いにしへの 古き堤は 年深み
池のなぎさに 水草生ひにけり
=巻3-378 山部赤人=
ずっと昔に造ったこの古い泉水は、年が深く積み重なったので、池の波打ち際に水草が生えているのだった。という意味。
山部赤人が故藤原不比等邸(現在の奈良・法華寺)の庭園を詠んだ歌。
山部赤人は不比等の生前度々招かれて歌を詠んでいたのであろう。
上の万葉歌に見える「古き堤」は、不比等邸にあった池の堤のことである。
この万葉歌碑は高崎市、高崎自然歩道の山の上碑への分岐点からほどなく行ったところで、高崎自然歩道から外れた道沿いの山名貯水池わきに建っている。
貯水池の完成記碑(昭和57年)として建てられたもので、碑の表に大きく「山名貯水池」と刻まれており、
万葉歌はその裏面に刻まれている。歌碑の前に柵があって碑の裏が見えにくく、うっかりすると万葉歌を見損なってしまうようだ。
この歌はこの地に関する歌ではないが、揮毫した山名八幡宮の宮司、高井紫風氏の好みによるものだろう。
碑裏<クリックで万葉歌部分を別写真で拡大>
碑文:
いにしへの古き堤は
年深み池のなぎさに
水草生ひにけり