飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
古代から近代へと時空を越えた旅をします。
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万葉アルバム 花、はまゆふ

2011年06月12日 | 万葉アルバム(自然編)

み熊野の 浦の浜木綿(はまゆふ) 百重(ももえ)なす
心は思へど 直に逢はぬかも
   =巻04-0496 柿本人麻呂=


熊野の浦の浜木綿の葉が幾重にも重なっているように、幾重にも幾重にも百重にもあなたのことを思っていますが、直接には会えないことだ。という意味。

690年、9月13日から24日まで紀伊の国への行幸があり、この行幸に供をした柿本人麻呂がその時に歌ったとみられる。

はまゆふ(現在のはまゆう)は暖地海岸の砂地などによく生える大形のヒガンバナ科の多年草。葉が厚く幾重にも重なり、浜の強い潮風にも耐えている。夏には葉の間から花茎を出し、先に白い花が集まって傘形に咲く。浜辺に生えオモトに似ているので、別名ハマオモトとも呼ばれている。

『万葉集』に詠まれる「はまゆふ」は上記の一首のみ。