星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

第五回 浪花花形歌舞伎 第三部

2008-04-12 | 観劇メモ(伝統芸能系)

公演名    浪花花形歌舞伎
劇場     大阪松竹座
観劇日    2008年4月9日(水)
座席     3階3列



第三部
於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)
  お染の七役


序 幕   第一場 柳島妙見の場
      第二場 橋本座敷の場
      第三場 小梅莨屋の場
二幕目   第一場 瓦町油屋の場
      第二場 同 座敷の場
      第三場 同 土蔵の場

油屋娘お染・丁稚久松・許嫁お光・後家貞昌・奥女中竹川・
芸者小糸・土手のお六:扇雀
山家屋清兵衛:翫雀  油屋太郎七:亀鶴  髪結亀吉:壱太郎
鈴木弥忠太:薪車  百姓久作:竹三郎  油屋多三郎:孝太郎
鬼門の喜兵衛:愛之助


家宝の刀を紛失した罪で父が切腹させられた仇を取る為に、その短刀を探索しよ
うと久松と姉の竹川は、それぞれ質屋と千葉家の奥女中として奉公していた。
久松にはお光という許嫁がいたが、奉行先の娘のお染と恋に落ちてしまう。
一方、竹川はかつて召使だったお六に宝刀を取り戻す為に金の工面を頼むが、実
は宝刀を盗んだのは、悪臣・弥忠太の命を受けたお六の亭主・喜兵衛だった。
喜兵衛はそれをお染の家に質入れして金を使い込んでいた為、その金を調達すべ
くお六と共に質屋を強請るが失敗。
その後、宝刀を盗み出そうとした喜兵衛を斬り、探し求めていた刀を手に入れた
久松は、お染のもとへと去ってゆく。


9日夜、仕事帰りに第三部だけ立ち寄った。
今年は千秋楽だけにしようと思っていたのだけど、出来心で行ってみてよかった。
これを1回だけの観劇にしてたら、後悔してたなー、きっと。
お姫様から丁稚の役まで七役を演じる扇雀さん。早変わり。ほぼ同時に出ないと
いけない役の時なんてハラハラしたり、また出たーと思ったり(笑)、次はどこ
かなと予測してみたり。
平日だというのに「成駒屋ーっ」の声が景気よく飛んでいた。
去年の浪花花形のお辰もよかったし、扇雀さんはお姫様系よりも侠気の入った役
とか傾城とかの役のほうが断然お似合いだと思う。
愛之助さんの鬼門の喜兵衛と組む、土手のお六。この夫婦の場面が特によかった。
家の中で、あるいはゆすりに行った先で、二人が醸す空気が独特で、生活感の中
に色気が漂っていて、すごくいい。

その鬼門の喜兵衛。
1回しか見てないし、贔屓目かもしれない、と書くのを躊躇ってたわけですが、
スキップさんの感想を読ませて頂いて「自信が確信に変わりました」。(←この
フレーズ、ふるっ!! スキップさん、ありがとうございます。)
ダメじゃん、私。思ったことは正直に書こうね。
愛之助さんの鬼門の喜兵衛、かなりイイです♪
もし迷っている人はあと2回しかないですから、躊躇せず観に行きましょう♪
花道の出で、あの凄みの効いた顔が振り返った瞬間から私は目が釘付け。
コワイのにウツクシーッ!
江戸弁は外国語とご本人は言っていたけれど、なかなかどうして。
TVの『夜桜お染』の音次や、浅草で演じた与三郎でも証明済みだと思うけれど、
上方言葉と愛敬を封印した愛之助さん、にじみ出るのは冷たさの混じった色気。
これに不気味な凄みと超ワルさと大きさを足した鬼門の喜兵衛という役、いっ
たい何度ゾクゾクしたことか。
声の使い方にもメリハリがあるから飽きない。3階にいてもお腹に響いてきそ
うな低音の声。ゆっくりとかすかな節をつけて脅す時の味わいある声。怒った
時の迫力ある太い声。
イチイチ裾を手で割ってすわる仕草や、剃刀を口に銜えてから砥石で研ぐ格好。
団七、与三郎に続くおみあし披露まで♪

千秋楽の第三部、前方席を取ってよかった。
今回書けなかった役者さんのことや、3階席から見えなかった細かい表情など、
発見があればこの次に。


「浪花花形歌舞伎」千穐楽通し観劇とダブルオフ♪(このブログ内の関連記事)
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6 コメント

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侠気と色気と殺気 (スキップ)
2008-04-12 05:57:32
ムンパリさま
ほんとにステキでしたね~、愛之助さんの鬼門の喜兵衛。
悪役の凄味と男気と色気もあって、ホレボレしました。
私の感想はいつもとても主観的なものですが、それが
ムンパリさんのこのステキな記事のエントリのきっかけ
になったのは光栄です(笑)。
ほんと、観るのは1回だけ、っていうのは勿体ないですね。
もっと言うなら、浪花花形の短い公演期間だけっていうのも
勿体ない。近い将来、松竹座や南座の本舞台で見せていただきたいですね。
返信する
ありがとうございます!! (ムンパリ)
2008-04-12 07:44:37
スキップさん、勝手にお名前を出してしまってすみません。本当にありがとうございます!!おかげさまでこの通り。よかったです、思っていることがちゃんと書けて(笑)。
楽しみにしていた浪花花形歌舞伎、今年は思うところがあって観劇を自粛していたのですが、こういう役を見せて頂けるとその素敵さを伝えたくなりますね。花形歌舞伎だけではもったいないといつも思います。
スキップさんと13日お目にかかれるのを楽しみにしております。
返信する
Unknown (lemoned-ray)
2008-04-13 01:42:27
剃刀を研いでから棺桶(?)に乗って見得→幕、までのくだりは、セリフは一つしかなかったにも関わらず、劇中最も引き込まれるシーンでした。私も素晴らしかったと思います。
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ようこそ♪ (ムンパリ)
2008-04-13 01:55:32
lemoned-rayさん、はじめまして。
鬼門の喜兵衛、よかったですね。
あの部分は台詞は一つしかなかったのですか? 全然気がつきませんでした。そうそう、順番は忘れましたが、棺桶にすわりこんだり、土蔵の壁を割って出て来たり、人を蹴倒したり。喜兵衛ってかなり荒っぽいヤツですね。
それなのに色っぽさがあるところがフシギなんですよね。千秋楽でもう一度堪能したいと思います。
返信する
昨日はありがとうございました。 (とみ(風知草))
2008-04-14 20:01:27
>ムンパリさま
三部を拝見しないで失礼をお許しくださいませ。愛之助丈は,骨太の素敵なワルがお似合いとかねがね思っております。大阪の子らしくテイストもこってりめ。応援しますっ。今年の浪花花形は,吉弥丈が出ておられないこと以外,万歳でございました。
返信する
ありがとうございました2 (ムンパリ)
2008-04-15 02:23:56
とみさん、こちらこそありがとうございました。千秋楽は劇場の外も楽しかったです♪
やはり愛之助さんはチョイワルではなく、骨太ワルですねー。とみさんにはぜひ三部のおみあしをしっかり見て頂きたかったです(笑)。
吉弥さん、私はひと足お先に今週末お会いしてまいります~。
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