ボッティチェリ(1472)<ユディトの帰還> 1472年頃
旧約聖書外伝より「ユディトとホロフェルネス」
ユディトはベツリアの町に住む、裕福な未亡人であった。大変に美しく、神への信仰が厚かった。ホロフェルネス率いるアッシリア軍がベツリアの町を包囲した。
ユディトは召使とともにはアッシリアの陣地へ行った。ユディトは取り囲まれているベツリアの町について、もう神の加護のない町であるから、攻略方法を教えると言って敵将ホロフェルネスに近づいた。
ユディトの美しさに気を許したホロフェルネスは彼女を酒宴に招いた。
ユディトはホロフェルネスが酔いつぶれて寝込んでしまうのを待ち、首を切り落とした。
ユディトはホロフェルネスの首をベツレアの町に持ち帰った。将軍のいないアッシリア軍はあっさりと敗退した。
この旧約聖書の物語をメタスタージョがイタリア語で脚色した台本で、モーツァルトがオラトリオを作曲した。
モーツァルト:オラトリオ 「救われたベトゥーリア」全曲 K.118 である。
「救われたベトゥーリア」は、モーツァルトが15歳の時に作曲された2部の宗教劇。台本は、美しいユディトが敵将ホロフェルネスの首を持ち帰り、ユダヤ人の危急を救うという、旧約外典ユデト書の物語を自由に脚色したもの。
ニ短調の序曲をはじめ、短調の曲が多く、モーツァルトのシリアスな表現が聴く者の心を打つ。
<モーツァルト:宗教劇「救われたベトゥーリア」K.118 マーク指揮/パドヴァ・ヴェネト室内管弦楽団 (DENON COCO-9945-6)>
ボッティチェリは召使に首を持たせて帰還する場面を描いているが、
「ユディトとホロフェルネス」の場面は多くの画家が描いている。
その中から3点を以下に載せる。
アローリとクラーナハは切り落とした首をもつユディトを描いている。
カラヴァッジョは首を切り落とす瞬間を描いている。
アローリ(1613)
クラーナハ(1530)
カラヴァッジョ(1598)