星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

講演会 「愛之助」とわたし(1)

2008-05-18 | AINOSUKEさん

当たった・・・♪(感涙)
こういうのってずうっと縁がなかったのに、今回はまさかのミラクルショット。
幸運を手にした一人としてほんの少しだけですがレポしてみます。
愛之助さん一流の笑わせ言葉は今回も絶好調で、間とか、言い回しが伝えられ
ないのがザンネン。ナントカ雰囲気が伝わればいいなと思いますが。
講演会場は2階の展示会場の真ん中に作られ、入り口を入った奥の正面に講師
と聞き手がすわり、聴衆はそちらに向かって1番から100番まで番号がふられた
椅子にすわる形。スロープがないため、講師が着席してしまうと後方席にいた
私からは顔が半分位しか見えず。体と首をひねっていたので疲れ気味(涙)。
なお、思い出しながら書きましたので言葉はその通りではありませんし、間違
いもあるかと思います。そこんとこよろしくお願いします。



片岡愛之助の代々 講演会
テーマ:「愛之助」とわたし
日時  2008年 5月17日(土) 14:00~15:45
会場  (財)阪急学園 池田文庫

講師:歌舞伎俳優 六代目片岡愛之助丈
聞き手:荻田清(梅花女子大学教授・阪急学園池田文庫理事)


荻田教授のお話によれば、応募は北海道から福岡県まで。
厳正な抽選の結果、福島県から福岡県までの人たちが選ばれたとのことでした。
司会者の女性から講師の紹介があり、いよいよご本人が入場。
展示会場の入り口から現れたのは、映画「Beauty」の舞台挨拶で見た通りのあの
坊主頭にホワイトシャツ、グレーのスーツ姿の愛之助さんでした。
(ナ、ナマ坊主頭やぁ~。う、うう、イケテルやん・・・)
目尻を下げた柔らかい笑顔で何度も会釈をしながら通路を前へ。
今日はお集り頂きありがとうございます、と私たちにも教授にもおじぎして着席。
しばらくは客席にいる人たちの顔を見渡しているというふうでした。
以下、印象に(記憶に)残っているお話だけ。

●映画のロケの話
皆さんがよく知っている話は省きましょう、と教授が切り出したのは髪型のこと。
愛之助さん、つい先日まで『私は貝になりたい』のロケに参加してたんですね。
カンカン照りの中で撮影したそうで、「元々色は白いほうじゃないんですけど日
焼けしました」とのこと。うん、たしかにクロいです(苦笑)。
「私が演じるのは日高大尉という、すごく悪い役です。『Beauty』もそうですが、
これも戦争映画で、ここまで坊主にされたのは小学校以来ですね。私が参加した
時はもう撮影が始まっていて、小学校の体育館に出演者が集まっているところへ
入っていくんですね。<散髪>と書いてある場所に椅子があって、行ったらいき
なりバァッとバリカンを入れられました。見せ物のような状態でしたね」。
愛之助さん、話の流れで、大尉がどうなるのかをついしゃべってしまい、「言っ
てしまいましたね」とボソッと(笑)。ネタバレなのでこれ以上は書きませんが、
その役の事を「イッちゃってますから」とも表現してました。(ゾクゾク。)
映画は11月22日、いい夫婦の日に公開されるとのこと。「ぜひ見に来てください」。

●悪役について
映画だけじゃなく、最近は舞台のほうでも実悪系を演じることが多くなったので
は? というような教授の質問から、自分が演じてきた役の話へ。
愛之助さん、上方の役者は最初は女形から入るという話から、子供時代の話に。
「子供時代は松之亟さんに顔をしてもらってたんですが、顔を思いっきりパンパン
パンッてするので僕、鼻血を出したことがあるんです。白いお化粧なのに顔がみる
みるピンクになるんですよ。あら、どうしたの?って言われましたけど。どうした
のって鼻血じゃないですか!」
「初めて悪役を演じたのは『平成若衆歌舞伎』でしたね。最初はどうやればいいか
わからなかった」と、会場に展示中の若衆歌舞伎のポスターに目をやりながら話す
愛之助さん。(※4枚のポスターはそれぞれ凄みがあったり華麗だったり、インパ
クトあるデザインで、どれも愛之助さんの写真かイラストをメインに使用。)
「これは上方歌舞伎塾の卒塾生といっしょにやった芝居で、僕は彼らと同期みたい
なもんだと思ってます。その第1回で演出を父がやって、その助手を僕がやって、
非常に勉強になりました。女形から立役まで全部の役を実際に演じて見せることの
できる父を凄いなあと思いましたね。今はちょっとお休みしてますが若衆歌舞伎、
またやりたいですね」。

●最近やった役について
『郭文章吉田屋』の太鼓持ちについて。
「父には太鼓持ちになってないと言われました。本物の太鼓持ちを見たことがないの
で一度見て勉強したいと思ってます。何回かやってるんですけど、ああいう役は難し
いんですね。体の中からにじみ出るものがないとだめなんですよ」。

●TV番組「週末の探検家」
いろんな事にチャレンジする愛之助さんの新しい仕事、朝日放送の番組について尋ね
ると、「週末のエクスプローラ-、週末の探検家という番組ですね。ウルルン滞在記
の日本版みたいな感じです」と。
体験先は紙芝居。
「僕、紙芝居って見たことないんですよ」との発言に会場、エエエーーーッ???
「学校でやるようなのしか見たことなくて。そしたら、そのおじいさん、アホたれ!
そんなん紙芝居と違うわいって。」NG発言続出の会話でハラハラしたとか(笑)。
「紙芝居道っていうものを感じました。おじいさんは紙芝居を通じて子供たちの教育
もしてるんですね。関西では電車に乗る時とかなしくずしになるじゃないですか。笑。
おじいさんが行くと子供たちは一列に並ぶんですよ。水飴を買うのに。学校でイジメ
られないようにハッキリ声を出させたりとかね」。
なお、番組の放送は5月24日。17日に予告映像が流れました。

●8月の「永楽館」公演(8/1~5)について
「演目は操三番叟ですね。翁を父の秀太郎が、千歳の役を勘雀さんのご子息の壱太郎
さんが。そして僕が三番叟をやらせて頂きます。あとは口上と奴道成寺です。奴道成
寺は大曲ですから。去年はこんぴら歌舞伎で男女道成寺をやらせて頂きましたが、最
初はへんに力が入りましたね。体が慣れてくるとムダな力が抜けてくるんですが。年
末に南座で山城屋のおじさんがされたのは押し戻しまでありましたから、ほんとに凄
いことだと思います。若い者でも体力的に大変な演目ですから」。
「永楽館、皆さん、ぜひいらしてくださいね」。

●モデルさんとの仕事
雑誌『BRIO』でのカバー撮影と対談の記事について。
「あれは皆さんおわかりかと思いますが、うまく撮られてるんですね。
(カバーは二人並んだ上半身。記事写真は足元がトリミングされていて見えない。)
あちらはモデルさんですから背が高いんです。行ってみたら僕のほうに台が用意して
あったんですよ。(会場、大爆笑!)屈辱的でしたね。できあがりを見たらちゃんと
なってたんでよかったんですけど」。

●楳茂都流家元後継者について
「ご縁があったということでしょうか。楳茂都流というのは宝塚やOSK、歌舞伎の振付
もしてたんですね。機会があれば歌舞伎の舞台でも披露したいと思います。家元襲名
についてはまだです。僕の体の中に染み込んでからでないとと思っていますから。そ
れまでは修行の身ですね」。

●今までの人生は幸運?
少し前の会話でこんなふうに愛之助さんは話していました。
「父に声をかけてもらって十三代目仁左衛門の部屋子にして頂き、松嶋屋に入ったこ
とが大きな転機、人生を左右する出来事でしたね。皆さんに温かく受け入れて頂いた
ことに本当に感謝しています」。
荻田教授、こんどはこんなことを。「言葉はよくないですが、今までの愛之助さんの
人生はラッキーだったということになりますか?」
その質問にオウム返しに答えず、神妙な様子の愛之助さん。
「僕、お芝居をしてなかったら何をしていたんだろうと思いますね。ほかに何もでき
ないですから」としみじみした表情。
「今の自分があるのも、この代々続く愛之助という名前があるからだと思いますね。
ラッキーという思いはたしかにありますが、ラッキーというよりビックリしている状
態ですね。大きなお役を頂くたびにそんな役ができるんだろうか、と。そのたびにい
ろんな人に助けられてますね。とにかく毎月毎月、完全にやることはムリでも、でき
るだけ100%に近づくように精一杯やるだけです」。

●10年の挑戦について
「30歳の頃に10年間はいろんな事に挑戦すると言ってましたが、あと4年かぁ。足り
ないですね。35歳から10年間にします!いろんな事をやって頭を打ったり、失敗した
りするのも勉強だと思いますから」。

●上方発信と今後の役
「大阪で生まれ、育ったわけですから、やはり上方から発信したいですね。ただそれ
は僕だけがするというわけではありませんので。
主役、脇役に限らず、どんな役もやっていきたいです。どんな役も勉強になりますか
ら、楽しんでやっていきたいと思います」。


客席からの質問タイムもかなり長くて、そのたびに質問者の顔をじっと見ながら一つ
一つに丁寧に答える様子が愛之助さんらしいと思いました。
それから、質問が終わった後に例の映画『歌舞伎役者 片岡仁左衛門』の宣伝をした
後、もう一つ、と付け加えたことが。
「今日は僕の父が来てくれてますので」と秀太郎さんを紹介し「どんなに忙しくても
来てくれるんですね。こんなありがたいことはありません」と。
秀太郎さんにはひときわ大きな拍手が起こりました。

質問タイムについては思い出したものがあれば追記しようと思います。
「御いのち」の紹介もそちらでありました。
忘れないうちに一気に書いたので、ここまででひとまずアップ。

それから。
くりくり坊主頭を講演会の間じゅう見てましたが、サラサラ、フワフワの髪型とは違
うし、ましてや道成寺の所化さんでもなく、素顔の愛之助さんの端正な顔立ちがその
ままクローズアップされてしまうんですね。
初めて見るその眺めはホントに「いい景色だねえ♪」でございました。


講演会 「愛之助」とわたし(2)(このブログ内の関連記事)
池田文庫「片岡愛之助の代々」に行ってきました(このブログ内の関連記事)
映画「歌舞伎役者 片岡仁左衛門」が大阪で!(このブログ内の関連記事)

コメント (16)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 映画「歌舞伎役者 片岡仁左衛... | トップ | 講演会 「愛之助」とわたし ... »
最新の画像もっと見る

16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
OH!ミラクル!! (桜吹雪)
2008-05-18 14:49:01
ものすごい確率だったんでしょうね。よかったですねぇ。
よく知られたエピソードが省かれたせいか、より深いお話しが出たようですね。
坊主頭にされた時のお話はちょっとびっくり!
しみじみ感傷に浸る間もなくバッサリやられたんですね。
BRIOの踏み台事件も男の子には屈辱ですよね。でも愛之助さんには悪いですけど私も受けちゃいました。
とっても楽しいレポありがとうございました~。
返信する
楽しんで頂ければ♪ (ムンパリ)
2008-05-18 21:35:30
桜吹雪さん、お読み頂きありがとうございます。
今回は704名中の100名なのでホントにミラクルでした。坊主頭の話も、BRIOの話も、話し方がすっごく可笑しかったんですよ!
先日の歌舞伎教室といい、今回といい、お話し上手の愛之助さんにまたまたヤラれてしまいました♪
お話は他にもあったし、質問編もイロイロあったんですが、なにぶん記憶が薄れてしまって(泣)。
返信する
レポートありがとうございます (くすのき)
2008-05-18 23:49:01
応募ハガキを出して落ちた604人のうちの1人です。。。
ムンパリさん、おめでとうございます。

最近の愛之助を見ていると、これからの松嶋屋を
背負っていかれる人なのだなあと思うことが多いです。
興味深いレポートをありがとうございました。
返信する
良かったですね (とみ)
2008-05-19 01:03:17
>ムンパリさま
全部は読めていませんが(`´)ノ☆(((*;・)ゴメンナサイ熱気は伝わりました。志も実力もある方なので,ブレイクが期待されます。特に今年はよさげなお役ばかり,タノシミですね。名古屋は行った方がよいでしょうか。南座は行きます。
返信する
ありがとうございます♪ (ムンパリ)
2008-05-19 02:02:03
くすのきさん、そうですか、今年も出されましたか。
去年はトークサロンのご報告をありがとうございました。
今回は私に順番が回ってきたみたいですね。
愛之助さんはユーモアある語り口でなごやかにお話しして
くださってますが、その奥に謙虚で真摯な眼差しがあるの
がよくわかるので今後が楽しみです。
返信する
ありがとうございます♪ (ムンパリ)
2008-05-19 02:05:58
とみさん、なにぶん気持ち先行の長文ゆえ、おゆるしを(笑)。
今年は新派等の外部出演が多いようですので、個人的には
歌舞伎の舞台数を増やしてほしいなと思います。
名古屋も歌舞伎じゃないですからお好みに合わせて(笑)。
9月の南座はよさそうですよね。
返信する
レポートありがとうございます (とみた)
2008-05-19 12:11:38
松之丞さんの「あら、どうしたの」に受けました。松之丞さんは映画の中でもそんな感じでしたね。

三月の太鼓持ちは太鼓持ちになっていなかったって、私もわかりませんでした。

4月5月は愛之助さんを見られなかったので御園座が楽しみです。
返信する
おめでとう&ありがとう! (しろう)
2008-05-19 22:48:02
ムンパリさん!さすが愛の力ですね~(笑)
おかげさまでおこぼれに預かり、レポを楽しませていただきました。
う~ん、あの笑顔が目に浮かぶようです。。
それにしても、さすが本場ですね。
愛之助さんをはじめ松嶋屋さん関連の催事があちこちでいっぱい~。
いっそ大阪に住みたいわぁ。

『BRIO』のエピソード、申し訳ないけどウケちゃいました。
ところで、あちらの彼はそんな目に遭ってないですよね?(笑)
でも今のドラマの彼女相手だったら、マズかったかも~(爆)
返信する
ありがとうございます♪ (ムンパリ)
2008-05-19 23:25:21
とみたさん、お久しぶりです。今回もお読み頂きありがとうございます。
「あら、どうしたの?」ってナンカいいですよね(笑)。
実は松之亟さんのお名前の字が間違っていて、それを調べていたら松之亟さんがゲスト出演される21日のトークショーを発見! リンク先の関さんの挨拶文にあります『海老蔵そして團十郎』の中の美しいお話、私も拝読しましたがキュンとなりました。
http://www.ym-fashion.co.jp/gallery/forum.html
では、6月の御園座も楽しみましょうね!
返信する
順番です♪ (ムンパリ)
2008-05-19 23:37:15
しろうさん、どうもありがとう!
今までぜんぜん運がなかったので当選したのはやっぱり順番ですね、きっと(笑)。
上方歌舞伎に関わる催しは関西が多いと思いますが、映画は東京が有利だし、トークはけっこう他の地域でもやってますよ。こまめにチェックすればそちらのエリアでも何かあるかも♪
ドラマの場合、身長のバランスを考えて配役を決めるんでしょうね。ドラマでは台を置くなんてできませんもんね。え?今回はヤバイ?(笑)
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

AINOSUKEさん」カテゴリの最新記事