで」
とコメントされていましたが
家族のギャンブル依存症の問題を経験されていない方にとっては
それが正直な感想なのだろうと思います。

そこで、現在の日本のギャンブル依存症の現状を理解できる
信頼のおける資料はないかと探していたら
北海道立精神保健福祉センター所長で「ギャンブル依存症(2002)」の著者でもある
田辺等先生による「ギャンブル依存症の現状」という報告書がネットにあがっていました。

その中に「諸外国におけるギャンブル依存症の有病率」という項目があって
調査数にばらつきはあるのですが、大体次のような結果です。

アメリカ 1.4% イギリス 0.8% スペイン 1.7%
スイス  0.8% スウェーデン 1.2% オーストラリア 2.1%

これに対して日本は2008年度の厚生労働省の調査で
男性 9.6% 女性 1.6% 推計値 536万人 という結果が出ています。

そして「なぜ日本にギャンブル依存症が多いのか」つまり成立要因として
 
 ・我が国のギャンブルの射幸性の上昇
 ・資金獲得(借金)のしやすさと、市街・郊外に遊技場が普及したことで
  日常的にいける
 ・娯楽・ストレス解消にギャンブルを使う人の増加  の3点があげられ

「わが国のギャンブル依存の現状と課題」は

 ・海外と桁違いのギャンブル依存症の有病率
  (市民社会の日常に根付いたギャンブル)
 ・ギャンブル依存症への理解不足
  (本人・社会・専門家の否認)
 ・治療対応できる機関の人材の圧倒的不足
 ・当事者グループ(GA)や家族会(ギヤマノン)支援のマンパワー不足

というようにまとめられています。

またこの報告書では「ギャンブル行動も、脳の病的な機能は、薬物依存と同じ
であり、薬物依存症と同様の症状を有している」ということ、さらに
脳画像研究の分野でも薬物依存患者との共通点があることが指摘されていて
これはかなり画期的な見解のように思います。

日本の依存症への認識や理解や対応が、欧米に比べて半世紀以上遅れていることは
このブログでも何回も何回も書いてきました。
アルコール・薬物・ギャンブルに加えて、この数年はネット依存の問題も
急速に増加し、深刻になりつつあります。

ネット依存の中でも、オンラインゲーム依存は、課金の問題が加わるので
ギャンブル依存症との類似が指摘されていますし
市民生活の日常に根付いているという点では、ネットは、ギャンブルよりも
さらに幅広い年齢の人々の、さらに身近にあり
娯楽・ストレス解消がネットというところも似ています。
しかもネットの依存については、相談にのってもらえる機関や家族会といったものもなく
精神保健福祉センターでも「国の診断基準がないので」と言われるような現状で
私が、ダンナのパチンコ依存の原因も対処の方法もさっぱり分からず
まさに途方に暮れていた10年前とほとんど同じような状況なのだと思います。

薬物にしても、松本先生などが、欧米ではとっくの昔に主流となっている
「処罰よりも治療を」という考え方をなんとか普及させたいと腐心されていますが
そもそも依存症というものへの認知や理解がまったく進んでいないために
相変わらず「薬物使用者は重大な犯罪者」的な風潮は変わりません。

専門家の方でも、アルコール・薬物・ギャンブルあるいはネットの依存は
厳密に言えばそれぞれ違うというような見解はあるのでしょう。
けれど学問的な定義よりも、今現在とてもたくさんの国民が依存の問題に苦しみ
失業や学業放棄、離婚や家庭崩壊や貧困、さらには借金や自殺や犯罪といった
数々の悲劇に見舞われている現状と
それによって将来国が抱えることになる膨大なリスクを考えれば
たとえ身動きできないほどのしがらみや利権利得があるのだとしても
今回のIR法案成立を契機に、純粋に医療という観点から
厚労省が管轄する精神医療の現場だけでよいので
依存症全般に対応するプロジェクトチームを作って
あらゆる依存症に対応できる体制を
(特にマンパワーの不足は、松本先生なども繰り返し提言されているところで
必要な人材の育成は、一朝一夕にはできません)
一日も早く作ってもらえたらと願わずにはいられません。
ジャパンマックなどのNPOや自助グループだけが受け皿になるには
資金面なども含めて多くの限界があり
昨今の多様化する依存症の現実からしても、すでに限界を超えているように思えるのです。

まさか、まさか「パチンコやスロットは遊戯であってギャンブルではないので
国のギャンブル依存症対策には含みません」なんていうトンデモな結末にはならないだろうという
かすかな希望的観測をしていますが、今までが今までですから何とも言えません。
あ~あ、厚労省に白鳥さんみたいな人(海堂尊さんのバチスタシリーズ)
が10人くらいいてくれたらなあ。ちょっとは何とかなるかもしれないのにと
最後はお決まりの妄想に浸るしかありません。


ランキングに参加してみました。よろしければクリックをお願いします!


にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 依存症へにほんブログ村


にほんブログ村 病気ブログ 乳がん ステージ3・4へにほんブログ村



今年最後の通院日

2016-12-10 16:20:58 | 癌のこと
今週の火曜日は、年内最後の通院日でした。
今月は特に検査などもないので、簡単な診察をして、お薬をもらうだけです。

「食欲はどうですか?」
「痛みは、今のお薬で効いていますか?」
「他に変わったことはありませんか?」
ドクターの質問は、毎回だいたいこんな感じです。

そこで前回聞き忘れた質問を。
私のがんの痛みは、何パターンかあって
夏から出たのが、胸骨の患部側の痛みです。
ここに、ズクンズクンという鈍い痛みが出ると
ロキソニンでは治まらず、トラマールを飲みますが
この2種類の鎮痛剤の飲み方
つまり何時間あけるとか、一日何錠まで、とかいうのを聞いてなくて
ドクターに聞いてみました。

すると「ああ、あんまり神経質に考えず、痛いときは飲んでいいですよ」と。
確かに、がんという病気は、例えば標準治療をしていたら
いろんな種類のお薬をたくさん飲む病気だし、私の場合飲んでいるのは
麻薬未満の鎮痛剤だけですから、先生の答えはおおらかなものです。

ロキソニンの袋には「6時間あける」と書いてあるので
それを目安にしていますが、トラマールはどう使えばいいのかがよくわからなかったのです。
すると看護婦さんが「トラマールを使用される患者様へ」という
小冊子を持ってきてくれました。

今は朝方から少し痛みが出るので、朝食を食べたらロキソニンを1錠
そのまま、日中痛みがなければ、夕食を食べて夜の9時ごろにトラマールを1錠
というスケジュールで痛み止めを使っていますが
貰った本を参考にして、途中で痛くなったら
間隔が短い時はトラマール、5、6時間空いている時はロキソニン
夜中に痛んだら、時間には関係なくトラマールというように飲み分けています。

診察が終わってドクターに
「また来年もよろしくになっちゃいましたけど
来年もよろしくお願いします」とご挨拶し
看護婦さんが「何かあったら、すぐご連絡くださいね。
良いお年を」と笑顔で送り出してくださいました。

告知を受けた年は、私自身も、そして家族や友人にも
「来年のお正月はないんじゃないか」という感じの
ぴりぴりした雰囲気がありましたが、それから3回目のお正月が来ます。
前に、伊坂幸太郎さんの「死神の浮力」という本で見かけた「還元キャンペーン」
本当はもう寿命なのに、死神界がキャンペーン中なので
ちょいと余命を伸ばしてくれるという話が出てきます。
私の余命も、その還元セールとかキャンペーンなんかで
死神さんがちょっと盛ってくれているのかもしれません。

「まったくめでたいお正月前に、なんてこと言うんだ」と怒られそうですが
「後ろ向きも行くとこまで行けば前向きになる」は私のモットーです。
「明るく前向きに希望を持って」と「ネガティブとマイナーを極める」という
正反対のベクトルを同時に生きることはできないので
そこは、来年もブレずに、この道一筋でいくつもりです。

ランキングに参加してみました。よろしければクリックをお願いします!


にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 依存症へにほんブログ村


にほんブログ村 病気ブログ 乳がん ステージ3・4へにほんブログ村



家庭内本屋生活

2016-12-05 10:44:51 | 社会・生活
11月は無事にSIONさんのライブにも行けて
「もうこれで思い残すことはない」モードでしたが
実は延び延びになっていた、伊藤計劃さんの「虐殺器官」のアニメ映画の公開が
2月に決まり、そこまではがんばらねばと決意を新たにしています(おおげさな)

Kindleが来てひと月半
寒くなってきたこともあって、引きこもりの度合いが加速していますが
先日ダンナが「Kindle何冊になった?」と聞くので数えてみました。
今野敏さんの警察小説「宰領 隠蔽捜査5」「転迷 隠蔽捜査4」そして「触発」
ダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」(上・中・下)の三巻
相場英雄さんの、原発事故に絡む補償金詐欺を描いた社会派小説「共震」と
榎本憲男さんの「エアー2.0」
そして貫井徳郎さんの「愚行録」と柴田よしきさんの「激流」(上・下)

あとは、久しぶりに円城塔さんの短編「世界でもっとも深い迷宮」と
伊藤計劃さんの「ハーモニー」とのつながりで
神林長平さんの「今集合的無意識を」
それとサンプル版でダウンロードされた「教団X」とか
吉田修一さんの新作「犯罪小説集」のお試し版とか。
ダンナには「数えてみたら買ったのは13冊やったよ。全然たいしたことないよね。
Kindleは1000冊くらいダウンロードできるみたいやし」と返事しましたけど
事実をなるべく少なく見たい、見せたいというのは、ばっちり依存症者の発想です(笑)
(100万円借金があるのに「50万くらい」なんていうアレ。
もしくは300万借金ある人に会って「俺は100万だから少ない」と思うアレ)

この一見バラバラな、自分の読書傾向を自己分析してみました。
まず「自分が生きている、半径1キロとか3キロの範囲の出来事が中心の物語」です。
自分自身とか家族(親子とか夫婦、兄弟姉妹など)職場の上司とか同僚、部下
学校の先生とか友人、隣人知人といった、限られた関係性の中だけで話が進むもので
「愚行録」とか「激流」、先日紙の本で読んだ「コンビニ人間」とか「クリーピー」がこれです。

もう一つは「自分の周辺だけではなく、日本とか世界の政治とか経済とか社会の現実を
視野に入れて、それらとの関係性の中で、人間を描いていく物語」で
今野敏さんや相場英雄さんの社会派ミステリーがそれで
松本清張さんや宮部みゆきさん、東野啓吾さん
そして吉田修一さんなんかの一部の作品ともリンクしていて、私はこのあたりが一番好きです。

過去にも書きましたが、例えば長年苦しめられた依存症の問題ひとつにしても
その原因や対応の方法を、半径1キロ(本人、家族、友人知人といった)の範囲だけで考えると
私のような凡人は、間違いなく行き詰まります。
本人が悪いのか、いや自分が悪いのかもしれない
生育歴に問題があった(親のせい)のか 仕事のストレスか などなど
どれだけ考えても堂々めぐりで、突破口が見えません。

そこで、個人を取り巻く社会のありようを知る努力をすると
これだけたくさんの、様々な依存症者を生み出している直接の原因が何で
その背景には、どういう政治や企業の考え方や姿勢があり
そのことが、さらに依存症を予防したり治療に取り組むために必要な
規制や対策をも阻害しているかを、おおざっぱにではありますが、理解することができます。

知ることで、即そうした現実を変えることができるわけではありませんが
少なくとも個人にすべての責任があるという、閉塞的な考え方からは抜け出すことができます。
そして更にその先に何があるのかを私に見せてくれたのが、伊藤計劃さんであり
伊藤さんを通して出会ったSF作家さんたち。
今月読んだ本であれば
「エアー2.0」とか「今集合的無意識を」などが描いている、第三の世界観でした。
まあそこは、人類が絶滅したり、人間の意識が消滅したりする
なかなか剣呑な世界ではあるのですが。

「圧倒的なリアルの力に対抗するには優れたフィクションしかない」
これは「今集合的な無意識を」の中のことばですが
このフレーズは、私の胸にすっと落ちました。「ああ、そういうことなのだな」と。

「何を言ってるのかサッパリ分からん!」と怒られそうなオチしか書けませんが
老化と劣化でヨレヨレの前頭葉を何とか活性化させながら
こうして折々に頭に浮かんだことを書いているこのブログ
読んでいただいている方には本当に感謝しています。


ランキングに参加してみました。よろしければクリックをお願いします!


にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 依存症へにほんブログ村


にほんブログ村 病気ブログ 乳がん ステージ3・4へにほんブログ村