ささの葉は み山もさやに さやげども
我が妹おもう わかれきぬれば
=巻2-133 柿本人麻呂=
ささの葉が風にそよいでざわざわと鳴っていても、私はあの人のことを思ってやみません、別れて来たあの人のことを。という意味。
解説板には、
「お前のことでいっぱいだ。哀しい別れだった。峠の笹の葉が鳴り続けていても、私の耳には、何も聞こえない」とあり、心が乱れず一筋に妻を思っている気持ちを
柿本人麻呂に石見相聞歌と呼ばれる長大な作品がある。長歌二首から成り、それぞれに反歌二首が添えられている。上の歌は、最初の長歌に付けられた反歌二首のうち、二首目の作。
国司として石見の国(現在の島根県西部)に赴任していた人麻呂は、いつしか現地の女性と知り合い、深く愛し合うようになった。当時の国司の任期は5年。やがて任期が切れて都に帰らなければならなくなった際、石見の女性を都に連れ帰ることはできず、その悲しい別れをうたったのが石見相聞歌である。
<碑文><クリックで拡大>
さゝのはゝみ山も
さやにさやけど
も我は妹
おもふわかれ
きぬれば
この万葉歌碑は群馬県高崎市の高崎自然歩道、マップ9地点に建っている。