『また妻と暮らしたい』
少し昔。
あるところに、愛し合う老夫婦がいた。
人がうらやむほどの仲の良い夫婦だった。
いつも手をつないで歩いているほどだった。
ある日。
妻が病気になった。
治らぬ重い病気だった。
夫は妻を思い、行事でしか祈らなかった神に願った。
「また妻と一緒に暮らさせてください」
夫の願いが通じたのか、夫も妻と同じ病気になった。
二人は同じ病室に入れることになった。
二人は、検査へも手をつないで行った。
二人は、最期まで共に暮らしたということだ。
解説:
たまにこういうのを書くんですね。
短編というにも短い小説。
掌編と言っていいんですかね。
学生時代に、アメリカの『サドン・フィクション』という、こういう短い小説を集めた本を読んでから、時々。
いや、待てよ・・・。
中学時代にも、こんなのを書いていたなぁ。
レポート用紙一枚小説として。
いつか、シナリオに使えるんじゃないかって、スケベ心もあったりして。
『欲望の翼』の“足のない鳥”の話みたいにさ。