福田元美のブログ

イラストや文章を書いてます。
お仕事のことや、日常のことなどをまとめてます。

手紙を書くこと。

2020年03月26日 | 日記
直接誰かと会う機会が激減している今、
電話は無駄なことを話してしまうし、
電子メールは流れ星のように一気に駆け抜けて行ってしまう。
どちらもお互いの記憶に残るし、親交は深まる。
では手紙はどうでしょう。
手紙はとにかく時間がかかる。
便箋を選び、あるいははがきを選び、さらにはペンを選ぶ。
普段使っているボールペンはやめにして、万年筆にしてみたりする。
すると選んだ紙との相性が悪くにじんだり、かすれたり、速度が遅かったりでうんざりする。
結局いつものボールペンに変えて書き直し。
何度も書き直して便箋を何枚も無駄にし(大きな余白は切ってメモとして使う)、
あるいは書きまくりすぎて新しい一筆箋1冊を使い切りそんなに書くなら便箋にすればよかったとあとの祭、
そうして最後に日付と名前を書いて封筒に入れる。
封をしてマスキングテープやシールを貼る。
宛名を書いて自分の住所の判子を押す。
全体の重さを計って25グラム超えてないか確認。
記念切手を選んで貼る。季節や土地柄、相手の趣味を考慮して。
曲がらないように貼るけどだいたい曲がっている。



それで手紙は完成。
でもそれだけでは相手に届かない。
外へ出て、ポストへ向かう。
そして投函。
郵便やさんに集荷され、仕分けされ、運ばれてまた仕分けされ、ようやく配達される。
届いた手紙は相手の手に渡り、封を切られてようやく読まれる。
急いでいる時は流し読みしたのち再度じっくり読まれ、時間がある時はコーヒーをいれてからゆっくりと読まれる。
または嬉しくて玄関で立ち読み、なんてことも。
そこまででかなりの時間を要しているが、でもまだ一方通行。
同じようなプロセスをふんで返事が返ってくる。
貼られた切手に一喜一憂、マスキングテープを剥がして手帳の今日のページに貼り付ける。
一緒にドリップコーヒーが同封されていたりしたらすぐに頂いて返事に感想などを書く。
文字の乱れから相手の調子の悪さを感じ取ったり、
文字の大きさでコンディションがわかったり、
活字では伝わらないわずかなサインを感じたりするのも手紙のよさ、だ。
調子が悪い時は文字を書くのもやっとだ。
相手の住所は書かなければ届かないから書くが、自分の住所を書くのは億劫、というくらいしんどい時もある。
それでも大切なことだから手紙で伝えたい、と手紙を書く。
電話では照れ臭くて言えないことも、メールだと気持ちが伝えきれないことも、
手紙なら伝えることが出来る。
時間をかけた分、そして人によって運ばれるからこそのありがたみ、重み、思いの深さ、
それが手紙のよさだと思う。

人と人が直接会わなくてもいいように時代が変わって行ってしまうような流れを感じる今、
そんな今こそ手紙という存在が大きな力を発揮するのではないだろうか、とふと思う。
それでも多分書かない人は書かないし、必要ない人は無くても生きていける。
でも少しでも手紙が届く嬉しさを知っているのなら、誰かに手紙を書いてみてはいかがでしょうか。
立派なレターセットが無くても大丈夫。
チラシの裏でまったく問題なし。
封筒が無くても大丈夫。ちょっとした紙に包んで閉じるだけで送れます。
もちろん、相手を思ってレターセットやポストカードを選ぶたのしさもあります。
手紙は84円切手、はがきには63円切手を。
料金が不足している時には戻って来ますので差額分を貼って再度投函してください。
自分の住所もしっかり書いて、相手の名前はとりわけ丁寧に。


気にしすぎは体に毒です。
でも何もしないのはベストではありません。
最低限出来ることはする。
そして自己免疫力を高めるような暮らし方をそれぞれがする。
自分を守り相手を傷つけないように。

想像力を豊かに。
どうぞすこやかにお過ごしください。