みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『女神の見えざる手』観ました。

2018-10-29 16:00:00 | 洋画

金になる銃規制反対派に味方する社長。スタッフのエリザベスにも頭ごなしの業務命令。

2016年:アメリカ。仏・米。 監督:ジョン・マッデン。 WOWOWからの録画。
アメリカにおいて、銃規制法案に関して昔から賛成派・反対派が激しく議論の
火花を散らしている、ということは自分も耳にしています。
ただ賛成派には反対派のような(銃メーカーからの助力)豊富な政治資金力がなく、
常に劣勢に立たされがちなのだとも聞いています。
本作のテーマはズバリその銃規制法案が題目。

凄腕のロビイスト、エリザベス・スローン。その腕を買われ銃規制法案反対派からの
オファーを受ける。だが彼女はもともと個人的には銃規制賛成派の人間なのだ。
クライアントを冷たく扱い、ナマイキな奴だと社長からクビを言い渡される。
それを知った銃規制賛成派の立場のロビイ活動をすすめる弱小ロビイ会社のトップ、
シュミット氏から、すぐさま転職(引き抜き)の声がかかる。
収入こそ大幅ダウンになるが、これは絶対やるべき事項だ、とエリザベスは決心。
元の会社とは袂を分かち、銃規制賛成派の立場からのロビイスト活動を開始する。

ただ何事も”やりすぎ”な彼女。
思いが強すぎて、結果的にスタッフを危険な目に遭わせてしまったりする。
例えばスタッフの一員、エズメ。かつて銃乱射事件の被害当事者だった彼女を広告塔として利用。
テレビに顔を曝してしまったために彼女はイカレタ銃所持者に襲われ、危うく殺されそうになる。
運動に熱心だったエズメは、これ以降エリザベスとは距離を置くようになる....。

  
はじめエズメは自分からチームに参加したが。    公聴会の成り行きを見守るエリザベスチームの面々。

銃規制反対派は、どんなに小さなミスでも調べて、エリザベスへの攻撃材料としようする。
だが彼女に後ろ暗いところは見つからない。
しかし尚もしつこく調べた結果、ようやく過去の小さな、グレーな事実を探り当て、それを根拠に公聴会を開く。
ただ流石にそれだけで彼女を有罪に仕立てるのは難しいが、事前に銃規制反対派は判事や議員をがっちり抱き込み、
周到な根回しと準備をする。

公聴会に出席した途端に、場の空気からエリザベスは「これは何が何でも自分を有罪にする気だ」
と気づく。そこで彼女は議決が下りる前に、自分の思いを開陳したいと申し出る。

  

内容は「銃規制賛成運動は引き受ける値打ちのある依頼だし、やりがいもあると思った」
「ただ自分のやり方は時に強引なところがあり、それゆえ行きすぎた局面もあった、そこは
反省している」などといったもの。

 

しかしスピーチの最後に出た爆弾発言。場内はひっくり返るような大騒ぎに。
実はここがこの映画の最大のポイント。ここにすべてが凝縮していますね。
ですが全体的に見て自分的にはこの映画、70点くらいですかね~?
減点の理由は、ヒロインの魅力度がイマイチなこと(^^;
ジェシカ・チャスティンは、多くの話題作に出ている売れっ子女優さんですが、
キツそうな美人でガッシリ体型、自分的にはあまり魅力を感じずマイナスポイントです(^^;
一般的アメリカ人ってこういう”強い肉食系女子”ってタイプが好きなんですかね?

『ぼくの名前はズッキーニ』観ました。

2018-10-26 16:00:00 | 劇場用アニメ

2016年:スイス+フランス。 監督:クロード・バラス。 セルBDにて視聴。

親のいない、または事情があって家族とともに暮らせない子どもたちを引き取り
面倒をみる、ある養護施設でのお話。

 
日がなビールを飲みテレビに悪態をつく母親。    ズッキーニはビールの空き缶を積み上げて遊ぶ。

イカール、というよりもいつも母親からズッキーニと呼ばれていたため、自分の
本来の名前はイカールではなく、ズッキーニなのだと堅く思いこんでいる少年が主人公。

 
事故で母親を死なせてしまったズッキーニ。     警察は事情調査の後、養護施設送りが相当と認定。

あるときズッキーニは、思いがけなく事故で自分の母親を死なせてしまう。
警察での事情聴取の結果、養護施設送りが妥当であると判断される。
そうして彼はファウンテン養護施設にやってきた。

 
彼は養護施設に身柄を送られる。          校長から皆に紹介される。

施設の中にはさまざまな境遇・個性の子どもたちがいた。
ボス風を吹かす子、気の弱い子、母親の迎えをひたすら待つ子、
両親ともにいない子。
慣れない環境のなかで、それでも次第に友だちもできて馴染んでいくズッキーニ。

 
ボス風を吹かすシモン。だが内心は淋しい。     叔母㊧に連れられて新らしく入所するカミーユ。

そんなある日、施設に新しい子どもがやってくる。
親戚のおばさんに連れられてやってきた、その子の名前はカミーユ。
一目みるなり、いっぺんに彼女が好きになってしまったズッキーニだが....。

職員はみな子どもたちに対して親切だし、ズッキーニ少年は、なかなか”当たり”の
場所に行けたのじゃないかな~と感じました。
理想はともかく、現実はなかなか愉快ならざる状況の施設の方が多いのでは、と
(ややネガティブ思考の自分など)考えてしまいます(^^;

中盤のストーリーの盛り上がりとしては、カミーユとカミーユの叔母との間に
発生した同居問題。
一度は養護施設に預けたのに「やはり自分が面倒をみたい」と申し出る。
これは彼の国では身寄りのない児童を預かると、政府から相当額の手当てが出るから。
しかしカミーユは、叔母が自分に対して愛情などまったく持っていないことを見抜き、
なんとか手当金が目当ての叔母との同居から逃れようと身を隠す。
ズッキーニやシモン、そして心ある大人たちの協力で、何とかカミーユは叔母から逃げ切る。
全体的にハートウォームな良い感じで本作のストーリーは流れます。
厳しい話ももちろん出るんですけど、現実のシビアさを考えるとやっぱりこれってだいぶ甘め
の話っすね。もちろんそれだけに観た後の印象は万人向けな、ハッピーエンド的な?

『犬ヶ島』観ました。

2018-10-23 16:00:00 | 劇場用アニメ

小林市長の演説会場に姿を現すアタリ少年と犬たち。

2018年・米20世紀フォックス。 監督:ウェス・アンダーソン。 セルBDにて視聴。
ウェス・アンダーソン監督のアニメ作品ということで期待して視聴。
『ファンタスティックMR.FOX』(2009)同様に面白かった....と言いたいところですが、
残念ながら、あれよりはちょっと落ちる感じですかね(^^;
でも彼の独特な個性が相変わらずに強く感じられて、観ていてとても面白かったのは確かです。

いまから20年後の日本。ここメガ崎市ではドッグ病が蔓延。
長年メガ崎市の市長をつとめてきた小林氏は、人間を感染から守るため犬を街から
排除する計画を進めていた。
現状でも片っぱしから野犬・飼犬を問わず捕まえてはゴミの島に移送していたが、
今回の市長選では対応を更にすすめて、捕まえた犬はすべて毒殺すると公約をぶち上げる。



なぜそこまで”犬”を拒絶するのか、映画を観ていてちょっと理解に苦しむのだけど....
どうやら市長のそんな過激な姿勢は、影から入れ知恵する者がいるためのようなのだが。
犬の排除が、その者の利権に繋がるらしい様子なのだ。

しかし市長の養子・アタリ少年。彼は飼い犬のスポッツを探して単独でゴミの島へ向かう。
小林市長とは違い、犬だいすきな彼は立場は市長と真逆。
とうぜん市長に対して批判的だ。
それはともかく、アタリ君は苦労のすえに愛犬スポッツと再会。同時に大勢の犬たちと共に
市民集会場に押しかけて抗議行動を行う。そして....。



<まあストーリーはさほど斬新ということでもないです。ただデイティールが独特で濃厚なので
それで魅せられてしまうパターンですね。
それだけに人によってこの作品には好き嫌いがありそうですね。
自分は面白いと感じましたが....。全編に妙な日本テイストが横溢しています。
アンダーソン監督(外人)から見たニッポンなのでしょうが、
なかなか奇妙な面白さを感じるのは確かですね(^^;

『ハンズ・オブ・ストーン』観ました。

2018-10-20 16:00:00 | 洋画


2016年:パナマ・アメリカ。 監督:ジョナタン・ヤクボウィッツ。 WOWOWからの録画。
ボクシング映画です。ボクシング映画には良作が多いと思うんですが、
今回の作品は「あれ?」と感じてしまいました。
なんというか、全体にそつなく纏まってはいるんだけどね....という感じ。
実話をベースにしているようで、そういう意味では実在のプロボクサー、
ロベルト・デュラン氏の伝記映画とも言えそうです。

パナマ市の片隅のスラム街に、えらく喧嘩の強い少年がいた。
彼は金を賭け、自分よりも大きな相手と路上ファイトをする。そして必ず勝つ。
そんな彼に大きな素質を見出し、何とかチャンピオンに育てようと考えたジムのオーナー。
少し勝ち進んだところでオーナーは超一流のトレーナーを口説いて連れてくる。
米国人のレイ・アーセルがその男だ。
何しろ20人ものチャンピオンを育てたというのだから本当のホンモノだ。
彼と組んだデュランは連戦連勝を重ねていき世界チャンピオンになり、
次第にパナマ国民から英雄視されるようになっていく。

私生活では偶然街で見かけた超美人のフェリシダードに一目ぼれ。
はじめは住む世界が違うと本気にされなかったが、猛プッシュの甲斐あってとうとう恋仲に。
何人もの子どもにも恵まれて順調な人生かに見えたが....。

王者デュランに挑戦するのはシュガー・レイ・レナード。
実力も相当なものだが、それ以上に頭脳的な作戦でデュランに
さまざまに揺さぶりをかけてくる。
試合はデュランが勝利するが、すぐさまリターンマッチを申し出るシュガー。
受けるつもりはなかったデュランだが、800万ドルという賞金額を知るや
周囲の人間たちが色めきたち、無理やり再試合が決定してしまう。
もともと気が進まないうえに、試合中にプライドを傷つけられる言動を受けて
試合放棄してしまうデュラン。
誰も彼の気持ちに気づこうとしない。
ヤツは怖じ気づいたとしか受け取られない。

そして試合放棄してしまった事実は重い。
興行主(マフィア)に盾つくことを意味するからだ。
もはや相手にしてくれる人間はおらず、ボクサーとしては終わっも同然だ。
こうしてデュランは過去の人となり、僅かにその名を知る子どもからも
小馬鹿にされるようなありさまだ。
だがいつまでも彼の気持ちは沈んだままではいなかった。

 
デビー・ムーアとの顔合わせ。序盤はデビーがリードする。

相当な年月の経過後、再起を決意するデュラン。
長いブランクがあるとはいえ、彼の栄光ある名前はまだ世間に忘れられてはいない。
だが話に乗ってくる興行主は、やはりいない。
いまは引退しているが、彼の元トレーナー、レイ・アーセルはこうした状況をみて
友情のために一肌脱ぐことにする。
レイは知っている興行主のもとに出向き、いま若く実力のあるデビー・ムーアとの
組み合わせを提案する。実際デビーは強すぎて戦おうという相手がいないのだった。
そこに対戦相手として知名度のあるロベルト・デュランを組めば多くの客を呼べるだろう。
確かにそれなら儲かりそうだと興行主も結局は折れ、試合が行われることになる。
ふたをあけてみるとレイの目論見は大当たり。チケットの売れ行きは上々で興行主も上機嫌だ。

 
ラウンドが進むにつれ、ロベルトがデビーを圧倒する流れに。結末は?

かつて『レイジング・ブル』で壮絶なまでのボクシング劇を体現してみせたデ・ニーロ。
ここでは(年齢的に)流石にボクサーではなく、脇のトレーナー役として出ています。
ただ映画は全体的に平坦な流れで、適当に時間つぶしになればいいという人以外には、
あまり薦められないかもしれません。

『冬の小鳥』観ました。

2018-10-17 16:00:00 | アジア映画

友だちのスッキが去り、気落ちするジニ。いっそ自らを埋めようとするが。

2006年:韓国・フランス。 監督:ウニー・ルコント。 WOWOWからの録画。
本作の監督、ウニー・ルコントという名前を聞いて、真っ先に思い浮かべたのは、
あの仏映画『髪結いの亭主』のパトリック・ルコント監督のことでした。
ひょっとして父娘ともに監督業やってる??とかじゃなくて、実はまるっきりの赤の他人なのでした(^^;
ウニーは幼いころフランス人夫婦に養女として引き取られ育てられています。
つまりこれは監督の半生とあるていど重なる部分のある、自叙伝的な映画だと思われます。

 
父親に連れられてジニは養護施設に。        新入りに対して周りの子どもたちも興味津々。

父親に連れられて小さなジニは養護施設に。すぐまた迎えに来るから、といい聞かされるが
その約束が果たされることはなかった。
経済事情もあったかもしれないが、後妻とその連れ子に父親が遠慮したというのが本当のようだ。
このあと一家はすぐに転居。ジニが父親と再会することは二度となかった。
この父親役がいかにも生活力の無さそうな、それでいて結構ハンサムなのには笑えました(^^;
まあこの人も仕事(演技)でやってるんだしね~とか思って観てましたが。

 
周りと打解けようとしないジニ。          甘えるなとジニを叱るスッキ。

いつまでも父親を待つジニ。周りの子どもたちや世話役の大人たちとも打解けようとしない。
そんな彼女を少し年上のスッキが叱る。わがままも程々にしなさい。
子どもたちには皆それぞれの事情を抱えている。あんただけが辛いんじゃない。
スッキは何かにつけてジニを気にかけてくれる。
だんだんジニはスッキをお姉ちゃんと思うようになる。

 
養子希望の米人夫婦に、スッキは猛アピール。    養子に選ばれスッキは米国へ。

ときおりアジア人の養子を欲しがる夫婦が施設を訪れる。今回も米国人夫婦がやってきた。
スッキは彼らに猛アピール。知っている英語を全部しゃべってみせ、笑顔で夫婦の関心をひく。
生きていくためには積極性が大事だと信じているかのようだ。
その甲斐あってスッキは夫婦の気持ちを捉え、めでたく養子縁組がなる。
だがそうなるとジニはまたひとりぽっちだ。

  
雨の日の施設。暗欝な気持ちのジニ。        彼女は施設裏の林に向かう。

雨の日の施設。暗欝な気持ちのジニ。大好きなスッキはもうここにはいない。
いっそ死んでしまいたいと思い、施設裏の林に向かう。
彼女は自分で自分の身体に土をかけ、埋めようとするが....。

数年以上まえに録画して、そのまま塩漬けになっていたんですが、
なかなか深みのある良い映画でした。
WOWOWで彼女の第二作『めぐりあう日』が放映されました。
録画したので、そのうちに観ようと思います。