水の丘交通公園

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名古屋鉄道 8800系「パノラマDX(デラックス)」

2007-09-08 09:41:05 | 電車図鑑・私鉄電車(中部)
昭和59年に犬山、内海などへの観光輸送を目的として登場した
特急用電車である。

登場時は2連で後に中間車を挟んで3連になった。

それまで、赤一色だった名鉄の電車の中でアイボリーのボディに
赤帯を巻いて車体の下の部分をグレーに塗った大胆な塗装で目を引いた。
展望席をパノラマカーとは逆に、運転台を低くして客席を上にした構造を
日本で初めて採用した。
この構造は後に登場するJRのジョイフルトレインや私鉄のリゾート列車などに
大きな影響を与えた。
展望席の座席は固定クロスシートである。
先頭車の平屋部分の客席はセミコンパートメントになっており、
4人用のボックスタイプと2人用の回転クロスシート(一部はリクライニングシート)と
なっている。
中間車は、やはり、コンパートメントがあり、更にラウンジも設けられていたが、
平成4年に津島線・西尾線特急に転用された際に団体用に残された
1本を除いて跳ね上げ式フットレスト付きの回転リクライニングシートに
改造されている。

これらの設備や外観デザインが評価され、昭和60年度の
鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞している。

走行機器はパノラマカーの廃車発生品を利用しており、パノラマカーは
もちろん、旧型車とも連結が可能であった。

登場時は、そのデラックスな車内から「デラックス特急」に充当され、
パノラマカー使用の座席指定席特急より格上の扱いをされていた。
主に新鵜沼~内海間の特急に用いられ、指定席料金は一乗車500円であった。
しかし、平成4年に西尾線~津島線特急に転用されることになり、
この別格扱いは無くなった。

その後は平成12年の東海豪雨により1本を冠水させた以外(後に復旧)は
大過なく、運用に就いていたが、特別仕様の車内が災いし、一般利用客の
評判も芳しくなく、走行機器も先述の通り、パノラマカーと同じということもあって、
最高速度が110km/hまでと性能上の問題も抱えたことから、平成17年に
「ミュースカイ」2000系、2200系電車の大量投入によって廃車となった。
全車が解体されたが、モ8803の先頭部分(展望室周り)は保存された。

えちぜん鉄道 MC5000形

2007-09-07 21:14:01 | 電車図鑑・ローカル私鉄&第三セクター
えちぜん鉄道の前身の京福電鉄福井支社が平成11年に導入した車両である。

京福電鉄福井支社では、90年代末期、鉄道線の慢性的な赤字経営が続いており、
路線の存廃も協議されるようになっており、新車の購入もままならず、
阪神電鉄などの中古車を譲り受けていた。
しかし、それでは利用客離れが食い止められないと考えて、
沿線自治体から補助金を募って、新造車を作ることになり、
この車両が登場した。

ドアは片開きで3箇所、窓は一段下降式になっている。
前頭部は、「くの字型」に飛び出した形状で、正面に4箇所、ヘッドライトがある。
車内はロングシートで、ドア周辺と乗務員室後方にワンマン関連機器が
装備されている。
また、鉄道車両としては珍しく、バスなどで見られる「とまります」ボタンが
設置されている。
冷房装置や走行関係の主要な機器は、同時期に廃車になった
豊橋鉄道で使用していたものを流用している。
そのため、見かけの軽快さのわりに、かなり、重々しい
乗り心地がする。

2両が製造され、平成12年1月から営業に就いたが、翌年6月に5002号が
正面衝突事故に遭い、正面を大破して、新製後、僅か1年半で廃車になった。
京福電鉄福井支社自身も、この事故を契機に鉄道事業の撤退することになる。

その後、永平寺線(東古市(→今の永平寺口)~永平寺間)を除いた
区間の営業を第三セクターのえちぜん鉄道が引き継ぐことになり、
残った1両(5001号)は、そのまま引き継がれた。
えちぜん鉄道への引継ぎにあたっては、塗装の変更とATSの設置程度で、
大きな改造は受けていない。

平成18年にリチウムイオン電池による走行実験を行った。

基本的に6000・6100系と共通で運行されており、三国芦原線、勝山永平寺線
どちらにも乗り入れるため、なかなか見つけづらい車両である。
なお、余談ではあるが、同じ福井市内を走る、福井鉄道の600形電車・610形電車
車体こそ異なるが、台車やモーターなど、走行関連の機器は
同じ部品を使っている。

名古屋鉄道 7700系電車

2007-09-06 18:17:46 | 電車図鑑・私鉄電車(中部)
昭和48年に、パノラマカーの増結用と車体の大きさの関係でパノラマカーの
入線できない支線区間の列車のサービス向上を兼ねて登場した車両である。

途中駅での分割・併合を考慮して、展望室を廃止した通常型の運転台を
採用しているが、車内や側面の連続窓などは、7000系パノラマカーのものを
そっくり引き継いでいる。
基本的な機器についても、同様である。
当初より、座席指定特急への投入が考慮されていたため、ミュージックホーンも
装備されている。
運転台は踏切事故対策として高運転台を採用し、さらに助手席側の正面窓も
大きさをあわせたため、前面展望は望めないが、機器構成が近く、
車内も凡そ一緒であることから、「セミパノラマカー」と呼ばれる。

当初は4連と2連があったが、平成2年に座席指定特急専用車になった際、
中間車を7000系に渡して、全編成が2連に組み替えられた。
同時にグレードアップ改造も施され、ヘッドレスト付の転換クロスシートと
ソファ調のロングシートを採用し、高級感を持たせたものとなっている。
また、岐阜側の先頭車にはカード式の公衆電話が設置された。
外観では座席指定席車を示す白帯が巻かれた。

平成5年に一部特別車タイプのパノラマSuperが出揃うと、
本線特急の運用からは外れ、犬山線から各支線への特急列車の増結車として
運用されるようになったほか、一部の急行列車や普通列車に使用された。
平成11年にパノラマカーが座席指定特急から外れると共に、順次、白帯を
撤去した他、カード式公衆電話も撤去されている。
なお、座席は特急専用車改造時のままで、通常型の車両より
豪華な仕様のままである。
平成13年にワンマン対応改造を実施して以降は、
三河線での運用が主体となっているが、時折、本線急行などで
名古屋口に顔を見せる時もある。