近鉄で初めてのVVVFインバータ制御車で試作車だった1421系電車の量産型として製造された
車両である。
近鉄らしく機器や仕様の差から形式が細分化されており、2両編成が1220系(3本)、
1230系(2本)、1233系(15本)、1240系(1本)、1249系(3本)、1252系(13本)、1253系(6本)、
1254系(1本)、1259系(6本)、4両・6両編成が1021系(4連×5本)、1026系(4連×5本&6連×4本)
となる。
メーカーは近畿車輛で、これらは「近鉄新標準車体(アルミ製)」に日立製のVVVFインバータ
制御器を搭載したグループである。
編成の組み方は以下の通り。なお、大阪・名古屋線系統と京都・奈良線系統で
編成の向きが異なる。
1220系:モ1220+ク1320 1230系:モ1230+ク1330 1233系:モ1233+ク1333
1240系:モ1240+ク1240 1249系:モ1249+ク1349 1252系:モ1252+ク1352
1253系:モ1253+ク1353 1259系:モ1259+ク1259
1021系:モ1021+サ1171+モ1071+ク1121
1026系(4連):モ1026+サ1176+モ1076+ク1126
1026系(6連):モ1026+サ1176+モ1076+サ1196+モ1096+ク1126
車体は既述の通り、アルミ製で車体の下部分に裾絞りのあるものを採用した。
正面は貫通型で当時流行の額縁風のデザインをとり入れている。
塗装は現在のものに裾部分にも赤帯が入ったものであったが、後の簡略化で
現行のものになった。
乗務員室扉と、そのすぐ後の客用ドアの間にはVVVF車を示すロゴステッカーが
貼られている。
種別・行き先表示は正面と側面にあり、いずれも字幕式である。
車内はロングシートであるが、長距離運用に備え、やや深めのものを採用している。
しかし、トイレ付きの車両はない。
平成4年製造の1249系から車椅子スペースが運転室付近に設けられた。
ドアは片側4箇所、全て両引き戸で側窓は一段下降式である。
主制御装置は既述の通り、日立製のVVVFインバータ制御で素子はGTO方式のものである。
ブレーキは回生ブレーキ併用電磁直通ブレーキである。
駆動装置はWN駆動方式を採用している。
台車や発電機などは1220系から細かい点で変更が随時行われている。
まず、1220系の機器や車体の仕様を標準軌道線全線で使用できるように改良したものが
1230系(平成元年春)である。
台車については近鉄伝統の円筒案内式軸箱支持のダイレクトマウント式空気バネ台車を
採用している。
1220系は在来品、1230系ではアーバンライナー用に開発された技術を採り入れたものを
採用している。
さらにこれを改良した台車で製造されたのが1233系(平成元年夏)である。
1249系(平成4年)では車椅子スペースの他、電源装置が電動発電機から静止型インバータに
変更された。
1252系からボルスタレス台車になり、ク1352形の基礎ブレーキが1軸1枚のディスク
ブレーキに変更され、1253系はこれを2枚に改良した。
1254系は1253系に滑走検知装置を設けたものであるが、これはこの1本のみで終わった。
その後、平成12年~13年にかけて名古屋線に所属する1230系列のうち9本を対象に
ワンマン化改造を実施し、このうち、1233系の1240編成と1253系の1259・1265~1269編成は
それぞれ1240系と1259系に改められた。
1020系は1230系の4連バージョンとして登場した。1026編成から1253系同様、
ボルスタレス台車になり、補助電源装置の引き通しに冗長性を持たせるなどの
改良がなされ、新規に1026系となっている。
4両編成のものは生駒線用のワンマン化改造を受けている(1026系1035編成を除く)。
平成14年に1030編成をバラして編成の組み換えを行い、中間車のサ1180とモ1080を
サ1196とモ1096に改番して1026編成を6連化した。
あまったモ1030とク1130は1252系の1277編成になった。
また、1252系の1271~1276の2連6本と1027~1029の6連3本は阪神なんば線直通仕様に
改造されている。
平成19年ごろから座席の張り替え、車内旅客案内装置取り付け(ワンマン化改造車や
阪神直通仕様は改造時に設置)、車椅子スペース設置、保安装置更新などの
更新改造も行われている。
本形式は汎用車として大阪線、名古屋線、京都・奈良線と系統の支線で運用されている。
1021系、1026系については京都・奈良線系統のみの所属で既述の阪神なんば線対応車は
直通運用を優先する関係で京都線には入らない。
現在までに廃車となった車両は存在しないが、大阪線に所属する1257編成は東青山駅構内で
脱線して電柱と激突、車体や機器を中破したため、現在使用休止中である。
○阪神なんば線直通仕様に改造された1271+1371。
運転席窓下に蝶のマークのステッカーが貼られている。
○名古屋線所属車。名古屋線では、こうした優等列車の増結運用の他、
単独で普通運用に入ることもある。
○京都線京都発天理線天理行き急行に使用される1027編成。
阪神なんば線直通開業後は京都線や天理線に顔を出さなくなった。
なお、この写真の時点で既に阪神なんば線直通対応改造は受けているが、
直通車を表す蝶のマークは、まだ貼り付けられてない。