住吉(すみのえ)の 岸を田に墾(は)り 蒔(ま)きし稲(いね)
さて刈るまでに 逢はぬ君かも
=巻10-2244 作者未詳=
住吉(すみのえ)の、岸を田に耕して蒔(ま)いた稲(いね)を、こうして刈るまで、ずっとあなたに逢っていません。という意味。
長い間逢えないことを嘆く女の歌。
住吉(すみのえ)は現在の大阪府住吉区(すみよしく)、住吉海岸の崖の台地あたり。「田に墾(は)り」は開墾すること。
住吉の上代の読み方が”すみのえ”、それ以降は”すみよし”。
この万葉歌碑は上山田温泉街に入る手前の住宅街の一角にある住吉公園(千曲市上山田温泉4-32)に建っている2基の歌碑のひとつ。
このあたりはかつて住吉の地名があったところで、古代には稲作がさかんに行われていたところと想定できる。
万葉歌碑と共に、「住吉の里」碑が建っており、かつて稲作がさかんに行われていたところと記されている。
碑文には、
”住吉の地は下河原の南 前河原の西にあり、昔から稲作の適地であったことから、古代先人は「住吉」と名付けたものと思われる。江戸時代に六ヶ郷用水を女沢川の下に底樋を通して引水して以来、住吉は黄金色の稲穂が波うつ見事な水田地帯の景色であった。・・・”とある。