明日香川 明日も渡らむ 石橋の
遠き心は 思ほえぬかも
=巻11-2701 作者不詳=
明日香川を明日は渡って逢いに行きましょう。私の心は、石橋のように飛び飛びじゃなくって、ずっ~とあなたのことを思っていますよ。という意味。
飛鳥の石舞台を過ぎて、飛鳥川上流に向かって30分程歩くと、「日本の棚田100選」に選ばれた「稲渕棚田」が見えてくる。秋には棚田に彼岸花の群落が赤色を染めて美しい景観である。
さらに飛鳥川の上流、稲淵では、勧請橋(かんじょう)を渡り、稲渕の道を吉野方面に向っていくと、飛び石への案内板がある。古代においては、飛鳥川に橋はなく、また、板橋を掛けても、昔は今と違い鉄砲水が多く、氾濫を繰り返し流されるので、飛び石が橋の役目を果していた。川床に石を並べて渡れるようにした石橋は、その昔、若い男女が逢瀬を急ぐ道でもあったのである。